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サーフムービー『SPOONS』と『On the Edge of a Dream』

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実は、あとから話す『On the Edge of a Dream』の方を先に観たのですが、
「『SPOONS』も一緒に観た方がいいですよ」と、
ユウタくんに促され後追いで観た。
というのも、双方ともに草創期のサーフムーブメントを巡るうえでは
歴史的な意味合いの強いサンタ・バーバラに関する内容だからだ。
できればこちらを先に観た方が良いと思うので、先に紹介させていただく。

私にこの映画が持つ歴史的価値と、
この映画が伝えたいことの半分も理解できていないことは、
この際火を見るよりも明らかなのですが、
私なりに心を揺さぶられましたので、
あくまでもこれは私の勝手な解釈である。ということを申し上げた上で、
書き留めておきたいと思います。

以前こちらでも紹介した『FISH』が、
サンディエゴに端を発するフィッシュ・ムーブメントを追った
ドキュメンタリーであったのに対し、こちらはちょうど同じ頃に
サンタ・バーバラで起こっていたムーブメントを追ったドキュメンタリー。

ロサンゼルスの南に位置し、メキシコとの国境にほど近いサンディエゴと、
ロサンゼルスから同程度北上したあたりに位置するサンタ・バーバラ。
日本人からすると同じカルフォルニアなので大差なさそうに思ってしまうが、
それぞれに個性的な変遷を経ているところが興味深い。
その土地特有の風土や文化、
そして個性的で伝説的なサーフポイントの存在によって、
サーフカルチャーもまた様々な独自性をもち、育まれ継承されていく。

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サーフィン好きなら、一度はこの写真を見たことがあると思うが、
これがかの有名なレギュラーブレイク『リンコン』。
“女王”に喩えられるほど美しいサーフポイントであるリンコンがあるのが
他でもないサンタ・バーバラ。

リンコンがあるからなのか、はたまたそもそもの土地柄なのか、
レニー・イエターにはじまり、マーク・アンドレイニ、アル・メリック、
ジョン・パイゼル、ライアン・ラブレースと、
サンタ・バーバラは革新的で意欲的なシェイパーを多く輩出している。
中でもほとんど鬼才と言っていいほどの異彩を放つのがジョージ・グリーノウ。

それまでの概念を覆すジョージ・グリーノウのシェイプしたサーフボードと、
彼のライディングから、サンタ・バーバラの革新的で斬新なサーフシーンが
生まれたのかもしれない。

ちなみに、
グリーノウも、フィッシュを生み出したスティーブ・リズもニー・ボーダー。
それまで主流だった長いボードに“立って”乗っていては決してできなかった、
運動性と自由度の高いライディングを目指して
新たな地平(この場合水平線か)を目指したところも共通している。

そんなグリーノウをはじめとしたサンタ・バーバラのシェイパーや、
サーファー達が、それぞれの道を探求しながらも、
お互いに刺激し合い高めあってきた歴史を丁寧に紐解いて魅せてくれるのが
『SPOONS -A Santa Barbara Story』であります。

そして、サンタ・バーバラの鬼才、ジョージ・グリーノウから
テンプレートや哲学を継承した、次のジェネレーションがエリス・エリクソン。

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中でも独特なサーフボード・システム、というか概念が「エッジ・ボード」。
レールに段が付けられ、ボトムには思いきったコンケーブが与えられている、
かなり奇抜で特徴的なサーフボードだ。

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60年代にグリーノウが考案したエッジボードを、
2000年代のサーフシーンにフィットさせようと模索するエリス・エリクソンの姿を、
『リトマス』を世に送り出したフィルマーのアンドリュー・キッドマン
(彼は『FISH』でもその豊富な知識と経験を披露している)が、
5年に渡り追ったのが『On the Edge of a Dream』であります。

サーフボードのシェイプやボトムのシステムは、
それこそ星の数ほどあって、多くのシェイパーの手によって、
チューンされたり、再解釈されたりを繰り返している。とはいえ、
中級者の私にはほとんどその違いに関して論を持たないわけなのですが、
そんな新参者にもとても解りやすく、エッジボードの解説がなされている。

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これは私の勝手な解釈ではありますが、
レーシングカーが多くの空気を取り込み、後方に速い速度で排出させることで、
空気抵抗を減らすように、このエッジシステムもサイド方向に水流を促し、
ボトムのコンケーブ内から高速で水を排出させ、
ダウンフォースを生み出すレーシングカーとは逆に揚力を生み出し、
ボードを浮かせ抵抗を減らすことで高速な滑走を可能にしている。

もちろん、様々にある特徴的なサーフポイントの波の攻略を想定されているぶん、
アプローチに多少の違いはあるかも知れないが、求められるものは同じはずだ。
たとえば、FISHもエッジボードも、
バーティカル(タテ方向)よりもフロー(ヨコ方向)に効くデザインであることなど、
今作を俯瞰して眺めていると、ここで語られているのは
なにもエッジボードの話だけではないことに気づくことができる。

エッジでも、ハルでも、フィッシュでも、スタビーでも、そしてスラスターでも、
水という流体と向き合っていることに違いはない。
なので、この『On the Edge of a Dreams』は、自分がふだん乗っているボードに
置き換えてそのことを学べる貴重な教材にもなっている。

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DVDを収納するケースは豪華装幀されたブックレットになっており、
貴重な文献と併せて本作を楽しめるようにできている。
ただ、残念なことに英語を解さない私にはただの写真集でしかない。
まったくもって馬の耳に念仏、猫に小判であります・・・

最後に「to be continue」とクレジットされて本作は終わるのですが、
それは続編を示唆するものではなく、
エッジボードという概念が、まだまだ完成されていないことを意味している。
クルマ好きに分かりやすく言えば、EVのレンジエクステンダーとして
ロータリーエンジンや2ストロークエンジンが見直されたりしているのと同じこと。
(ワカランか??)
新たな継承者の登場によって、一度は表舞台から消えた概念が、
未来への可能性として光が当てられていることを強く顕しています。

というわけで、この2本は是非まとめて観ていただきたい。
やはりというか、案の定というか、
私はすっかりエッジボードに乗ってみたくなってしまいました・・・
モノ好きにはかなり罪なDVDになっておりますことを予めお知らせしておきます。
同じようにエッジボードが欲しくなっちゃっても、
当局は一切の責任を負いませんのでご了承ください。
  

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2020.05.18 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーフィン

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オートバイと
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近ごろ波乗り。

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