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聖杯たちの騎士(2015)

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前作『トゥ・ザ・ワンダー』に続き、テレンス・マリックの描く、
映画というよりも美しい詩のような映像集と言った方が適切な作品。

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脚本家として成功した男が、
成功したが故に浮き足立つ自身と、
地に足を着けたいと願う自身とのあいだで迷いつづけていく姿を
カメラはただ淡々と追い続けていく。

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その迷いの旅路の果てに、
6人の美しい女性たちと出会い、
運命という答のない、実像のないものへの問いかけが、
女性たちを通し、繰り返し綴られていく。

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映画らしい物語もセリフらしいセリフもなく、
今作の意図するところも、これを観る者の視聴意欲ともなる目的すら
一切提示しないテレンス・マリックの独特な作風は
今作でも変わるところがない。

それなのに彼の抱える心の傷や葛藤が、
痛いほど伝わって来るのはなぜなのだろう。

ときに「聖杯」に喩えられるように、美しくも儚い女性たちを守る騎士として、
ときに母に赦しを請う息子として、自身の迷いの答と、自身の行いに赦しを求めながら、
互いに与え、そして奪い合う男女の様は説明が要らないほどシンプルで重厚だ。

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「Don't think. Feel.」
とでも言いたげな、情緒的な世界観だけが2時間のあいだ流れ続ける。

だからといって、これが退屈かというと決してそんなことはなく、
意外と2時間きっちり観続けることができてしまう。
もちろん、好き嫌いのはっきり出る作品だし、
好きであったとしても、観るときの情緒にも大いに関係してしまうであろうが、
だからこそハマったらかなりヤバい中毒性の高い作品だ。

そもそもこれだけ実験的な作品がYoutubeなどではなく、
有料コンテンツとして劇場配給されてしまうこと自体がほとんど奇跡だが、
そんな作品にクリスチャン・ベール、ケイト・ブランシェット、
ナタリー・ポートマンなど一流の俳優陣が揃ってしまうあたりに
テレンス・マリックのカリスマ性が垣間見える。

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当初『トゥ・ザ・ワンダー』の主役はクリスチャン・ベールで
企画が進行していたが、スケジュールの関係で
ベン・アフレックに交代してしまったらしく、
私は是非クリスチャン・ベールの方が観たかったと書いたが、
図らずも今作でその希望は叶った。

やはりクリスチャン・ベールの憂鬱な繊細さは
テレンス・マリックの作風に合っていると私は強く思う。
ベン・アフレックはテレンス・マリックの映像に出るには健康的に過ぎる。
病的なほどに不均衡な精神性が必要なのだ。

美しい映像だけでも癒やし効果抜群。
海をテーマにしているのか、
単にテレンス・マリックが海が好きなだけのかはわかりませんが、
この『聖杯たちの騎士』でも全編美しい海の情景が並び、
海好きにはたまらない映像集にもなっています。

まるで音楽のない2時間のミュージックビデオのような映画です。
優しい気持ちになったときに、ゆったりとした気持ちで観ると
尚良いと思います。
(私は大好きですが、言ったように好き嫌いの激しく出る作品なので、
 オススメ度:50)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜日の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
海をサボってでも楽しみたかった新しい玩具のお話です。
お楽しみに。  

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2019.06.21 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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オートバイと
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