色彩を持たない多﨑つくると、彼の巡礼の年

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本の話ばかりでスミマセン。
言い訳がましくも書かせていただきますと、このブログはタイトルにもあります通りに「私をかたちどるモノやコト」について、勝手に書かせていただいておりますが、つまりはその時の私の人生の時間配分によってここの内容も変わってくるというわけで、ただいま私の余暇の多くは読書に割り当てられていると、そういったわけでございます。

ちなみに、本を読むことじたいは嫌いではないが、私は本の虫では決してない。もちろんハルキストでもない。なので、本の話とはいっても、私にとってのスノーボードやオートバイ、波乗りの話と違い、好きで読んでいる人とは相当熱量が違う。
そもそもこの『色彩を持たない多﨑つくると、彼の巡礼の年』に関しても、話題になっているから読んでみたといった興味本位でしかないのだが、案外その程度の読書家の方って、多いのではなかろうか。
そういった方々に何かの参考になれば。っていう内容で。

この小説の内容は驚くほど単純でそして純粋だ。
高校時代にとにかく信じられないほど仲の良かった5人組がいて、その5人組はどうやら多﨑つくるの人生において “死ぬほど” 重要な繋がりであり、宝物だったようだ。そして多﨑つくるを除く4人は「アオ」「アカ」「クロ」「シロ」と色を名前に持つ “色彩のある” 人々で、“色彩のない” 多﨑つくるは多少なりともそのことで疎外感を感じている。そして、これはどこにでもある話ではあるが、大学進学のタイミングで選らんだ進路によって、多﨑つくるだけがその仲間たちと離れて東京で暮らすことになる。もちろんそれでも多﨑つくるは時間さえあれば名古屋に戻って5人は同じ時間を共有し続けるのだが、ある日多﨑つくるはあまりにも唐突に、あまりにも理不尽に、その仲間たちから絶交を告げられる。
 それから多くの時が流れ36歳になった多﨑つくるは、とあることをキッカケにその理由を求めて旧友たちのもとを一人ずつ訪ねて回る “巡礼” に出ることにした──

読んでいる私の個人的な興味は「なぜ言われもなく絶交されたのか?」の、その答えを知りたい一点に集約されていました。それほどその謎の提示の仕方とその提示のじらし方が上手く、とにかくその答を知りたくて、ズイズイと時間の経過も忘れて読みふけってしまった。そんなわけで想像以上に面白かったです。
ただ、この小説にとって、そんな謎解きはエッセンスのひとつに過ぎず、行間からもっと多くの感情表現を読み解かなければならないはずなのだが、残念なことに私にはそこが汲み取れないのでまるで推理小説を読むように読んでしまった。
そうなると、ほんの少し考えれば10代の人間が絶交を決める理由なんてたかが知れていることに気がつくわけで、結局のところ提示されるその「答」を知ると「多崎おまえ一体何から逃げて、どんな救済を待ってたんだよ」と、その面白さとは裏腹に得も言われぬ脱力感に見舞われてしまった。
これこそが純文学体験なのだろうか?難しいぜ村上春樹!

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2013.05.29 | コメント(0) | トラックバック(0) |

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