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【あの頃映画特集その2】ジェイコブズ・ラダー

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自主隔離に努めるあなたに送る、懐かしのあの頃映画特集。
第2幕は『ジェイコブズ・ラダー』。

私は今でも「一番好きな映画は何ですか」と訊かれたら
「強いて挙げればジェイコブズ・ラダー」と答えるくらいこの映画が好きです。
ちなみに2位は『タクシー・ドライバー』。

両作とも、社会との距離感を図れず、崩壊していく自我を抑えるために、
その狂気のはけ口を探していく主人公を追った映画なのですが、
両作ともにその衝動が最後に自身の開放へとつながっていく点も似ている。
そして、主人公がベトナム帰還兵であるという点も共通している。

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郵便局で働くジェイコブ・シンガー(ティム・ロビンス)は、
ある日、ベトナムで仲間に追われ銃剣で腹を刺される夢を見る。
それから得体の知れないバケモノを見たり、
様々な幻覚まで見るようになってしまう。

夢は悪夢だけでなく、ベトナムへ征く前の、まだ美しい妻と、
死んだはずの息子と3人で暮らしていた頃の幸せを映す夢もあった。

帰還兵仲間も同じような悪夢にうなされていると言う。
ベトナムで兵士の恐怖感を無くすための
ドラッグが試用されたという噂に辿り着いたジェイコブと仲間たちは、
噂の真相を探りはじめるが、仲間たちが奇っ怪な事故に逢い始め
一人、また一人と死んでいってしまう。

ジェイコブも謎の男達に追われ捕まってしまう。
そして、精神病棟に押し込まれ、恐ろしい処置を施されるのだが、
すでに現実なのか、幻覚なのか、だんだんと境界線が曖昧になってきてしまう。

そうして、ついに「ラダー」と呼ばれる、
兵士の攻撃性を高める興奮剤を調合したモグリの薬剤師に辿り着き、
ベトナムでそのラダーが食事に混ぜられていた事実を知るジェイコブ。

その頃には、帰還兵として郵便局で働く自分と、
ベトナムへ征く前の自分、
そして、ベトナムで戦闘中の自分を夢で繰り返し見るようになってしまい、
だんだんとどれが現実なのか分からなくなってきてしまう。

ただただ、ベトナムへ征く前の幸せな三人家族の生活こそが
現実であって欲しいと願うジェイコブ。
ある日、40℃を超す高熱に見舞われ、熱冷ましのために氷風呂に浸けられる。
ジェイコブはまたもや幻覚に陥るが妻と二人で過ごすベッドで目を覚ます。
何てことのない休日の朝。「職場の女性と同棲している夢を見たよ」と
笑って妻に話すジェイコブ。ゆったりと流れる時間に幸せが溢れている。

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しかし、次の瞬間氷風呂で目を覚ましたジェイコブは、
その時、こここそが現実なのだと思い知る。
もはやあの幸せな時間が幻想だと知ったジェイコブ。

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そんなジェイコブの絶望を悟ったように、
交通事故で死んだはずのジェイコブの息子が手招きをし、
家の階段を上に登ろうと催促する。
そうして、眩しい光に包まれるように消えていく二人・・・

・・・すると、次の瞬間ベトナムの野戦病院に移り、
医師がジェイコブの死亡時間を宣告する。

つまり、ベトナムで、ドラッグによって
錯乱した味方に腹を刺されたシーンこそが現実で、
それ以外はすべて幻想であったことが知らせれて物語は終わる。

三次元的な世界が交互に登場し、
観ている方もどれが現実なのかだんだんと分からなくなってくる。
観る者も、幸せな時間こそ現実であって欲しいと願うようになる。
のちに『サイレントヒル』に影響を与えたと言われる
奇っ怪な姿をしたクリーチャー達のデザインをはじめとした崩壊の姿が、
そういった儚い願いを無残にも打ち砕き、これ以上ない絶望感として伝えてくる。

そういった意味でも今作はホラーやスリラーに分類されるわけなのだが、
その実、最後に死んだ息子が迎えにやって来てくれるという、
幸せのうちに天に召されていくというメタファーが、
むしろ一番の幸せであったのだと観る者に感じさせる、
とても人間味のあるドラマに仕立て上げられているところも秀逸だ。

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主人公の名前がジェイコブで、ベトナムで試用された興奮剤が「ラダー」
と呼ばれているのだが、「ジェイコブのはしご」とは、
旧約聖書の創世記28章10–12節で、ヤコブが夢に見た、
天使が上り下りしている天から地まで至る梯子のことなのだそうだ。



実は今年、今作が新たな解釈でリブートされていたようなのだが、
この予告編を観る限りにおいてはオリジナルを超えていることはなさそう。
正直ホッとするとともに、余計なことをしてくれるな、とも思う。
この気分は『遊星からの物体X』の続編のときに感じた気分とまったく同じだ。

まさに触らぬ神に祟りなし。
傑作の記憶は美しままで保存しておいて欲しいものであります。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜日の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
この歴史上類を見ない危機的状況に際し、
すでに様々なメーカーが自身の本業以外での献身的な活動を行っています。
日本の有名なナショナルメーカーのニュースは伝わってきますが、
自分が贔屓しているメーカーやブランドの活動には、
とても胸のすく思いがするものであります。
  

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2020.04.24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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