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2001年宇宙の旅 IMAX版

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『2001年宇宙の旅』について、説明は一切不要だろう。
1968年に初公開され、それから50年ものあいだ
多くの映画関係者に影響を与えつづけた、まさにSF映画の金字塔だ。

今年、制作50周年を記念して
ダンケルク』、『インターステラー』のクリストファー・ノーラン監修による
70ミリ・ニュープリント版のフィルム上映が、
国立映画アーカイブにて6日間のみ行われた。
ほどなくしてこのIMAX版の上映も決定し、
もちろん70mmのニュープリント版にも興味があったが、
私はIMAX版の方に気もそぞろになってしまっていた。

あの壮大な世界観をIMAXの巨大なスクリーンと
最高の音響設備で堪能したい。

私が初めて観たのはまだ小学生のときで、
実はスターウォーズのあと。
そのときは宇宙旅行について胸を躍らされただけで、
今作をほとんどゴジラやガメラと同じ目線で観ていたので、
この作品の底辺に潜む問題提起や芸術的考察に関しては
一切関知することなどできなかった。
それから度あることにリバイバル上映やビデオで観返してきて、
この作品の持つ本当の真意に気づけたのは大学に行く頃になってからだ。

そんな、一度観ただけでは理解しきれない
難解さもあってのことなのかもしれないが、
重要なのはこれだけ時代を経ても、何度でも劇場で観ようと思えることだ。
そんな多くの人々の思いがあってこそ、
何度もリバイバルで上映され続けてきたのだろうが、
まさかIMAX版を観る機会がやって来るなんて、夢にも思わなかった。

とはいえ、まだCGなんて手法が
ほとんど確立されていなかった50年も前のSF映画が、
最新の上映システムに耐えうるのか。
心配がないわけでもなかった。



しかして、例のリヒャルト・シュトラウスの
『ツァラトゥストラはかく語りき』が場内に鳴り響くと
そんな邪推はすべて打ち消されてしまう。
むしろ、フレーミング、音響、独特な間の取り方、
タイトルのタイポグラフィに至るまで、
140分間の上映時間の一瞬一瞬のすべてにおいて、
細心の美意識で貫かれていることを改めて知ることとなった。

そこにはSF的なサスペンスやミステリー、ホラーの要素などはなく、
人類の進化と、その延長としての人工知能の生存本能の芽生え、そして、
自己防衛本能による殺人(戦争)という人類が歩んで来た残酷で純粋な進化を、
キューブリックの疑問と問題提起として、一切の不純物なしに描いていた。

人類史上初めて目にする映像芸術であり、
だからこそ生まれ得たこの作品の唯一無二の存在感は、
IAMXであっても破綻させられることはなかった。

それどころか、今作が難解さ故に繰り返しリバイバルされてきたのではなく、
究極的に映像美を追求していたことで、ここまで人々に愛されてきたのだ
ということを、IMAXだからこそ理解することができてしまった。

上映前、まだ間接照明が灯る中、オペラの開演のように、
オーケストラのチューニングのような不協和な旋律が場内に流れ、
観客に着席を促す演出も施される。
そして、作品の途中で15分間の休憩を挟むのもオリジナル上映を踏襲している。

エンドクレジットが表示され、場内の灯りが点いても
シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』は
最後の一小節まで止むことなく鳴り響き、
まさにオペラを嗜むような世界観が映画館に広がるところも
今回の上映ではそのまま再現されていた。

11月21日には4K URTLA HD&HDデジタルリマスターの
ブルーレイがリリースされるそうだが、
まだIMAX版の特別上映の終了まで一週間あるので、
映画の歴史が変わった瞬間を、是非劇場で体感して欲しいと思う。
(オススメ度:100)

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2018.10.26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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