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【あの頃映画特集 その1】PARIS, TEXAS

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週末の外出自粛が要請され、自宅での軟禁状態が続いている方も多いと思う。
新作の公開も続々と延期され、いよいよこの週末には臨時休業する映画館も多い。
私に至っては、あれだけハードディスクに貯まっていたテレビ番組も
すべて観終わってしまった。
(それにしても『テセウスの船』のラストはひどかったですね・・・)
そんなわけで、今は自身のDVD、Blu-rayコレクションや、
Amazon Prime、AppleTVなどで、様々な作品を観直している状況だ。

そんな、私と同じ穴の貴兄に贈る、お薦めの「あの頃映画」特集。
第1回は“ロードムービー”の草分け的存在で
ヴィム・ベンダース監督作品、『パリ、テキサス』(1984)。
クゥ〜〜〜〜懐かしいっ!

※今回はネタバレまで書くので、気になったら途中で読むのを止めて、
 是非レンタルして観てもらいたい。

「旅」とは、時に日常からの逃避であることも多いが、
全てのことから逃避せざるを得なかった男の物語。

paristexas1.jpg

元いた場所から少しでも遠くに行くことを目的としながら、
自身の根源とも言える場所を目指し、テキサスを彷徨うトラヴィス。
(その場所がテキサス州のパリスという街)
彼はすでに4年ものあいだ失踪していた。

砂漠を歩き続けた挙げ句に、なんとか辿り着いたガソリンスタンドで
行き倒れてしまうトラヴィス。
サイフに残されたカードから弟のウォレスの元に連絡が入り、
兄弟は4年ぶりに再会を果たすのだが、
トラヴィスは失踪の理由は元より、どこにいたのか問われても
一切口を開こうとしない。

ウォレスはなんとか兄を自宅のあるロサンゼルスに連れ戻そうとするが、
飛行機には乗りたがらないトラヴィス。
仕方なくテキサスからロスまで、レンタカーで連れて行くことになる。
ただ、それまで口を閉ざしていたトラヴィスは車で過ごす時間の中で、
少しずつウォレスに心を開きはじめ、
2人はゆっくりと兄弟の絆を確かめ合っていく。

車中での会話から、
トラヴィスがひとり息子のハンターを遺して失踪していたこと、
その子をウォレスと妻のアンの2人が育てていることが明かされる。

自身が赤ん坊のうちに失踪していたトラヴィスを、
直感的に父と認識するハンター。
そんな息子を直感的に自分の分身であると感じるトラヴィス。

ウォレスの家で、まだハンターが赤ん坊の時に撮られた8mmフィルムを
鑑賞するシーンがあり、トラヴィスの失踪後に、
ハンターをアンに預けて同じく失踪してしまった妻のジェーンのこと、
そしてハンターはこの8mmフィルムでしか
両親の姿を観たことがないことが描かれる。

そして、トラヴィスとハンターの2人は、
ジェーンを探すために、ジェーンが毎月仕送りを送金してくる
ヒューストンの銀行を目指して旅立つことを決める。

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その旅の終点で、ここまで隠されてきたトラヴィスとジェーンの
失踪の理由が明かされるのでありますが、
そのシーンが上のポスターにある場面。

冒頭から乾いたテキサスの砂漠を彷徨う、
かなり男臭いトラヴィスを映し出す本作のポスターとしては、
まったくミスマッチに見えてしまう潤いまくったこのポスタービジュアルですが、
実はこれこそが今作の核心と言って良い瞬間。

それがフランスのパリを彷彿とさせる「Paris」に籠められた隠語になっていて、
潤いの対極にある究極的に乾いていて何もない「Texas」と対にされている。

この女性が他ならないジェーン(ナターシャ・キンスキー)なのですが、
なぜにこんな若くて美しい女性が、あのトラヴィスの別れた奥さんなのか?
なぜピンク色の壁の部屋で、ショッキングピンクのワンピースを着ているのか?
これだけ見せられてしまうと、かなり不可思議に感じると思う。

ここはマジックミラーで区切られた狭い空間で、
電話機越しに客の要求に応える風俗店。
ジェーンは失踪後、この風俗店での仕事で生計を立てながら、
息子に仕送りを続けていたのである。

トラヴィスからジェーンは見えるのだが、
ジェーンからトラヴィスは見えない。
そんなガラス一枚隔てた空間で、まるで教会で罪を告白するように、
トラヴィスは問わず語りに自身の後悔をジェーンに語りはじめる。
そして、その告白が他ならない自分に向けられたものであること、
声の主が別れた夫であることを悟る。

冒頭から謎のままにされていた、トラヴィスが4年間も砂漠を彷徨い続けた理由。
ここに至るまでのトラヴィスの苦しみとしてすべて吐露されるこのシーンが、
風俗店のマジックミラー越しという特殊な空間であることが、
2人の関係のメタファーとなっている。

愛が深すぎるが故に、疑い、怒り、最後にはそれを持て余し、
相手だけでなく自身までをも傷つけてしまう。

その贖罪として、トラヴィスはハンターをジェーンに届けることを決意し、
再び姿を消してしまうところで物語は終わる。

息子と再会するジェーンと、責務を果たしたトラヴィス。
3人で新たな道を歩むことを選ばないことが、
それぞれの再生となっていることに、なんとも複雑な気分が拭えないのだが、
それでも人生は未来に向かって続いていくということを、
痛烈に、そして淡々と描き出したヴィム・ベンダースの力量は、
公開から36年を経た今でも、とても刺激的に映る。



YouTubeにラストシーンの動画があったので貼っておく。
一切の言葉もなくお互いを母子と認めるジェーンとハンター。
そして、そんな2人の再会を、離れたカープールの屋上から確認し、
走り去るトラヴィス。そしてライ・クーダーの乾いたギターサウンド・・・
・・・何度でも泣けます。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜日の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
例によってフラッとポチッてしまった『UNION TEAM STRATA』。
しかして、アンクルストラップが、
ノーマルから硬めの『EXO FRAME2.0』に変更されていた。
「どげんかせんといかん」という悪だくみが頭をもたげましてですね・・・
   

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2020.04.03 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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オートバイと
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