FC2ブログ

伊坂幸太郎『AX』

2018_0528-13.jpg

伊坂幸太郎の『AX』を読んだ。
私は『グラスホッパー』しか観たことがないのですが、
伊坂幸太郎の作品は多く映画化されていた。つまり人気作家だ。
ということを知ったのはこれを読み終えてからだったので
先入観なく読めたのは良かったのですが、
そのためもあり読み終えるのにだいぶかかってしまった・・・
3ヶ月以上かかってしまった。
私の本に対しての情熱にかなりムラがあるコトも確かだが、
それ以上にこの小説の中盤が中だるみして
あまり面白くなかったせいも多分にある。


文房具メーカーの営業マンの三宅は、
実は業界でも一目置かれる腕利きの殺し屋「兜」として暗躍していたが
家に帰ればカミさんにまったく頭の上がらない恐妻家。

といった話で、殺し屋という強いメンタルが必要な稼業に身を置きながら、
家ではほとんどカミさんに遣いすぎるくらいに気を遣いまくるダメ夫。
という極端に強めのギャップが面白おかしく描かれている。

ちなみに題名の『AX(アックス)』とは、
山で使うアックスと同じ「斧」のこと。
今作では『蟷螂(とうろう:カマキリ)の斧』つまり
「弱者が自分の力をわきまえず強者に立ち向かうこと。
 身の程を考えず強がること。」の意味で使われている。

雌のカマキリは受精後に栄養を付けるためにオスを食べてしまう
という話を聞いたことがあると思うが、
その話にもかけているネーミングだ。

うだつの上がらない恐妻家の話を面白おかしく描いていて
最初は飄々としたその文体を含めて面白おかしく読めていたのだが、
「空気を読め」と「空気を読まず」を同時に言い放ってくる女性に
怯える男の話がさほども楽しいと感じる男がそうもいるはずもなく
私もだんだんと胸ヤケがしてきてしまい、中盤で一旦離脱してしまった。

2ヶ月以上鞄の中で放ったらかしにしておいたのだが、
他には一切することがなくなってしまった外出中の空き時間に
「仕方なく」読み始めると、私が中断したその直後で
主人公の兜はビルから身投げして自殺してしまった・・・・

「あれ????」主人公だったよな????

中盤以降、兜が家族のために裏稼業から足を洗おうと奔走する様子と、
自殺から10年経ったあとで父の死因に不信感を抱いた息子の様子が
平行して描かれ、時空を越えた親子の絆によって果たされる「答」が
最後には明示されていた。

中断せずにあと2ページ読み進んでいたら、
そのままその日のうちに読み終えてしまったと思えるほど
そこから急加速で面白くなっていた。

ミーハーな私なだけに、
彼の多くの作品が映画化されていることを知っていたら、
胸ヤケをおこさずに一気に読み切れたかも知れない。
いやはや、途中離脱したことも含めて、面白い読書体験となりました。
こういうこともあるんだよな。

というわけで、ひきつづき伊坂幸太郎で、
三浦春馬主演で今冬公開予定の『アイネクライネナハトムジーク』
を今は読んでおります。こちらもまた面白い。
近々そちらもご紹介させていただきます。
  

関連記事
スポンサーサイト

テーマ:感想 - ジャンル:小説・文学

2018.08.30 | コメント(0) | トラックバック(0) |

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

FC2Ad

プロフィール

埼玉のへそ曲がり

Author:埼玉のへそ曲がり
オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR