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ヘルボーイ

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シェイプ・オブ・ウォーター』で第90回アカデミー賞において、
4部門受賞した鬼才ギレルモ・デル・トロによって、
2004年に映像化された『ヘルボーイ』。
今作はその続編ではなく、完全なリブート作品。

前作が傑作の呼び声高い中、それをまた再構築するという作業が
いかに難しいことなのかは言うまでもないだろう。
何かにつけ前作と比較される運命を背負った製作陣の覚悟は大した物だと思う。

ただ、そういった険しい道であるにも係わらず、
敢えてそこに挑戦させるだけのコンテンツとしての強い魅力が、
この『ヘルボーイ』にはあるのだとも思う。

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もちろん、このへそがねじ曲がりまくった奇っ怪なコンテンツと
心中しようとか思うような輩たちなので、
ドのつく変態であることは、この際疑いようがない。

悪魔の子が人間社会で悪魔払いのエージェントをしていて、
払うべき悪魔は人間を殺すこと(及び食べること)に一切の躊躇もなく、
つまり、その行為は美しさの欠片もなく残忍でただただグロい。
このおどろおどろしい、ホラーとスプラッターギリギリ
(というかある意味超えてる)という舞台設定に、
自分勝手な皮肉屋で、人情味に溢れた超のつく寂しがり屋という
ねじ曲がった主人公が登場するのコンテンツを成立させるには、
そのほとんど出オチに近い世界観のコントラストを、強烈に上げる必要がある。
こういった挑戦は『デッド・プール』でも試されていて、
こちらも超のつく変態たちの高らかな賛歌となっているが、
『ヘルボーイ』はそこから趣味の悪い悪ふざけを取り除いた
真面目な変態映画となっている。

つまり、ジョークでグロさを中和していた『デッド・プール』に対し、
こちらはあくまでも寅さん的な「軽妙なノリ」だけでそれを中和しようとしており、
超グロい『メン・イン・ブラック』とも言えるかも知れない。

そう考えると、ギレルモ・デル・トロ版の『ヘルボーイ』が、
そういった変態濃度をいかに抑えて、一般ウケするギリギリの
安全深度まで持っていったのか?という逆の苦労が良く分かってしまい、
改めてギレルモ・デル・トロのスゴさを感じてしまう。

先週『アド・アストラ』の感想で、
宇宙服がどうのこうの、空想科学がどうのこうのと言っていたことと、
完全に二枚舌になっておりますが、
大括りに「SF」と言っても、リアリティを追求すべき作風もあれば、
あくまでも寓話、おとぎ話としてサイエンス・フィクションを活用する作風もある。
でも、その二つの境界線はかなり曖昧で、
だからこそ、その境界線の跨ぎ方に製作陣の高いセンスが求められる。

昨今、日本発信の「ヲタク」という概念が、
そこに新しいセンスや概念を持ち込んでいると言え、
自他共に認めるヲタク監督であるギレルモ・デル・トロが料理した
2004年の『ヘルボーイ』の絶妙さが染みるように分かる。

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2019年の『ヘルボーイ』にも、そんな前作が築いた世界観が引き継がれ、
もちろんそこに新たな感性が加わり、変態濃度は更に高まっている。
そうしてデル・トロ版を超える強力な磁場が発生していることは確かだ。

こいった魔界から現れる悪魔たちに施されたデザインを見れば、
今回の『ヘルボーイ』がどれだけ変態方向へ舵を切ったのかが良く分かる。
とにかく、世界観の理不尽さ、残酷さ、そして圧倒的な滑稽さに関しては、
かなり振り切った描き方をしてきています。

つまり、変態濃度低めのごくごく真っ当な一般視聴者にとっては、
ただただ気色が悪いだけの映像が無駄に連なって見えるだけかもしれない。

そんな変態向け娯楽作品だから許されるというものでもありませんが、
ディテールの整合性に関してはかなりおざなりな印象。ほとんど説明不足。
ストーリーもそこそこ(いや、かなり)荒削りで、
カッコはいいけど中身の薄い出来の悪いミュージックビデオのよう。
残念ながらそういった部分はデル・トロ版を継承できていない。

できるならば、ほんの少しでいいので物語に機微を持たせて欲しかった。
とは思うが、そういった繊細な神経を持つ人間には
こういった振り切った映像は撮れないと思うので、
痛し痒しといったところか。

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ちなみに、私はド変態なので、かなり楽しく観させていただいた。
今作では魔界からの客人によってかなりの死傷者が出ますが、
『ベルセルク』的な濃厚でいてセンスの良い
グロい描写にはかなりハマりました。

『ソウ』+『エヴァンゲリオン』+『アイアンマン』がお好きな方なら
必見です!(一般の方へのオススメ度:50)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週火曜日の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
近頃あまり調子よく波に乗れておらず、すっかり積極性に欠けている私ですが、
ワケも分からず絶好調に乗れてしまうこともあるから
サーフィンは止められません。そんな週末のお話です。
  

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2019.10.11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

Author:埼玉のへそ曲がり
オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

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