Rhythm Works 平湯/焼岳BC Day-2

東日本大震災により被災された皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

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明けて日曜日はとんでもない晴天になった。
真冬の北海道に9日間もいて、そのほとんどを晴天の下過ごしたことは伊達ではない。
これはちょっと自慢だが、私は仕事のオープンロケ(屋外撮影)で
予備日を使ったことがないほどの晴れ男だ。

滑るときはもちろん、ハイク中の天気というのもまた大切だ。
特に今回は4時間以上のハイクが予定されているのでよけいに大切になる。
憂鬱な曇天を眺めて歩くより、美しい山並みを眺めながらの方が苦しさも紛れるし
何より気分がいいに決まっている。

8:11am 標高1,544mの中ノ湯温泉からハイクをスタート。
(文中の標高を含めたデータはGPSのログデータから参照)
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8:49am ひたすら森の中を行く。
前日からのトレースにかなりラクをさせていただきながらも
1,650m近辺までは急な勾配でシールが噛みづらく苦しい時間が続く。
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9:45am スタートから約2時間。体力的に最初の峠を迎える。
息が上がってあからさまに気力が低下する。
こういう時に吹雪だったりすると引き返したくなる。でも、ここを超えると
またしばらくの間は息が上がらなくなることも分かっているので
それを頼りに足を動かし続ける。
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10:40am 急に森が開け、突如として目の前に焼岳が現れる!
南峰と北峰二つの頂を持つ双頭の山だ。
それにしても男らしくもなんて美しい山なのだろう。本当に格好のいい山だ。
鳥肌が立つほどゾクゾクする。
興奮度は一気にMAXになり、ここまで来られただけでもかなりの満足度だ。
そこまでの苦しかった道程が一瞬で報われる。
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11:03am 寒暖差の激しかったここ数日を考えれば、
気の抜けない状況であることは確かで、ルートを決める旭さんの顔にも緊張が見える。
この青空の下、焼岳を間近に拝むことができただけでも大満足だ・・・・
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・・・・とか弱腰になりはじめた私に
旭さんは北側の稜線から雪の結合を測りながら行けるところまで行くという。

昨晩、旭さんは宿で前日にここまで登られた方々から
雪の状況など情報収集していて、土曜はガスっていたことを知っていた。
つまり核心部はノートラックのまま残されているわけだ。

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上の画像は南側を登る大勢の方々で、そこから南峰への登頂は禁止されている。
焼岳の象徴と言っていい南峰と北峰の間を貫くお釜のオープンバーンを
滑るためのポイントに最短距離で向かうには北峰側に上がるしかなく
みなさんが南峰を上がられたこととはつまり、
北峰側の危険度を考慮した上での選択ということだ。

そして、この日の焼岳を北側から上がったのはついに我々だけだった。
旭さんの覚悟に俺の男気が震えるぜ!

11:43am 焼岳が見えてから手前の岩場の下側辺りまでは
意外にすんなりと取り付けたのだが、そこからは歩けど歩けど北峰に近づかない。
そして足許を見下ろせば吸い込まれそうな白い急斜面に足がすくむ。
正直にそこからの時間は永遠に感じた。
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映画のシーンを思い出して台詞を反復しながら気を紛らわせ、一歩一歩足を動かす。
ちなみに思い出していたのは『ゼログラビティ』
すっかりサンドラ・ブロックの気分に浸っていた。私にとって焼岳はすでに宇宙だ。

12:24am そしてついに山頂直下のドロップポイントに到着!
長かったし苦しかったが、いざ上がってしまえばこっちのものだ。
ここに至ってはアルピニスト気分はすでに最高潮だ!いっそ登山家と呼んで欲しい。
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画像上が噴煙の上がる北峰で下が南峰。標高2,455m。

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裏側の爆裂火口を覗く。
それにしても絶景とはまさにこのことだ。
自分の足で登ってきたという達成感を伴って私には最高の景色に写る。そして、

目の前に広がるこの大斜面を滑り降りるのだ!

これ以上ない青空の下、夢にまで見た焼岳の山頂直下に立って
前日まで降り続いた雪の積もるノートラックの斜面をこれから滑り降りるのだ。
これを最高と言わずに何を最高と呼ぶのか。
ジェレミー・ジョーンズ何するものぞ!

1:00pm 雪の状態は決して油断はできない状況だ。
斜度の強い箇所を避けたラインを睨み、レフトにセイフティゾーンを確認し、
エアバッグのトリガーを何度か握り直してからついに一本目をドロップした!
上部の新たな積雪は20cm程度だろうか。
クリーミーで強めの抵抗感が伴いコントロールもし易く、
それでいてものすごく良く走る雪だ。
広いお釜の中はどこまでも加速していきそうだ!

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最高だ!

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そうして雪の安定性を確認しながら、
計3本に別けて焼岳の核心部の下に位置するボウルセクションまで滑り降りた。

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そこからは穂高方面に尾根沿いを大正池に向かって滑り降りる。
森の中はクラストしながらも深い積雪が残っていて、
ツアールートと言いながらもとても楽しく滑り降りて来ることができた。
これまた3月のツアーでは考えられない幸運だ。

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2:50pm そうして大正池に到着し、この日の滑走予定部分はすべて終わった。
なんとも名残惜しいけれど、体力的にも、もちろん時間的にも
バッチリ使い果たしたスケジュール進行で、さすがは旭さんのガイディングだ。

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大正池からは上高地とを結ぶ『釜トンネル』を歩いて国道に戻る。
ちなみにこのトンネルの出口まで中ノ湯温泉の迎えの車が来てくれるのだ。
そうして全行程が無事終了した。

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登り4.5km、標高差888m、4時間39分。
下り釜トンネルまで3.8km、標高差929m、1時間33分だった。

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東から見上げる焼岳は、北側から見た美しい姿とは違って
人間を拒絶するかのような荒れた岩肌を曝している。
そして、あの美しい姿は下からは窺い知ることができない。
そこまで行った者のみが見上げることのできる姿なのだ。
改めて畏敬の念を抱くとともに、同じくらい自分を褒めずにはいられない。

確かにあの斜面の広さや斜度、そして雪質を持つ山ならいくらでもあるだろう。
あれ以上の斜面もきっとあるだろうし、事実私にとっては去年の
白川郷BCの野谷荘司山が、積雪量、雪質、斜度含め最高のコンディションであったし
今年滑ったチセヌプリのオープンバーンは目眩がするほど広大だった。

でも、今回の焼岳以上に思い出に残る斜面はない。
登行にかかる技術、体力、精神力、もちろん持てる滑走技術と山への思い入れ、
そして頭上に広がる突き抜けるような青空が作りだしたこの記憶に勝るものは
これからもそうそうには現れないだろう。

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そして、初対面ながらこの人生最高の思い出を一緒に作ってくれた仲間たち、
Ytinさんご夫妻、Aさん、もぐらさん、そして旭さんに感謝!
皆さんにこれからも素晴らしい時間が訪れることを!
そして、その時にまたご一緒できることを願っております!

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2014.03.11 | コメント(16) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

コメント

いやー、イイですね~!!
一度参加したいなぁ... でも4時間半は歩けないのでダメですわ。

2014-03-11 火 11:38:02 | URL | のぶ #- [ 編集 ]

時間と場所は、その人の想いで作ることは可能ですが、天気はその人の運ですからね~。 へそ曲がりさんは、持ってますね~!

2014-03-11 火 13:14:10 | URL | Sugaya #- [ 編集 ]

のぶさんはそう言うと思ったよ!
来週の羊蹄山楽しんできてくださいね!
atuさんをよろしく!

2014-03-11 火 14:02:51 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

Sugayaさん
今回ばかりは自分を誇れますよ。
ホント良かったっす〜〜〜〜〜〜

2014-03-11 火 14:04:13 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

たまらんですな。アルパインな景色だけでもお腹一杯です。クランポン使わなくても余裕でしたか??
そういえば、よ○ち○夫妻一度お会いしてみたいと思ってる方です。

2014-03-11 火 18:34:57 | URL | マッキー #- [ 編集 ]

マッキーさん
焼岳良かったです・・・・
中ノ湯のすぐ上からそこそこ傾斜がキツく
気温も低いためトレースは踏みしめられて硬かったので
比較的すぐにクランポンを使いました。
旭さんは最後のお釜の中でもシールだけで上がってましたが。
にしても。
相変わらずプロアマ問わず関係者にお詳しいですな。

2014-03-11 火 21:32:38 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

流石の当てっぷりですね!
へそ曲がりさんが行くとこ晴れ間違いなし!
それにしてももの凄い良さげな所ですね けど4時間半か...
体力つけなきゃと思う今日この頃ですw

2014-03-11 火 23:08:12 | URL | atu #- [ 編集 ]

atuさん
そのぶん深雪に当たらないというジレンマが・・・

2014-03-12 水 09:31:30 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

初めまして。いつもブログを拝見致しております。
リズムワークスの「2名の空き」を私も見ておりました。
ちょうどその日に私も焼岳に行く予定でした。(土曜日のみですが)同行者達は日曜日も滑っております。
駐車場で旭さんと土曜日の雪の状態等を話していたのは私ですね。上下ORで雰囲気のある方でしたので、「ガイドの方ですか?」と聞いた所、「リズムワークスの・・・」と仰っていましたので「旭さんですか?」と思わず聞いてしまいました。

日曜日は良かったですねぇ。おめでとうございます。
同行者も「最高!」と聞いておりました。
土曜日はガスと強風と-17度の寒さにやられて山頂は早々に諦めました。
ですが雪は本当に良かったです。
いつもは白馬で滑っておりますが、白馬に負けない雪質。人も少ないのでひっそりとして良い雰囲気でした。
滋賀県に住んでいますので、白馬へ行くよりは100km以上近く、名神・東海北陸道経由で、中の湯温泉まで270km程でした。ほぼ毎週白馬通いでしたので体は楽なハズなのですが、体力の衰えが・・・。焼岳リベンジの課題が出来ました。

2014-03-13 木 00:38:01 | URL | hiro #- [ 編集 ]

こんばんは。

The dayとはこの日のことを言うのでしょうね。

焼岳は白川郷と並び、訪れたいフィールドですが、千葉からの距離に負け重い腰が上がりません。

今年こそ!と思っていましたが、どうやら旬を逃してしまったようで、今年も写真も見て想いを募らすばかりです。

さて、今回も見覚えのあるお方が写真に写っておりました。お山が好きな方々の世界は広いようで狭いのですな。

2014-03-13 木 02:14:13 | URL | HATT #NkOZRVVI [ 編集 ]

hiroさん
コメントありがとうございます。
駐車場って中ノ湯の駐車場ですかね?部屋の窓から見ておりましたよ(笑)。
旭さんのガイディングいいですよ!次は是非リズムワークスをご用命ください(笑)!
さておき、日曜日は腰が抜けるくらい素晴らしい一日になりました。
まさか最後まで天気が保つとは思いもよらなかったです。
まさに千載一遇。人生でもう二度とないかもしれません。

2014-03-13 木 14:16:07 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

HATTさん
私の腰も相当に重い方ですが、
こういうThe DAYに一度でも当たってしまうともうやめられなくなります!
(私はへそ曲がりなので、雪を外してしまったアドベンチャーなツアーも好きですが)
それに奥飛騨・奥美濃方面はほんと雪が軽くていいですよ!
みんな「北海道の内陸部に降るような雪だ」って口を揃えます。
だから当てる確率も高いです!HATTさんも是非!

そうですか!
でもほんと狭いですよね〜HATTさんともきっとすぐに会えますよ!

2014-03-13 木 14:24:17 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

そうです。中の湯の駐車場です。見られておりましたか。(笑

最近は精神力って大事だなぁと思うようになりました。
ポキポキ心が折れる音が聞こえます。
40過ぎるとジジイで言い訳ばかりを探してしまいがちです。

2014-03-13 木 22:04:48 | URL | hiro #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

hiroさん
確かに。
そう考えると私の場合はこのBlog.のネタづくりという
若干意味のない責任感が折れる心を支えているのかもしれません。

2014-03-13 木 22:34:43 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

リピーターするほどのガイディングはきっと素敵なのでしょうね!羨ましいです。

そして土雪がエントリーを重ねるごとにより深いモノを探求し始めたと感じてなりません。

本当に素敵です!



2014-03-14 金 13:15:02 | URL | NADA #- [ 編集 ]

NADAさん

旭さんいいですよ〜!スプリットボーダーなら尚のこと
山行中にもあれこれテクニックをレクチャーしてくれるので
ガイド+クリニックで倍お得です!
それと、奥飛騨の奥深さには行く度に驚かされます。

いやいや。本人に探求度を増している意識はないんですよ・・・・(汗)
相変わらずストイックな山行はカッコ悪いから嫌いだし
なだかんだ言って身近なかぐらの裏山が大好きなのは変わりませんし。

でも、今まで見えなかったものが
少しづつでも見えるようになってきたとは思います。

2014-03-14 金 14:36:09 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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