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ノクターナル・アニマルズ

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自らの名前を冠したブランドのファッションデザイナーであり、
イヴ・サンローラン、グッチグループ全体の
クリエイティブ・ディレクターも務めたトム・フォード監督作品
『ノクターナル・アニマルズ』。

その経歴だけですでに羨望の的なのだが、
そんな彼が映画の演出を手がけるのはこれで2作目。

監督第一作である『シングルマン』(2009)から
コリン・ファレルにジュリアン・ムーアといった大スターを起用し、
処女作からすでに別格。
それほどに彼のキャリアはズバ抜けており、
そんな彼の映像作家としての実力を測りたくて、
業界全体がウズウズして見守っていたと言っても過言ではない。

アートギャラリーのオーナーであるスーザン(エイミー・アダムス)は、
一見幸せな結婚生活ながら、その実、夫とはすれ違いの日々を送っていた。
そんなどこか満たされないスーザンの元に、
20年前に別れた元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から
「夜行性の獣たち(Noctural animals)」と名付けられた小説原稿が届く。

「君にインスパイアされた物語」とメモが綴られたその小説は、
物語の主人公が妻と娘と3人で出かけた旅行先で、
カージャックに遭い、妻と娘がレイプされたうえに殺害されてしまう。
妻と娘を失った男はその後、地元警察官とともに犯人たちを追い詰めていく。
という内容であった。

その物語は、過去の2人の生活とは一見無関係に見えるのだが、
その小説を引き金にして、スーザンはエドワードと過ごした日々を回想していく。

そうして、自身がエドワードにしてしまった過ちとともに、
彼がなぜこの小説をスーザンに送ってきたのか?
エドワードの真意を辿る逡巡の旅にスーザンは流されて行く・・・

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こういったマルチタレントな人は、とかく妬みや嫉みの対象となるが、
トム・フォードの場合、ルックスもダントツにカッコよく(上の画像左の男性)、
天が三物も四物も与えた典型のような人なので、それも尚のことだと思う。

クリエイティブ・ディレクターと言っても、
それがどんな仕事か分かりづらいかも知れない。
それまでは完全な分業体制でまとめ上げられていたブランド管理を、
ショーの総合演出、店舗デザイン、衣装ケース、
箱、手提げ袋、包装紙に至るまで、
ファッションブランドのユーザーエクスペリエンスのすべてを、
デザイナーでありながら統括し、設計し直した第一人者。

本職の方も、ぐうの音も出ないほどの完璧主義者で、
完璧なだけでなく、それは革新的でもあり常に時代をリードしていた。
正直私もムカつくが、そういった感情など軽く通り過ぎてしまうほど
分かりやすい天才だ。

とはいえ、クリエイティブ・ディレクターと、映画のディレクターでは、
求められるものはまったく違う。
トム・フォードが映画に手を出すと聞いたときは
嫌な予感しかしなかったし、まだ妬みの感情が通り過ぎていなかった私は、
「失敗しろ」くらいに思っていたのですが、
こうして観終わると「失礼しました」と感服せざるを得ない。

とはいえ、メジャーで大ヒットするような種類の作品ではなく、
かといって、テレンス・マリックのようなカリスマ的作品でもない。
どことなく行き先不明な印象が拭えないのだが、
彼の場合、それもまた独自性と革新性と言って片付けてもいいのかも知れない。

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カット割り、そして映像がとにかく美しい。
テレンス・マリックの即興のような映像美とは真逆の、
端から端まで計算し尽くされた、数学のような映像美だ。

今作もとてもセクシャルな内容になっていて、
送られてきた小説の内容は、性的な欠如感、
簡単に言ってしまえば欲求不満を抱えた男女のメタファーになっている。

そういったタブーに近いセクシャルな表現を、
美しいオブラートに包んで提示している作品なわけだが、
こういった高尚さが前面に出ている作品の場合、
観客を煙に巻くように、バッサリと終わっても良さそうなものなのに、
なんとか分かりやすくオチを付けようとしているところが興味深い。

私はこの小説は元夫からのラブレター(恋文)だと捉えたが、
元夫の仕組んだ復讐と捉える方もいるようだ。
こういった解釈の幅も、天才トム・フォードが狙った結果なのか?
それとも単に外しただけなのか?と、観る人によって賛否が分かれそう。

興味があれば、あなたの結論を確認してみてください。
そこはかとなく漂うような雰囲気で暴力的な描写や内容を覆い尽くす。
かなり希有で実験的な内容ですが、
そのぶん徐々に体内に浸透するように堆積する衝撃が、
なんとも病みつきになりそうな作品です。
(オススメ度:60)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
悪いながらも一日を通して状況の変わらない波だったので、
ラウンド毎に違うボードを試してみました。
続けて試すといろいろ見えてくるわけでして・・・
  

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2019.11.15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

Author:埼玉のへそ曲がり
オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

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