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万引き家族

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ハタ目には、貧乏しながらも仲睦まじく暮らす普通の家族に見える“集団”。
しかして、題名にもある通り、その集団は万引きをしながら生活をしていた。
万引き行為は大人だけでなく、子供にまでさせており、
その集団、もしくはそこに含まれる大人が常識の外で生きる者たちであることを、
観る者に冒頭のシーンから印象づける。

そして、彼らが暮らす家は「おばあちゃん」の家で、
おばあちゃんが年金を受給するためには
1人暮らしであることが条件であるため、
市役所の年金課の人間と思われる定期的な視察時には、
子供を含めて姿を隠している様子も描かれる。

あえて“集団”と呼んだのは、
家族のテイは保ってはいても、彼らが本当の家族でないことは、
わざわざ説明されなくても十分感じ取る事ができるからだ。

日雇いの土木作業員の「父親」。
クリーニング屋でパートをする「母親」。
風俗店で働く「母親の妹」。
不登校の「息子」。

なぜ無関係な人々が、一つ屋根の下で肩を寄せ合って暮らしているのか?
そんなワケアリな彼らの素性は、映画の最後まで明かされないのだが、
物語の途中から、彼らが集まった経緯のことはどうでもよくなってくる。

ある日、スーパーでいつものように食料や日用品を万引きした帰り道に
家庭内暴力を受ける少女を見かけた父親は、その子を連れ帰ってしまう。
翌日、少女がいた場所に連れ戻そうとするが、
実の親である夫婦が「私だって産みたくて産んだんじゃないわよ!」と
口論する様子を見て、少女を返さずに一緒に暮らすことを決意する。

それはもちろん世間から見れば誘拐ということになるのだが、
彼らの視点から見れば、それは“保護”に等しい行為なのだ。

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そんな法律や倫理感や社会性の外側に暮らす
家族のテイを保った6人の“集団”は、
いつ終わるとも知れない、タイトロープの上を歩くような、
しかして、とても幸せそうに見える、エッジィでいて普遍的な生活を続けていく。

「自分で生まなきゃ家族になれないの?」

そもそも家族とは何か?
絆とは何か?

なぜ人は一人では生きていけないのか?
なぜ人は家族という群れを形成するのか?

家族とは、社会とは何か?
死ぬほど苦しんで、悩んで、逃げて、
だからこそ他人の痛みが分かるし、
だからこそ痛みを分かってもらえる人間を見極めることができる。

「遺棄したんじゃない。拾ったんだ。」

誰かが捨てた絆を拾って、それを集めて家族の形をした別の絆に組み替える。
奇跡的にそういう“集団”に出会えたことへの感謝と、
それが決して永遠には続かないことも理解している儚さの中で、
幸せな一日一日を噛みしめるように生きる“集団”の様子が切なく映ります。

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樹木希林をはじめとした、この“集団”を演じる
一人ひとりの演技を超えた存在感には、ひとこと「圧倒される」。
中でも、自身の女としての純粋な欲望と、
果たすべき責任があることで得られる幸福感という、
人間のもつ両極端の特性を一つの人格として見事に表現しきった
安藤サクラさんの演技には、まさに感服いたしました。

真の家族愛を描いた、とても素晴らしい映画です。
(オススメ度:80)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜日の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
とても息の長いシーズンとなった、
今年のスノーシーズンをふり返ってみようと思います。
お楽しみに。

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2019.05.31 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
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近ごろ波乗り。

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