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A GHOST STORY

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私のようなオールドタイマーだと、
ついデミ・ムーアの『ゴースト/ニューヨークの幻』の方を連想してしまうが、
物語も、主旨も、それとはまったく違う。

かといって、オカルトやホラーの類でもなく、より哲学的でいて概念的。
ひょっとするとSFの方が近いのかもしれない。

マンチェスター・バイ・ザ・シー』のケイシー・アフレック、
ドラゴンタトゥーの女』のルーニー・マーラ、
二人の実力派俳優が、あまり多く話をしない
仲が良いのか悪いのか分からない静かに暮らす夫婦役を演じている。
(なぜ今、夫婦仲が微妙である必要があるのか、
 映画の最後に分かるようになっています)
そんな名優二名でありますが、彼らの出番はそう多くはない。

特にアフレック演じる男の方は、
映画が始まって数分で死んでしまうあっけなさだ。

そして、劇中のほとんどを男の幽霊の行動が占める
とても静かな映画でありながら、かなり実験的で意欲的な作品だ。

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それもそのはず、制作は『エクス・マキナ』、『ムーンライト』、『ルーム』など、
創設から6年足らずで多くのアカデミー賞作品を世に送り出す
新進気鋭のスタジオ『A24』。

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おじさんにはオバケのQ太郎に見えてしまわなくもないが、
この粗挽きな感じが作品の憂鬱さを一層引き立てている。

予告編を観ていると、遺した妻のことが心配で成仏できない幽霊のように
見えるかもしれないが、はっきりとこいつは地縛霊。

何かを待つためにその場所に居続けること、
何を待っているのかを忘れてしまうこと、
待っているものに出会えず、諦めて成仏してしまう霊もいることなど、
いくつかの霊界のルールが絵解きされる。

そうして、誰も見たことがない幽霊の生態が淡々と描かれるのだが、
人間の生き様のように迷ったり狼狽えたりもするし、
北極圏で暮らす白熊の生態のように自然の厳しさを思わせたりもする。
過去も未来も喜怒哀楽も姿カタチもない存在が、
それでも存在し続けなければならないということ、
その場所に縛られる様々な怨念を背負いつづけることが、
一体どれだけ切ないことなのかを、文字通りに切々と描き続けていく。
まさに知られざるゴーストのストーリーだ。

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全編を通してこのインスタグラムのような不思議な画角で描かれ、
それはまるでマウントされた35mmのポジフィルムを、
ライトテーブルの上に置き、ルーペで覗き込んでいるような世界。

この狭くて制限の多い画角を採用したことで、
カット割りとトリミングにはかなり苦労したと思うが、
その甲斐あって、この不可思議な物語を、
おとぎ話にも現実的な話にもしない、独特な世界として定着させている。

果たして、この映画が鑑賞料1,800円に値するのか?
そう問われて「YES」と答えられる人はそう多くないようにも思う。

でも、だからこそ、ハマる人には一生忘れられない作品になる(かもしれない)。
そして、できることならテレビではなく劇場で観て欲しい。
Netflixのようにデジタル配信前提の映画コンテンツを生み出すフォーマットが
多くの脚光を浴びる中、A24スタジオが、ともすればテレビ向きともとれる
こういった作品を、スクリーン用に製作していることを考えれば尚のことだ。

すぐに劇場での上映は終わってしまうかもしれないので、
もし、興味のある方は急いだ方がいいかもしれません
(観られなくて良かった。と、あとで安堵するかもしれませんが)。

(大好き度:100 でも、オススメ度:10)
  

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2018.11.22 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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オートバイと
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近ごろ波乗り。

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