F1 タイヤ問題について

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F1をご覧の方なら、各地のF1クチプロレスラーたちの間で熱を帯びている、ここ数年のレース展開について言いたいことがおありだろう。

それとはつまり「ピレリタイヤ問題」と言うとピレリの方に失礼だが、それまでのF1の足許を支えてきたブリヂストンの国の住人としてはそう言いたくなる種類の問題だ。

つまりはタイヤの性能のとくに耐久性に関しての性能部分を意図的に落とすことで、より予測しづらいスリリングなショウアップされたレース展開にしたことの反作用として生まれた問題のことだ。
ときに先般「タイヤゲート」と呼ばれたメルセデスAMGの禁止テスト事件のこととは切り離して話す。

確かにスタート直後に勝負が決してしまうのは観ていてつまらないし、ゴールまで何が起こるか解らないレース展開はとても楽しいものだ。

アメリカには元F1ドライバー佐藤琢磨の活躍で昨今さらに日本でも注目が高まるインディカーシリーズというF1同様にオープンホイ−ルのレーシングカーで競われるレースカテゴリーがあるが、こちらは徹底的にクルマの差をなくしイコールコンディションになるように最初からルールが徹底されている。そのため放っておいても毎回毎回激しいトップ争いになり、決して観る者を飽きさせない、ザッツ・アメリカ!なレースだ。

つまり、インディカーはメーカーや国の威信までもを競い合う、まさに地球上のカーレースの『トップカテゴリー』を標榜するF1とはそもそもの考え方から違う。さすがは平然と国内リーグの優勝決定戦を「ワールドシリーズ」と呼ぶ国のトップレースだ。まさに唯我独尊。
しかし、リーマンショック以降の世界では、F1ですらもそんな大義名分の前にコンテンツビジネスとして成立していなければ『トップカテゴリー』に君臨することはおろか、スタート位置にマシンを並べることすら怪しい状況に陥ってしまうという大きな矛盾を抱えている。そういった意味でも「観る者のためのレース」であるインディカーのほうが「格式を重んじる貴族社会的で封建的なヨーロッパのレース」であるF1よりもずっとシンプルで解りやすいわけだ。

といったわけで、F1も展開をよりスリリングにすべくオーガナイズ側がここ数年ずっと躍起になってあの手この手で平等化を画策していたわけだ。

資金や開発のためのリソースを多く持つ者(チーム:企業)が自動的に強くなってしまうため、せめて4チーム、8名ほどのドライバーの誰が勝ってもおかしくないような展開を実現するために、大幅な開発のためのテスト走行の禁止や、空力デバイス等への細かい規制によってそのリソースの差を封じ込めようとしていたわけだが、その集大成がいよいよタイヤ性能に手を付けるという事だったわけだ。

タイヤ性能を意図的に下げるという前代未聞のレギュレーション変更は、結果今まで講じられてきたどの方策よりも効果テキメンで、昨シーズンはシーズン中の優勝者が8名も生まれた事でも分かるとおりなかなかに見応えのある展開にすることに成功した。しかし、一見万事オーライに思えるこの施策なのだが、なぜに「問題」と呼ばれているのかというと、たとえばドライバーからしてみれば、得体の知れないパーツに命を賭けるなんて言語道断だし、しかもそんなパーツであるにも係わらず、練習(テスト)走行が禁止それているのだからたまらない。実戦の前に充分な練習のできないスポーツなんて地球上の何処を探しても他に存在しない。

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そしてついに先日のイギリスGPにおいて、4台のマシンのリアタイヤと1台のフロントタイヤがレース中にバースト(破裂)するというこれまた前代未聞の事故が発生してしまった。幸いこれによる怪我人が出るような事態には陥らなかったのだが、時速300kmの速度でタイヤバーストなんて考えただけで背筋が凍るし、バーストして千切れたタイヤカーカスは後続のマシンめがけて飛んでいくのだからレーサーにしてみたらたまったものではないだろう。
これに関してピレリは、タイヤの左右逆使用や極端なキャンバー角や低空気圧などチーム側の使用方法にも問題があったとして釈明している。

もちろん耐久性が低くても更に安全なタイヤにするための改良を施せばいいのだが、当のピレリにとってもテストが禁止されていてはその開発すらもままならず、もしもの場合は『危険なタイヤメーカー』というレッテルを世界中で貼られかねないビジネス上の大きなリスクを抱えさせられている。もちろんあの世の沙汰も金次第なので、それに見合う報酬があるのならばピレリも文句は言えないが、聞けばピレリはその対価として車体にピレリのシールが貼られるだけで、事実上開発費を含めタイヤを無償提供している状況なのだそうだ。
それと、実はピレリはカナダGPから改良型のタイヤを持ち込もうとしたのだが、それによってシーズン半ばに新しいタイヤをいち早く履きこなしたチームに物事が有利に働いてしまう懸念があることから、数チームに導入を拒否されているという経緯もあるから話は複雑だ。

そして何より、自動車の性能の核となるタイヤ性能の低下によって「速く走る」ことよりも「タイヤを上手に労って走る」ことが重要視されるような状況で本当に『トップカテゴリー』と言えるのか?という根源的な問題もあり、某元F1パイロットからは「あれでは耐久レースだ」とまで言われる始末。実際併催される下位クラスであるGP2よりもレース中のタイムが遅いなんて事もあり、それに対して何も言い返せない状況だ。

しかし、そんな窮地といっていい状況であっても、常に強い『レッドブル』というチームが存在することはこの問題を考える上でとても興味深いことだ。

つまりどれだけ抑圧されも、科学、そしてドライバーの技術は、それらを凌駕していくということで、タイヤ技術の進歩に今のF1はいささかも貢献してはいないし、もちろんまずは安全性を高めなければいけないことには論をまたないが、それさえクリアできれば、いかなる困難であっても常に技術はそれらを革新していくものであるということの証であり、ひいてはいまだにF1は世界最高のカーレースと言えるのではないだろうか。

確かにこの地球上にある最高の技術を結集した、最高にガチ(で安全)なレースを観てみたいとも思うし、ごくごく個人的な欲を言えばフェラーリにもっと勝ってもらいたいとは思うが、そんなわけで私は、今のF1の展開には賛成の立場である。(できればタイヤ以外の部分でスリリングになるようなレギュレーションを見つけて欲しいのだが)

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テーマ:F1GP 2013 - ジャンル:車・バイク

2013.07.04 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ

コメント

僕もガチレースを希望したいところですねぇ。
速いのに勝てないレースって絶対ストレス溜まりますよ。
大きな大会までもがまともに走って勝てないって微妙ですね。
努力や才能が報われないスポーツはちょっと...
タイヤは特にアカンと思いますね。
タイヤを信用できないなんてまともに走る気失せますって。
またアクティブサスを禁止にした時のような悲劇がおこらなければ
いいですけど、先日のレースはその可能性だってありましたよね。
あんだけパンパンバーストしてよく走ってましたよ。
吸排気の規制とかで出力規制すればいいだけなのに。
エンジンパワーは各メーカー競争してるのに足回りプアって
ドライバー殺す気ですか的な気がします。

2013-07-04 木 14:55:47 | URL | Toshi #- [ 編集 ]

Toshiさん

さすがに先日のイギリスGPは「ヤバいっ」て感じましたね。
ホンダと一緒にブリヂストンも戻らないかなあ・・・
ブリヂストンなら決められたライフまできっちりグリップする
そこまで攻め続けられるデグラデーションの少ないタイヤを造れると思うんですよね。

2013-07-04 木 15:33:53 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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