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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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いやはや。
クエンティン・タランティーノ最高です。
やっぱりこの人スゴいや。

という以外に言葉もない。

〜〜では、記事にならないので、もう少し話すことにしよう。

もしこの映画を観に行くのならば
「シャロン・テート殺害事件」のことは知っておくべきだ。
これを知らないと何も始まらないし、
今作を観てもちんぷんかんぷんだろう。

とはいえ、ここでその事件のことを知ったがぶって説明するのも
蛇足感たっぷりなので興味があったら各自でググってもらいたい。

という前提で話を進めさせていただくが、

この『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』という作品を
一言で説明するならば、
タランティーノのこの時代性への憧れ感に溢れている映画。
ということになる。

タランティーノの映画は正常者から見ると、
ことさらにその異常性が浮きだって見えると思うが、
まさにタランティーノが愛してやまないのは、
個性と言う名の“異常性”だと思う。

昨今、それは「多様性」とか言われているが、
誰かにとっての「正常」は、
誰かにとっての「異常」であるということで、
その尺度をラジカルに超えたあたりまで引き揚げて、
それらを映像化させるとこの人の右に出る人はまずいない。

1960年代の終盤のアメリカは、
国ごと異常だったまさに狂乱の時代なので、
そんなタランティーノにとってはまさに大好物なのであろう。

そして、その愛ゆえに、異常であるからこその救いを描くところも
タランティーノ作品が特異でありながらも
万人に受け入れられている所以だと思う。

そうした愛すべき異常者たち(自分では気づいていないあくまでも個性)
の物語が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。

もの凄いエネルギーに満ちていて、
そのエネルギーがすべて「自由」というベクトルに作用していたが、
それらに陰りが見え始めた1960年代後半。

いま香港や台湾で行われている市民の自由を巡る抗議活動は
もちろん正常な行為だ。

そういった市民が獲得すべき権利という意味では
ここで描かれている「自由」も同じだが、
獲得しようとしている自由のレベルが「ドラッグ」だったり、
「フリーセックス」だったり、過剰な金儲けだったり、
度を超した虚栄心だったりするわけだから、
それを市民が獲得すべき自由の範疇に入れるべきかどうかの判断は、
この際言わずもがなだ。

そうした熱が急速に冷め始めた時代。

エンターテインメントもテレビから映画へと移行をはじめていた大きな変革期に、
シャロン・テートがヨーロッパの映画界で脚光を浴びていた
ロマン・ポランスキーと結婚していたことは単なる偶然ではない。
そして、巨大な熱量を持て余して凶行に走ったヒッピーのカリスマは
そんなポップカルチャーの象徴と言っていい存在。
そんな巨大な資本と思惑が渦巻きながら、繰り返される成功と挫折の裏側で、
失敗もしなければ、失望もしない自由を謳歌する集団が、
狭いロサンゼルスという空間に同居していたわけだ。

その二つの世界が突然衝突してしまったことについて、
それが時代の必然であったことについて、
タランティーノはそこに大きな時代性を読み解こうとしたのだと思う。

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そして、シャロン・テート事件を境にして、
シラケるように熱を失っていったヒッピー文化への郷愁として、
「もしもあのとき・・・」という寓話でもって、その先のハリウッドが、
ロサンゼルスという街が、そして、そこからのアメリカのポップカルチャーが
どうなっていったのかを想像する機会を、この映画は創出していると言える。

金も自由もクソくらえ的に自分の明日のことで手一杯の
無頼のスタントマン(とその飼い犬)が、
ラリってヒーローになるくだりは象徴的でいて即興的。
ほとんどダラダラになってしまう、そのギリギリまで映像のペースを落としておいて、
最後にとんでもない瞬発力でもって物語を引っ張り上げる。

タランティーノが愛してやまない時代の空気感を再現することに
劇中のほとんどの時間を費やし、
そのためだけにブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオ、
アル・パチーノ、カート・ラッセルら豪華俳優陣を配置し、
最後の瞬間にそれらをすべて収束させ、
一気に破裂させる演出の潔さとカッコ良さ。
『パルプ・フィクション』の頃のタランティーノに戻っていたのが何よりウレシイ。

10作撮ったら引退すると公言しているタランティーノですが、
これで9作目(『キルビル』は前後編なので、
これらを別の作品として数えると10作品目になってしまう)。

そんなタランティーノですが、
なんと、『スター・トレック』の脚本を書いて自ら配給会社にプレゼンしていて、
その企画が動き出すとか出さないとか・・・言われている。
それが本当なら最後の10作目が、超メジャーな老舗コンテンツである
スター・トレックってあたりも、いかにもって感じでカッコイイ。

自分の制作会社を持っているスピルバーグや、
(以前持っていた)ジョージ・ルーカス、
そしてリドリー・スコットのように引く手数多の人気監督ではなく、
フリーの監督が自分の作りたいものだけを作り続けるということは、
それだけ身を削るような膨大なエネルギーが要るということなのだろう。

とはいえ、もし本当に引退なんてことになっても、
引退を撤回したソダーバーグのように
舞い戻ってきてくれると、私は楽観視しておりますが。
(オススメ度:90)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
ノロノロとしながら、行き先不明の大型の台風10号が、
やっとこさ熱帯低気圧に変わった週末に波乗りに行ったお話です。お楽しみに。
  

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2019.09.06 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
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