ゼロ・ダーク・サーティ

zero-dark-30_3.jpg
zero-dark-30.jpg
zero-dark-30_2.jpg

『ゼロ・ダーク・サーティ』を、まさに9月11日に観てみた。
ときに題名は軍事用語で午前0時30分のことらしい。

今作を語る様々な書評では「淡々と」であるとか「ドキュメンタリータッチ」で、とか
「一切の主観を排除」とかいった文章が多く見受けられたのであるが
その割りには知った俳優陣が居並ぶキャストボードを見るに
私にはそんな書評とはチグハグして思えたこともあり
「それ的な映画か」と勝手な想像を決め込んでいたのだが、
そんな想像はまったく的外れだった。

確かに主人公を含め登場人物全員の生い立ちを含めたバックボーンは一切排除され
9・11以降の出来事や精神的な推移だけが「淡々と」描き出された
「ドキュメンタリー」仕立てではあるが、逆にその間に起きた事態がどれほど異常で、
当事者達をある意味 “狂わせた” のかがものすごいスピード感で描かれていて、
この精神的変化の描写には目を見はるものがある。

劇中「少しは国と国民の安全のために働け」とあまりにビンラディンに固執する
主人公が次のテロを阻止することが任務であると信じる上司に言われるシーンがあるが
それほどヒステリックにビンラディンを追い詰めることに執念を燃やす主人公の
汗ひとつかかずに冷徹に突き進む姿には正直一切同意できないが
そうなった理由が一切描かれていないかと言えばそんなことはなく
そういった経緯に一見力点が置かれていないように見える演出こそが今作のミソだ。

そうして強固な要塞に身を隠すビンラディン発見へとつながるのだが
要塞に身を隠すのはとある国の大統領も同じであったり、
劇中何度も「イラクの大量破壊兵器の情報の方がよっぽど説得力があった」と
作戦の実行を躊躇する政治家や政府担当重役たちの台詞が出て来るところなど
まるで映し鏡のように表裏一体を透けて見させる部分に
ビグロー監督のメッセージを感じる。

というように、ドキュメンタリーと人間ドラマの案配が、実は巧みに構築されていて
私は特に任務を報されずに招集された特殊部隊員たちが
「ステルスヘリコプターを今どき何に使うんだと」いぶかしく思っているところに
主人公がターゲットと今作戦の概要を説明し隊員たちが
事の重大さを感じるシーンなどはまるで「スポ根」もののように痛快だ。

そして「見つけたらどうしたらいい?」と訊く隊員に
私のために殺して」と主人公が返す台詞には言葉を失う。

関連記事
スポンサーサイト

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

2013.09.12 | コメント(5) | トラックバック(0) | 映画

コメント

劇場で観ました
僕には ビシビシに監督のメッセージを感じました
主人公の仕事っぷりはアリかなと
仕事内容はあれ(笑)ですがプロ意識というか信念と言うか この頃仕事にたいしてプロ意識とか信念とか(笑)かけてるなとw
話それましたが 実話系の映画は大好きですいくらかオブラートに包まれてるとは思いますが ドキドキします

2013-09-13 金 09:37:47 | URL | atu #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

atuさん
確かにあの情熱の注ぎ様はすごかったですよね。
でもですね、ああいいった職務の方が
私情に流されていては平和が何個あっても足らんな。と。

2013-09-13 金 12:09:56 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

たしかに!
完全に流されてましたよねw
最近もなにかと物騒な話がありますが 是非とも冷静に!
Love&Peaceで お願いしたいですね

2013-09-13 金 13:31:11 | URL | atu #- [ 編集 ]

僕も劇場で観て...リアルで強い女性ヒーロー像の押し売りに
ちょっとヘキヘキしましたね。
たぶん、本来もっと淡々としているんだけど
ドラマティックにならないと商業映画として成立しないからかなーとも
思いますが、監督も女性だからそこに力が入るのはわからないでもない。
ただ一般的な映画的女性ヒーロー像にはウンザリしていて、
もっとリアルな女性を描きたかったのかなぁと。
でもそれにしてはこのネタでやるのは...
よくまとまってて脚本すげーなと思いますが。
ここまで強いキャラを設定しないと女性キャラが埋もれてしまうのかなとも。

ハートロッカーの時は一兵士にスポットを当てて、
演出もバランスよかったんですけどねー
カメラのブレ度にさすがに吐きそうになりましたけどw

今回の映画は突入シーンだけで僕は十分楽しめました。
やっぱりリアルを再現すると...
ミリオタは楽しめるけど、一般はわかりづらいし、つまらない。
アクションや見え方を重視すると、フィクションになっちゃうし。
今回その双方の境界が見えた画作りだったような気がしました。
元旦那の映画のように見え方重視の演出に特化した方がいいのか、
リアルとの折衷案を追うのか、悩ましいところですね。

2013-09-15 日 11:10:13 | URL | Toshi #- [ 編集 ]

Toshiさん
特殊任務のシーンは確かに臨場感が凄かったですね。
ビグロー監督は芸術作品と娯楽作品とのバランスの取り方が
気持ち娯楽寄りってところが才能ありますよね。
お金の取れる監督さんですね。
元旦那が思いっきり娯楽方向だからですかね?
いずれにせよとんでもない夫婦ですよね。

2013-09-15 日 17:22:45 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

FC2Ad

プロフィール

埼玉のへそ曲がり

Author:埼玉のへそ曲がり
オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR