「逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方」

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連休の前半にこの「逆風に立つ」と
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を同時に読み終えた。

正直に村上春樹の小説は良く解らない。
もちろん素晴らしい文章だと思うし、何より読む者を否応なしに惹き込む
魅力的な展開も合わさって、文学という枠を外して
エンターテインメントとしても一級品だという事も認める。
なのだが、どうしてあんなに売れているのかが分からない。

そんなわけで、あれほどに売れる理由を知りたい。
勝手な想像だが「人の弱さ」に関する洞察が
世の大半の人々の現実に近いからなのではないかと
私なりに仮説を立てて読み返している最中なので
まだその答に到達はしていないが、とにかくそんな途上にある。

ところで私はジャイアンツファンだ。
念のため言っておくと、この「ジャイアンツ」は
日本プロ野球 セントラルリーグに属する東京読売ジャイアンツのことだ。
ジャイアンツファンなのだが、残念な事に
アンチジャイアンツの気持ちも良く解るので、
「辰徳ファン」「雅樹ファン」「秀喜ファン」と個別の選手やコーチ、監督の
ファンだと言うようにしている。

「巨人の4番は誰か?」の質問の答でそのひとの年齢が分かるが
私の4番は原辰徳だ。

コアな野球ファンを除いて、心底惚れ込んでいる時期というのがあって
その時の4番が自分の4番になるのだが、
野球よりサッカーが好きになったとか、神様M・ジョーダンを知ってしまったり
その4番の引退や、チームの親会社への反感などのちょっとした理由で
ふと平熱に戻る時があって、そこからは少し俯瞰して野球を見られるようになる。

そういった意味で言うと松井秀喜はすでに私にとって平熱時の4番なのだが、
どういったわけか、この希代のホームランアーチストに
一旦はジャイアンツから離れた私の体温をまたも上げられてしまったのだった。

特に松井がニューヨークに、メジャーに挑戦しはじめてからは
更に拍車がかかって応援するようになった・・・・
・・・・と、松井の話をし出すときりがなくなるのでこのへんでやめておくが、
そんなわけで昨年末に彼が引退を表明したのは、うすうす頭では解ってはいても
到底受け入れがたい出来事であった。

そんなモヤモヤとした気分を見透かしたように
松井秀喜を巡る様々な書籍が書店の棚を賑わせているが、
中でも伊集院静の書いたこの『逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方』を手に取った。

この本はもちろん松井秀喜の足跡や偉業を辿るメモワールなのだが
この本のおもしろいところは、松井秀喜の山あり谷ありの野球人生だったり
野球感やバッティング理論などではなく
その人柄を中心に書き溜められているところだ。
作者は言う
『戦後、日本がアメリカに送り出す最も美しい日本人』

作者は松井秀喜という人物を通して、慈しみや真心、謙虚さといった
元来より日本人が持っている美しい価値感を解説している。

惚れた者の弱みでしかないのだが、それまでの松井秀喜像と差違がないだけでなく
どこか誇らしく感じていたことを裏付けてくれる一冊であった。



つまり、
仲の良かった4人の友人から突然絶縁を突きつけられて、
死さえ受け入れようとする弱い人物の物語は、まったく美しくなどなく
私にとってSFにすらなっていないことが余計に理解することができた。
この二冊を同時に手にしたのはまったくの偶然とはいえ、
まるで「陰」と「陽」。

なかなかに得難い体験であった。

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2013.05.02 | コメント(0) | トラックバック(0) |

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