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アイネクライネナハトムジーク

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大分に行くとき、羽田空港の売店でこの本を買ったのは
その寸前まで『AX』を読んでいたからだ。

“恐妻家のスゴ腕の殺し屋” という興味を惹きやすい設定以上に、
その設定だからこそ描ける「家族愛」の話だと
最後の最後に気づける周到な伏線の張り方など、
読書でできるエンターテイメントを分かりやすく体験させてもらった。

そんなちょっと感謝にも似た気持ちもあり、
売店の棚で見つけたときには悩まずに買うことができた。
そして、この『アイネクライネナハトムジーク』もまた
そんな期待を裏切らない、もしかしたら更に上回るレベルで
読む人を惹き込む読み応えのある作品でありました。

元々は伊坂幸太郎自身がファンだった斉藤和義に
「出会い」に関する楽曲の歌詞を頼まれたことがきっかけで、
歌詞は無理でも短編なら、と短編の執筆を引き受けたのだという。
そしてその短編は『ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜』という
曲になり、そのシングルカットの際に書き下ろした短編を加えた
二作から着想した書き下ろしを加えた短編集が、
この『アイネクライネナハトムジーク』なのだそうだ。
斉藤和義の楽曲をネタにした部分も多く、
斉藤和義好きなら尚更楽しめる小説だと思います。

ただ、短編集とはいえ、個々の物語は有機的に結びついていて、
きちんとすべてのゴールになるように結ばれているので
短編集と言えばそうだが、書き下ろしの一編だと思った方がいいだろう。

それは映画の『ラブ・アクチュアリー』のように
多くの登場人物たちの個々の物語を描きつつ、その人物たちが
どこかでつながりを持っているオムニバスのような設えになっている。

そして、恋愛に関する物語であることも共通している。

さまざまな人々の恋愛に関する物語が、ウィンストン小野という
日本人初のヘビー級チャンピオンの活躍と紐付きながら、
彼ら自身、そしてその子どもたちに至るまで、
時空を超えて絡み合い、互いに影響しながら物語が綴られていきます。

ただし、あまりに登場人物が多く、
その人物がその後どこでどの人物と関係してくるのか、
それぞれがその後の物語の伏線を隠し持っていて
旧姓であったりすることも含めて名字をあえて伏せてあるので
余計に登場人物のつながりを覚えきれない。

加えて、現在、7年前、14年前など、
時間軸を同列に語られることもあるので、
尚のこと私のCPUの処理速度では追いつかないことも多く
せっかくの良い話がすんなりと入ってこないところは少々残念でありました。

今作も映画化が決定しており、
2019年秋に公開予定だそうです。
映画の紹介文を読むと、この本で私が好きな部分が
きちんと描かれているのか、かなり不安になる書き出しで、
私は観には行かないと思いますが、映画化されるほどなので
面白い物語であることは保証済みですかね。

言ったように300ページを超す一編の本なのですが、
各章ごとに読み切れる短編集であることは確かなので、
たまに開いて読みたいという方にも読みやすい作品だと思いますし、
何冊か同時併行して読まれる読書の虫にも最適な一冊だと思います。
  

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テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

2018.10.11 | コメント(0) | トラックバック(0) |

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埼玉のへそ曲がり

Author:埼玉のへそ曲がり
オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

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