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ニュースの真相

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先週紹介した『スノーデン』に続き、
実話に基づいた社会派作品のお話です。

時は2004年。
日本でも報道されていたので、記憶されている方も多いと思うが、
時の大統領ジョージ・W・ブッシュの軍歴詐称疑惑報道が今作の元ネタ。

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そのスクープを放送した当時のCBSの人気ニュース番組「60ミニッツ」の
ディレクター、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)だったが、
放送後、とあるブログで、証拠となった文書が、
書かれた時代には存在しないはずの、マイクロソフトのワードで
タイプされた偽造文書であるという疑惑をかけられてしまう。
その後、証言者達は手のひらを返したように証言を撤回しはじめ、
CBSも、報道はスタッフの間違いであったと幕引きを図りはじめてしまう。

そのあと、CBSは、日本で言うところの放送倫理委員会のような、
外部の調査機関に真相の究明を依頼し、
ニュースをスクープしたヒーロー達は、一夜にして嘘つきと呼ばれ、
一転して疑惑の渦中に放り込まれてしまう。

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映画の前半はそのスクープの取材現場の緊迫したやり取りが描かれ、
後半はその査問委員会の模様が中心となる構成で、
前半部はまだしも、後半は裁判映画のような緊迫したやり取りもなく、
むしろ、「何も余計なことを話さずに、事の推移を見守るが吉」みたいな、
事なかれな対処療法が描かれるので、はっきり言って面白くも何ともない。

ただ、審議会で問われるただ一点の問題点が、
責任を問われる人間の「政治思想」であるというところに、
とても興味を惹かれました。

つまり、この報道が、
偽の書面(と思われるもの)を元に行なわれたのかどうかではなく、
大統領と、政府に対し、個人的な政治思想によっての
攻撃であったのかどうか?ということが放送倫理として調査され、
裁かれているのである。

もっというと、ジョージ・W・ブッシュという人物が嫌いだから、
彼を貶めるために、報道という立場を利用して、
攻撃を仕掛けたのではないのか?という疑惑だ。

個人的な思想と、国民が知るべき情報の違い。
そしてその両者のどこに線引きをして選別するのか。

報道する側も一人の個人であり、
大統領もまた一人の個人であるということ。

仕事と、個人の利益、公益性をどう秤にかけるのか?

考えたこともなかったので、まさに目から鱗でありました。

物語は、報道の揉み消しともとれるような、
外部からの圧力を想起させるように進められ、
真実を隠蔽する見えない力の存在をあぶり出すことに
焦点を置いて進められますが、そういったわけで私は、
見えない圧力の存在よりも、
報道というものの有り様の方に強い関心を抱かされました。

例の森友学園の件でも、加計学園の件にしても、
果たして日本で、このような倫理感が守られているのか?を考えると
甚だ心配になってくる。

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最後に話をこの映画に戻すと、なぜ完全な確証のないこの文書を、
大統領の軍歴詐称の証拠としたのか?について、
メアリーが査問委員会で問われるシーンで、

「知っていたにせよ、調べたにせよ、内部の事情に精通し、
 全員を欺くことの出来る、この完成された文書を作成できるような人物が、
 わざわざマイクロソフトのワードで文書を偽造するはずがないからだ」


と答え、更に、

「そもそも真偽に関して明らかにしないといけないのは、
 書面が偽造であるかどうかではなく、ブッシュが就いてもいない軍歴を、
 そうであるかのように詐称したのかどうかの方だ!」


と、訴えるケイト・ブランシェットの迫真の演技
(上に貼った予告編の冒頭に、そのさわり部分が収められています)が、
この映画の最大の見所でありました。

エンターテインメントとしては、決してオススメはできませんが、
なかなか考えさせてくれるという点では良作でありました。
これもまた映画の持つ魅力のひとつだと改めて思わせてくれるような、
まさに社会派映画のお手本のような作品でありました。
(オススメ度:50)
  

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2018.02.09 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

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オートバイと
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