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シェイプ・オブ・ウォーター

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パシフィックリム』の、というより、
今回は『パンズ・ラビリンス』の監督、と言った方が適切だろう、
ギレルモ・デル・トロ監督作品『シェイプ・オブ・ウォーター』を観てきました。

『パンズ・ラビリンス』を観た方なら、ギレルモ・デル・トロという人が、
目を背けたくなるような不都合で違和感のある出来事を、
ファンタジーで包み込むことで痛みを緩和しながら、
さらにその違和感を際立たせることに長けていることをよくご存じだろう。

今作でも、あらゆる枠や既成概念を超えて、
一歩間違えれば・・・という、ある種ギリギリの世界観を貫き、
様々なタブーに挑戦したからこそ描ける「純粋さ」を、
観る者に強く深く訴えかけてくる。

肌の色、国籍、ジェンダー、そして、単純な見た目。
今作でも『ブレードランナー2049』にあったような、
人間の最も愚かしい行為である、差別行為が、今作品の根底にも敷かれている。

主人公の女性は、
幼児時代に親から虐待を受け声を失い、川に捨てられていた孤児。

実験体としてアマゾンから連れて来られた半漁人と、
様々な偏見と差別に遭ってきた自分と一体何が違うのか。
声を失った女性は訴えます。

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半漁人との“恋愛”、そして“セックス”という、
ギレルモ・デル・トロ以外には誰も描かないであろう性愛描写
(なんていうほどグロいわけではなく、
 かなり美しいシーンになっておりますのでご安心ください)を通して、
外見では見つけることのできない人間の本質について、
観る者に響かせ、一瞬にして多くを考えさせられます。

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ラブロマンスという純粋な世界との対比として、
忌むべき異形の実験体として“彼”に虐待を続ける、
圧倒的で純粋な“差別の権化”が、愛し合う“二人”に迫ります。

その男の虐待の理由は、単に田舎町にある研究所から
さっさと都会に転勤したいという単なるエゴでしかない。
そして、国家というエゴの塊のような価値感も、
彼の命を、そしてその存在を脅かし、
差別意識の根源をそれとなく観る者の前に配置していきます。

そんなやりとりによって、
ハラハラさせられるようなサスペンスとしての展開も多く用意されており、
何より、『パンズ・ラビリンス』のラストシーンに代表されるような、
この監督の、時に凍てつくような残酷性と悲劇性を知る者であれば尚のこと、
この愛の物語がどのような結末を迎えるのか、
最後の最後まで予断を許さない展開となっておりました。

さすがはギレルモ・デル・トロ、
あからさまに倒錯した世界だからこそ、物事の本質が浮かび上がる。
恐ろしくも美しい物語でした。

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ところで、先日の第90回 アカデミー賞授賞式において、
今作は作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞の4部門に輝いた。
そもそもSFやホラーといった作品が、アカデミー作品賞を受賞するのは、
ちょっと考えられないような出来事でした。

今回の授賞式では、例の大物プロデューサーのセクハラ問題が引き金となり、
役者だけでなく、スタッフや、描かれるべき主題として、
女性や黒人の登用を多く望む声などが、受賞のスピーチでも多く発せられた。
そういった社会的、政治的背景も
今作の作品賞受賞に大きく影響したのかもしれない。

だからこそ、そういった社会問題を描く上で、
そこに寓話を用いるというギレルモ・デル・トロ独自のスタイルへの
関心が高まったようにも思う。
(オススメ度:80)
  

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2018.03.09 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
スノーボード。
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