RICH PAVEL KLINKER 6'3"

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この『クリンカー』は、テールの6チャンネルが目を惹く変わり種だが、
その素性は、基本 “シングルフィン” のそれだ(と思う)。

ただ、出地はシングルフィンとはいえ、ショートボードのようなピンノーズと、
スカッシュ気味の細目のラウンドテールに、
ちょっと下げめに配置されたワイデスト ポイントを組合わせた、
機動性重視の尖ったアウトラインに、シングルフィンを組み合わせた
このディメンションはそこそこ異質で、
マニューバーなんだか、大きなターンを描きたいんだか、
素人目にはちょっと使途不明なところがあるのも確かだ。

もちろん手練れが乗れば、その両方の性能を引き出すことのできる、
懐の深いボードなのであろうが、私レベルにはトーゼン無理だ。

でも、そんな得体の知れないところが、GENTEMSTICKのTTと同様に、
へそ曲がりの私には超絶に堪らない部分として映り、
本当は別のボードを見に行った八王子のRIDEさんにストックされていたこいつと、
つい “目が合ってしまった”。

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特にこのチャンネルの造作の美しさには、一瞬で目を奪われてしまった。
サーフボードの製作工程を知る方なら、こういったディテールを生み出すには、
「匠の技」が必要になることが、すぐに理解できてしまうだろう。
実際手に入れてから、同様のチャンネルボードを気にして見るようになったが、
この部分が、ここまで繊細でいて、重厚にまとめられているボードは
他では見たことがない。まさに「他に類を見ない」というレベルだ。

もちろん、造作の美しい仕上がりと、乗りやすさは無関係で、
ボリュームの薄目な見た目の通りに浮力は少なめで、
はっきりとテイクオフは遅い部類。
しかして、それによる抵抗感の低さによって、
逆にテイクオフしてからの走り出しは、かなり軽やかでいて、速い。
つまり、初心者にはテイクオフも、テイクオフしたあとも、
決して優しくはないボードでありました。

もしも、これをオーダーして買うとすれば、せめて6'8"、
もしくは7’0”くらいまで、ボリュームを上げてオーダーしただろう。
せっかちな私に、数ヶ月待たされるオーダー購入が無理だってことを、
横に置いておいても、「6’3”では浮力が足らない」と気づけたのは、
乗ってみたからこそ知り得たことなので、
そんな失敗の予感を差し置いてまで、手に入れようと思えるモノと
「目が合う」ことは、とても重要なことだと、
強がりでもなんでもなく、私はそう思う。

さておき、そういった「乗ってみたら合わなかった」なんてこと、
サーフボードの世界ではどこにでもある、極めて普通の話だ。
なので、完全な自分仕様を創り出せるカスタムオーダー制度に加え、
もしもに備える受け皿としての、中古サーフボード市場が、
サーフィン界には、すでにしっかりと確立されている。

それなのに、まともに乗れないこのボードを、
私が手放さずにいたのは、私の中に
「その軽さを武器に変えられる日がいつか来るだろう」という、
根拠のない自信、というか「そうなりたい」という願望があったからだ。

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今年は、こいつを手に入れて2シーズン目となるわけだが、
やはり苦手意識は根強く、本格的にシーズンインしても、
他の安定感の高いボードを差し置いてまで、持ち出せずにいた。
でも、逆にいつも気兼ねなく乗れているボードたちが、
苦手とする場面に出くわしたことで、ちょっとした予感が生じ、
重い腰を挙げて、先日の茨城に持って行くことにした。
すると、それまでの苦手意識はどこへやら、
乗り始めから他の乗り慣れた浮力のあるボードたちと較べても、
(あくまでも私のレベルでの話ではあるが)まったく遜色なく乗れてしまった。

いつもならば、波のトップから急降下してしまう、
パッキーンと早足に割れてくるような波でも、
胸を反らせて荷重を後ろに移せば、細いテールを波に食い込ませて、
波のトップでテイクオフの一拍の「間」を作れた。
逆に走り出しの遅くなる、ぶ厚い波では、胸でボードを押せば、
細いノーズと適度に入れられたロッカーを使って、
ボードを下り斜面に滑り込ませることができた。

そうして、ひと度走り出せば、とにかく速いので、
振り落とされないように姿勢を低くして、急加速に備える必要があるが、
テール側をきちんと踏めれば、
この多チャンネルとシングルフィンが、イイ感じにストールして、
まっすぐにボトムを駆け抜けずに、深いターンでボードを返してくれる。
あくまでも走り出しの刹那にきちんとテールを踏めれば。
という条件付きではありますが、
それに気づけただけでもめっけもんであります。

そして、うまいこと波のフェイスにレールを噛ませることができれば、
長い時間、波のハイラインをトリムしながら走らせることもできる。
もちろん、もっとテールのチャンネルを活かす滑らせ方ができれば、
深くてえぐるようなターンを、でっかくドライブさせられるはず。

というわけで、まだまだそのとば口に立ったに過ぎない状況ではあるが、
やっと、その先にある「本領」を垣間見られるような場所まで来られた。

オートバイでも、スノーボードでも、サーフィンでも、
ゴルフでも、釣りでも、道具を使う趣味はみなそうだが、
自身に足らない技術的、体力的なパートを補完し、
実力や、技術を拡張してくれるのが、道具の役目だと思う。

でも、本当に良い道具とは、そういった補完の仕方、
使い勝手の良さだけに留まらず、
使う者の視野や、楽しみの幅までをも拡げてくれるものだと思う。
乗れるようになってから、それを手に入れるのも良いが、
だからこそ私は、乗れるようになりたいと思えるボード、
手に入れたときから、視野を広げてくれるボードを手に入れたい。

そういった、使ってみなければ分からないことを、先に予感させるのは、
紛れもなく、作り手の魂の籠め方が顕れる、
見る者の心を奪うような “品質(ディテール)” だ。と、私は信じている。

有名シェイパーの削り出すプロダクトには、そんな魂が宿っている。
まさに思うつぼかも知れないが、そう思いたい、信じたい私だ。
  

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テーマ:サーフィン・ボディボード - ジャンル:スポーツ

2017.06.13 | コメント(4) | トラックバック(0) | サーフィン

コメント

とても良いボードをお持ちですね(笑)
確かにテイクオフは難しいかもしれませんが一度でも良い波で気持ちよく乗れてしまったらもの凄いスピードで波を滑りますよ〜

写真にあるボードはどれも癖があるけどその分乗り込んだ時の気持ち良さは格別ですのでそれまで頑張りましょう!

今年は皆さんと初セッション目指して頑張ります(笑)

2017-06-13 火 13:35:35 | URL | dan #- [ 編集 ]

なるほど、これはもう次の板への布石ですね。
また素敵な出会いがあるといいですねー!

2017-06-13 火 17:10:01 | URL | Y太 #- [ 編集 ]

danさん
おっとりしたボードの方が好みなんですけどね〜〜
それでも惹かれちゃう魅力があるんですよ〜〜

海で見かけたらお声がけくださーい!

2017-06-14 水 09:47:13 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

Y太さん
いえいえ、布石なんかじゃありませぬ〜〜〜
でも、出会いは大切ですな!

2017-06-14 水 09:51:29 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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