万年筆 ペン先調整

pen_tuned-4.jpg

仕事柄なのか、性格なのか、はたまたその両方か
私は毎日かなりの量のメモをとる。
プレゼン前には話す内容のシナリオを書くのだが
どういったわけか私の場合、話し言葉は手書きの方がいい話になるので
ワープロ打ちはせず手書きにしている。
もちろんこのブログのネタも思いついたらメモをとるようにしている。

そういったわけで、デスク用と鞄に忍ばせた携帯用とある
お気に入りのRHODIAのメモパッドはいつも手放せないのだが、
やはり何よりそんな私のメモ好きを支えてくれているのは万年筆だ。

ご存じの通り万年筆の書き心地はほんとうにクセになる種類のもので
まさに『筆がのってくる』といったある種の “ZONE” に入る感覚が味わえる。
幾度となく仕事上の窮地を救ってくれたのも他ならぬ万年筆のおかげだ。

そして何より、万年筆を使っていると格好良く見えている(ような気がする)
のも、プレゼン上の大切な武器になる。それもまたモノのもつ不思議なチカラだ。

GENTEMSTICKにももちろんそういった魔力があるが
まず間違いなく「上手いんだろうな・・・そうでなきゃ宝の持ち腐れだ」という
ネガティブな視線をバチバチに感じるので、ある意味心臓に毛を生やすか
面の皮を厚くしないと使えないといった心情的なマイナス面があるが、
万年筆なら汚い字を覗き見られない限り大丈夫だ。

私の使っているファーバーカステル製のポルシェデザインP'3100という
万年筆を買った話はもう2年前にこちらでしたのですが、
そちらをご覧いただくとお分かりのように、同じテックワイヤーのP'3100が
ステンレスワイヤー巻きのものから、ゴールドのワイヤーと
編み合わされているタイプのものに万年筆じたいが変わってます。

それは鞄の口を閉じないままオートバイに乗ってしまい、走行中にその大切な大切な
万年筆を落としてしまったため今年に入ってから買い直したから。
しかしてなかなかにお値段の張る逸品なので諸般の事情もあり中古物件。
そんなわけで手に入れ直したものは前オーナーの使い方や好みもあってか
それまで使っていたステンレス巻きのP'3100よりも字幅が太くなっていたわけです。

こちらに使われているペン先「F」はそもそも中太にあたる描線字幅。
P'3100はその硬質なデザインに反してとても柔らかい独特な書き心地で
マジにトロけそうになるくらいそれはそれはスウィートなのだが、
その代わりにペン先は甘くなりやすいのかもしれない。

ちなみに一番上の画像の下にあるスケルトンの万年筆は
ウォーターマンのクルトゥールといって見た目どおりにそのお値段も軽いもので
P'3100を紛失したときに当座をしのぐために慌てて買ったもの。
こちらのペン先も同じ「F」なのですが、うって変わって書き味はかなり硬く、
そして細いのでメーカー毎にこのあたりの基準は異なるようです。

そんなまるで生き物のような違いや変化を見せる万年筆だが、
これまたこういった趣味性の高い世界には必ず匠がいて
私のような中途半端な訳知り野郎にもその高い技術を
分け隔てなく提供してくれるわけだ。

pen_tuned-2.jpg

それがこちらの『川窪万年筆店』
この店構えがまた深遠なる宇宙の入口であることを1mmも想起させない。
そこがまた渋い。渋すぎる。
しかも小さなショウケースが隔てた奥にある2畳ほどの作業場では
お二人の職人の方が作業に没頭されており、その店内はまさに宇宙だ。

pen_tuned-1.jpg

そしてひとしきり私の万年筆を見回した匠によると、私のP'3100は、
ペン先とペン芯にガタが出ていて正しい位置に填っていないとのこと。
そこでペンポイントの研磨と併せてそのガタを無くしてもらった。
上のペン先の画像で気持ちペン芯が下がっているのが解るだろうか。
まさにミクロの世界。
その15分ほどの作業中「良いデザインだね〜」「さすがドイツ品質、精巧だね」
「普通ここまでやらないよ」「これ高いからあんまり使っている人いないね」など、
オーナー心をくすぐる見立てをくれるのはまさに“テンダー”。
pen_tuned-3.jpg
そうして文字の太さは元より書き味までもがカッチリとしたものに生まれ変わった。
記憶に残る紛失してしまったステンレス巻きのP'3100の書き味よりも更に
締まりのある書き味になった事は間違いない。まさに匠の世界。万年筆奥深し。

作業費〆6,300円。

実際 bicボールペンが6ダース買えるお値段。決して安いなんて言えないが、
物を大切にするなんて常識的な観念よりも、自分の好みに合わせられる
『チューニング』するという積極的な行為を達成されるのであるならば
納得のいく値段だと思う。

心を豊かにするものに払うお金、
中でも腕の立つ職人のもつその技術の対価として払うことは
それを理解できた自分自身の誇りにもつながるいいお金の遣い方だと思う。

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2013.07.11 | コメント(9) | トラックバック(0) | 徒然

コメント

「誇りにもつながるお金の使い方」
深いな~(>_<)
勉強させて頂きましたm(^o^)m

2013-07-11 木 14:06:23 | URL | サトゥー #- [ 編集 ]

サトゥーさん
ちょっと自画自賛が過ぎましたね・・・失礼しました。

2013-07-11 木 15:13:24 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

たとえ高くても良いモノなら長く所有ですよね!?
安くて適当なの買うと「安物買いの銭失い」w
特にスノボグッズね!!
ま、良いモノ買っても銭失いますが…
ポルシェデザイン大好きで時計・香水・デジカメ持ってる。

2013-07-11 木 16:57:35 | URL | HAMA #s67UGUJ2 [ 編集 ]

HAMA☆さん
そうだねー。
高い理由って絶対にあって、ホンモノほどその理由が明確だし嘘がないからね。
なんて言ってっから金が貯まんないんだよなー

2013-07-11 木 17:06:38 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

全然イイですよ~(^^)b
「万年筆」ある意味、戦友ですよ。
コダワリを持って使ってるから書ける文だと思います。
自分は美容師なので鋏が戦友ですが、なかなか出会うのが難しいです。
(ちなみに一丁でgentem 一本ぐらいかな)

2013-07-11 木 17:42:40 | URL | サトゥー #- [ 編集 ]

サトゥーさん
え?あの鋏ってそんなにするんですか?????
それこそ職人のコダワリですね〜

2013-07-11 木 17:51:41 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

高いんですよ~(>_<)
所有のカット鋏でTT、スキ鋏でTT split 買えちゃいます。
でも切れる鋏は切った感触が全然違いますよ(^^)b

2013-07-11 木 18:09:00 | URL | サトゥー #- [ 編集 ]

チューニングの世界は奥が深い。
1/100以上の精度と思いますが数値的なもの意外にチューナーの精神が宿ります。
川窪チューン万年筆ですね。

2013-07-13 土 02:23:35 | URL | いちろー #- [ 編集 ]

いちろーさん
コメントの返信遅れて申し訳ございません。
(なぜかこちらの通知だけ迷惑フォルダに入ってしまっていました)
使う方毎に、好みのタッチや字幅があって
万年筆はほぼそのすべての好みに対応できるようになっているそうです。
本当に奥深いですよ。

2013-07-16 火 13:07:58 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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