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スノーデン

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2008年公開の『イーグルアイ』など、
テロ対策の名目で、人工衛星や街中の監視カメラや、
携帯電話、クレジットカードなどによって、
市民が監視される様が描かれていたが、2008年はまだ、
それらは夢物語であって、SFのようにしか見えなかった。

それからほんの数年経っただけの今日、ウェブサイトの閲覧ログや、
ネットショッピングでの購入履歴などによって、人それぞれの趣味趣向を特定し、
その人に合った製品やサービスを提供するアルゴリズムの開発や、
顧客データなどのビッグデータの活用は、いまでは普通に行われている。

それらもある意味、企業から「監視」されているようなものだと私は思うので、
その技術を使って、国家のスパイ活動が行われていても何の不思議もないと
私は思ってしまうのですが、それらはあくまでも国家が悪用しないことが
前提であるコトは言うまでもない。

今作は2013年6月に起こった、
アメリカ国家安全保障局NSAの元職員が、
アメリカのスパイ活動を内部告発した『スノーデン事件』を、
社会派の映画監督として知られる
オリバー・ストーンが実写化した作品だ。

現代は情報戦争と言われるほど、
各国の間でスパイ合戦が繰り広げられている。

そんな世界で、自国の国民を守るため、
世界中の危険分子を、ネットから現実まで、あらゆる手段を駆使して
抽出、発見し、監視する仕組みは当然必要にも思われる。

何より、何もやましいことがなければ、
アカの他人に知られて困るようなことがなければ、
何も恐れることはない、とも思ってしまう。

なので、今作で愛国心の強い、英雄のように描かれている
エドワード・スノーデンを、
時の大統領、バラク・オバマが言うように、ハッカーや、
売国奴と呼んでも、それもまた間違ってはいない、とも思える。

何より、オリバー・ストーンなので、
そこそこ偏った解釈であることは念頭に置いて、
今作を観る必要はあるだろう。

でも、ここで描かれていることの多くが事実だとすれば、
これほどの監視体制の正当性を説得できる人間など、
誰一人としていはしないことだけはすぐに分かるし、
劇中でも語られるように「二度と9・11を引き起こしてはならない」こと、
そして、それが情報戦の先に守られている事実も平行して示される。

つまり、正義だと信じて、個人的な悪用がないと信じて、
国民には秘密裏に行われるしかない、
これは、いわゆる必要悪のひとつだ。

日本でも、松本サリン事件で、犯人の乗ったクルマの足取りが、
高速道路などに設置されているNシステムによって発覚したわけだが、
表向きには、Nシステムの情報は記録されていないと公表されていた。

政府から高額な給料を受け取り、
ハワイでの裕福で幸せな生活を投げ打ってまで、
そして、当局からの攻撃を受ける危険を負ってまで、
告発する道を選んだ、スノーデンという人物の覚悟を含め、
果たしてこの事態が是か非かを、観る者一人ひとりが
正面から考えなければならないし、
世界はすでにここまで歪んでいると言うことを、
全ての人間が理解する必要があると思う。

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主演はジョセフ・ゴードン=レビット。

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最後に亡命したロシアからメディアの前に現れたスノーデンだが、
そのシーンはなんと本人が演じている。

これを観ると、ゴードン=レビットの役者魂を思わずにはいられない。
それほどに魂の籠もった熱演を魅せていることも、今作の見所だ。

こういった世界に暮らすことが幸せではないことくらい、
誰にでも分かることだ。
でも、そうせざるを得ない事実もまたそこには横たわっている。

今作は、そんな決して交わることない、平行した主義主張の間のどこかで、
我々が暮らしていることを知る良い機会になると思う。
  

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2018.02.02 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
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近ごろ波乗り。

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