スリー・ビルボード

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原題の『Three Billboards Outside Ebbing Missouri』にあるとおり
物語はミズーリ州の片田舎にある3つの看板にまつわる話。

焼死体で見つかった娘の犯人が
半年以上経った今でも捕まらないことに業を煮やした
ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、
すでに朽ち果てようとしていた郊外に建つ3つの屋外看板に
「娘はレイプされて焼き殺された」
「未だに犯人が捕まらない」
「どうして、ウィロビー署長?」

という警察への挑発的なメッセージを掲載する。

小さな街エビングは、この屋外看板を発端に
ミルドレッドに同情する者、
住民からも慕われる人格者で、
ガン宣告を受け余命いくばくもないウィロビー署長をかばう者に
二分されてしまう。

南部特有の差別意識が強く、
気性が激しく素行の悪い警察官たちは
高圧的な態度で広告主であるミルドレッドや、
広告会社のレッドに看板を取り下げるように迫る。

その他にも署長派の住民たちに恫喝を受けながらも
ミルドレッドは頑として看板を下ろそうとしない。

元警察官であるミルドレッドの別れた夫(19歳の娘と付き合っている!)も
看板を取り下げるようミルドレッドに迫るが、
離婚の遺恨もあって、むしろ火に油を注ぐ結果となり
余計にミルドレッドをたき付けてしまう。

そして何者かに3つの屋外看板が燃やされ、
エルドレッドも目には目をで警察に対し報復行動に出るなど
事態は次第にエスカレートしていってしまう。

しかして、
殺されたエルドレッドの娘に事件に何かの裏や、
隠された事実があるでもなく、
捜査に不備があったり警察の怠慢だったりするわけでもなく、
本当に犯人に繋がる証拠を見つけることができなかっただけであった。

その事を頭の何処かでは理解しながらも、
脅迫と死の危険を冒してまで看板を下ろそうとしない
エルドレッドを突き動かす源は、
実は事件当日に娘へとってしまった彼女自身の態度にあった。
つまり、すべては自身へ向けられた怒りであった・・・

結局誰にも幸せな結末など訪れないことが分かったまま
エルドレッド、警察、住民たちの行き場のない怒りと
それによって繰り返される深い悲しみの連鎖を淡々と描きつづけます。

そしてそれぞれの抱えた怒りが収束するには、
それぞれをそれぞれが赦す他にはない。


未解決事件が解決していく様を描くサスペンスドラマかと思いきや、
「怒り」とそのはけ口である「暴力」、そしてその先に静かに待つ
「赦し」という人間が人間たるための根源的で本質的な姿を描いた
重厚な人間ドラマでありました。


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今作は第90回アカデミー賞で『シェイプ・オブ・ウォーター』と
最後まで主要な賞を争い、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、
高圧的で直情的な警察官ディクソンを演じた
サム・ロックウェルが助演男優賞と主要2部門を受賞した。

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フランシス・マクドーマンドと言えば、
やはり『ファーゴ』(1996)での名演を思い出す。
サイコスリラーのような猟奇的殺人事件に挑む
妊娠中の保安官マージの飄々とした態度が織りなす
明と暗、善と悪の放つコントラストが素晴らしかった。

さておき、まだご覧になっていない方は、
フランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルの二人が
映画の本当のラストの瞬間まで続ける
静かでも激アツな演技で魅せるバトルを楽しみにして観て欲しい。

この二人の火花散る攻防と、その後に二人が人間の尊厳を取り戻していく様に
二人の演技力の凄味、そして人間の弱さと
生き続けるための勇気の大切さを感じる事ができると思う。
(オススメ度:60)

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2018.06.01 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

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