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女王陛下のお気に入り

この度の台風19号による被害を受けられた皆さまに
心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
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ロブスター』の鬼才ヨルゴス・ランティ監督作『女王陛下のお気に入り』。
第91回アカデミー賞にて、
アン王女を演じたオリヴィア・コールマンが主演女優賞を獲得し、
エマ・ストーンとレイチェル・ワイズの二人が、
同一作品から同時に助演女優賞にノミネートされ話題となった。

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舞台は18世紀のイングランド。
実に17度妊娠し、生まれた子供が一人として成人しなかった
と言われるアン王女(オリヴィア・コールマン)。
その代わりに何十匹ものウサギを可愛がる姿も痛々しく、
飽食の果てに重い痛風を患う女王を影で支えているのは
幼なじみのサラ(レイチェル・ワイズ)。

しかして、フランスとの戦時中においても、
政治的にも裏で様々な糸を引いていたのは他ならぬサラであった。

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そこにサラの親戚で、没落貴族の娘アビゲイル(エマ・ストーン)が、
サラを慕ってやって来る。
田舎育ちのアビゲイルは屋敷近くの森で薬草を摘んで帰り、
その薬草で作った湿布薬で通風による女王の足の痛みを和らげ、
その一件によってサラの侍女となり、一介の召使いの身分から昇進を果たす。

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そこから、サラに隠れてアン王女の寵愛を得て
上流社会への復帰を企むアビゲイルと、
自身の立場を危うくさせるアビゲイルの行動を
露骨に邪魔をするサラとの、壮絶でいて陰湿な女同士の争いが始まる・・・

アン女王の本心とは裏腹に、フランスとの戦争を堅持しようとするサラと、
戦費のために税金を上げることに反対するトーリー党の
ハーリー(ニコラス・ホルト)と結託して、サラに抵抗するアビゲイル。

戦争反対という、現代のある意味ステレオタイプな一般論で物語を眺めていると、
サラが裏で糸を引く悪人に見える。
対して、ある程度の地位にまで行かないと、
明日の生活さえおぼつかないアビゲイルの立場を考えれば、
手段を選ばないアビゲイルの行動も仕方のないことのようにも映り、
アビゲイル寄りに見えるように物語は進行する。
しかして、
ヒートアップするアビゲイルの行き過ぎた出世欲は、
物語の折り返し地点でサラとアビゲイルの善悪の関係を一気に反転させる。

結論としてはどちらの考え方も間違っているし、
双方共に「悪」に他ならないのではあるが、だからこそ、
私利私欲だけで、女王や国益さえも手玉にとる二人の女の姿が
可笑しくも恐ろしい。

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自身の深い寂しさから、心からの助けをサラとアビゲイルに求めるアン女王。
子供のように無邪気でありながら、残酷過ぎるほどの権力を握るモンスターを
演じたオリヴィア・コールマンの演技は何はなくとも必見レベルであります。

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エマ・ストーンとレイチェル・ワイズという、二大女優を脇に置きながら、
アカデミー賞 主演女優賞を獲得するとは、どういうことか!と、
いぶかしく思っていた私でありましたが、
二人の女性の骨肉の争いを中心にしながら、
記憶に残っているのは結局アン王女だけ。
その絶望的な孤独感と、生まれながらの責任感の間で揺れる
アン王女の存在感はこの映画中もはや別格。
それは観れば誰であっても納得の鬼気迫る演技であると言えましょう。

もちろんヨルゴス・ランティ監督の高い手腕も、
独特なカメラワークやカット割りなどに遺憾なく発揮されている。

『ロブスター』は「結婚できない独り者は法律で動物に変えられてしまう」
という奇想天外であからさまな寓話でありましたが、
その不気味さを逆に利用しながら、観る者に不条理な世界で暮らすことを
ギリギリの現実として見せることに成功していた。

今作では、どこまでが真実で、どこからが創作なのかの境界線が曖昧な、
放蕩の度を超す悪い冗談のような狂乱の18世紀のヨーロッパを描き、
現実でありながらも、どこか作り話のようにもとれる
重く不穏な空気に包まれた世界観を、見事に描き出している。

明解な想像力と、歪みきった現実の攻防を是非堪能して欲しい。
(オススメ度:80)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
各地で甚大な被害をもたらした台風19号。
荒川からほど近く、浸水被害が懸念される私の住む町にも、
度重なる警報が鳴り響き、深夜過ぎまでまったく気の抜けない
息苦しい一日となりました。
  

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2019.10.25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

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