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富士山チャレンジ【後編】

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11時45分:標高3,400m
スプリット・ボードの私とONさんは、
大事を取って3,000m付近からアイゼンに履き替える。

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痙りはじめた左足だが、IK隊長にもらったタブレットのおかげか、
そのあと症状は出なくなった。飲んですぐ効くなんて、すごい即効性だ。
(ちなみにこれで「つらん」と読むらしい。ベタだが分かりやすい)
サプリメントの大切さを身をもって知る。
もちろん下山してすぐに買い求めた。

さておき、実はONさん、
仕事の関係で前日は1時間しか寝ていない・・・
口には出さないが、かなりキツかったはずだ。
それなのに前を歩いて足場を作りながら、
「あとは何も考えずに一歩一歩足を前に出していれば着いちゃうから」と、
私のペースに付き合ってくれた。こちらの副隊長も
ガイド並(もしくはそれ以上)のホスピタリティの高さを誇っている。
否、フォースの強さを持っている。

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富士吉田口登山道が近づいてきた。
上の画像に見えるのは8合目の山小屋。下は9合目の鳥居。
ちなみに、この二枚の画像の間には1時間が経過している・・・
いつまで経っても景色が変わらん。

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12時45分:標高3,600m
このあたりまで来ると、滑り始める準備などほぼ不可能になるので、
「もう登るしかない」と、いっそハラが決まる。
あまり上を見ないように心がけるが、やはり、ついつい見てしまう。
眼下の景色と同様に、頂上も一向に近づいては来ない・・・
何時間登っても、頂上の山小屋の見た目のサイズは変わらないままそこにある。
かなり残酷な目の錯覚だ。

出発してからすでに7時間が経過しようとしている。
もはや、自分が限界なのかどうかさえ分からない。
かといって、無我夢中になれるわけでもなく、
冷静に苦しさと向き合わされる、苦行と言っていい修行系。
そんな正念場が5分おきに訪れる。

ちなみに、アイゼンに履き替えることなく、
シールのままスタスタと登り詰めてしまったIK隊長は、
この時すでに登頂を果たしていて、
山頂で1時間以上もの間、我々を待っていてくれた。
連休中も3,000m級の山々を連日登っていたらしく、それもあって絶好調の様子。
本人曰く「今日はやけに身体が軽いわ〜〜〜」。

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人生ゲームのようにマスを入れ替えられるルールがあれば。と、真剣に願う。
というのも、IK隊長は、この翌日曜日も吉田口から登頂を果たした。
二日続けて富士山詰めるって、どんだけ〜〜〜〜〜!!
それだけ体力が有り余ってたら、
1時間くらい登りを交代してもらってもバチは当たらんだろう。とか、
もはや、それくらいのことしか頭に浮かんでこない。

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13時17分:標高3,710m 登頂!
須走口から7時間半、標高差1,800mにある吉田・須走口山頂に到着。
のど元過ぎればなんとやら。
辛かったことはさっさと忘れて、現金に達成感に酔いしれてみる。
成せば成る。成さねば成らぬ、何事も。

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まさか登頂できるとは思いもよらなかった。
おかしな言い方だが、絶対に途中で諦める自信があった。
特に最後の部分は、後から考えればたったの30分の出来事だったのだが、
「もう二度と来るかコンチクショー!」、
「これが最後。これが最後・・・」と、呪文のように唱えつづけ、
まるで永遠のように感じられた時間を過ごした。

「信じられない」なんて、人生で何度言う機会があるだろう。
流石は日本一の山。とんでもない達成感だ。

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30分ほど休憩したら、サッサと気持ちを切り換えて滑走準備開始。
ドロップポイントへの移動がてら、
今までテレビか写真でしか見たことのなかった火口を見渡す。
もちろんお釜も滑ることができる。
ボトムからは1時間程度の登り返しとのこと。

正面に見えているのが剣が峰。最高地点3,775.6mだ。
吉田・須走口頂上から剣が峰まで、
お鉢をどちら周りしても50分程度かかるらしい。
お釜の中を滑る方々も見えたが、剣が峰も、お釜も、
この際1mmも羨ましくないし、まったく未練もない。
ご自由にどうぞ。私はサッサと下山させていただきます。

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お鉢を南側に10分ほど歩いて、
登ってきたラインより、御殿場口寄りの面を滑ることにした。

ここは須走口と、御殿場口の中間にある『不浄流し』と呼ばれる滑降ライン。
裾野の広い富士山の場合、真っ直ぐに降りれば降りるほど、
放射状に登山道からは遠ざかってしまう。
なので、須走、御殿場と、どちらに滑り込むのもややこしくなるため、
めったに落とさないラインなのだそうだ。
風向き、日射の影響を考えた隊長の決断でこちらに決定。
(本当はもう一本手前の斜面を狙っていたのだが、間違えた)

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今回、「富士山に登ってもいいかな」と思えた理由の一つに、
MAXFORCE Splitの存在があったことは否定できない。
道具が与えてくれる「自信」の大切さを痛感する。
買い物って大切だ。

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14時23分。IK隊長ドロップイン!!!!!

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続いてON副隊長ドロップ!!!!

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最後に私がドロップ!
雪面はちょっと深めのシャウダー。
ザラメが深すぎてエッジが噛みづらいので、荷重がすっぽ抜ける。
2ターン様子を見て、行けると踏んだ3ターン目に、
大きく回しすぎて一瞬尻餅をついたが、
そこからは倒し込めるギリギリでターンを繋げる。

それでもこの巨大な斜面の100分の1も横幅を使っていない。
本当なら倍以上のターン弧でもってハイスピードターンに持ち込みたいのだが、
その荷重を支えられるような雪ではもはやない。
この広い斜面がモッタイナイ。

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ほんと現金なもので、さっきまでのヘナチョコな自分は何処へ??
とうに限界は超したものとばかり思っていたが、
案外「滑りは別腹」なのだと思い至る。

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ところで、標高3,700mの景色とは、一体どんなものかと思っていたが、
少々モヤがかかっていることもあって、期待していたほどでもない。
空気が澄んで、遠くまで見渡せる真冬ならば、眺めも変わってくるのだろうが、
「スゴすぎてかえって普通」と言うのが正直な感想。
IK隊長曰く、「富士山は、登るより、眺める方が楽しい山。」
較べるようなものでもないが、個人的には立山の景観の方が何倍も壮観だと思う。

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なんて、言ってはみても、ここはやっぱり日本一の山だ。
眺めはさておき、滑れども滑れども斜面が終わらない。
登りの時に感じた目の錯覚はそのまま下りでも当てはまって、
どれだけ滑っても、先行したIK隊長が近づいてこない。
しまいには膝とモモが乳酸でパンパンに張ってくる。

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最後に、元の登山道に向かってトラバースを開始する。

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しかして、すでに大きく目測を誤っていたようで、
3箇所ほど土の上を横移動しても、まだ登ってきた雪渓に辿り着かず。
最後は雪の上が石ころだらけになって滑走終了。
ここからはまた歩くのみ。

ちなみに、帰ってから確認したら、滑走面はすでに傷だらけだった。
まあ、来季までにチューンナップに出すつもりだったので、
良いっちゃあ良いのだが、富士山には、もしあるのであれば、
傷付いても気にならないセカンドボードを持って来た方が良さそうだ。

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立山の浄土平を「月面みたいだ」と言ったが訂正する。月面はこっちだ。
登りの時は富士山しか視界に入らないが、下りだと、
疲れがピークであることも重なって、荒涼とした風景しか目に入ってこない。

さておき、「下りだし少しはラクに降りられるだろう」という皮算用は、
ここに来てあっさりと覆された・・・

ご覧のように、ここは着いた足許から崩れるような、土の多い砂利道だ。
そこに拳大の溶岩石かゴロゴロと転がっていて、
一歩一歩慎重に足を着ける必要がある。そして、
前傾のつけられたスノーボード・ブーツだと、膝を伸ばしきれないので、
軽い中腰で歩くことになり、太ももへの負担がすごい。
スキーのハードブーツもキツいだろうが、AT系のブーツなら、
足首が解放できるので少しは楽になるように思える。
隣の芝生は青く見えるってだけかもしれないが。

ちなみにスキーヤーのIK隊長は、土の上はスキーブーツも担いで、
トレッキングシューズで歩いていた。

そんなわけで、最初の1時間で苦しんだ登りの方が、いっそ数倍ラクだった。
疲れ切った下半身に、この仕打ちはあまりにムゴい。
最後は靴擦れまで起こしてしまい、文字通りの満身創痍で下山した。


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17時30分:須走口駐車場帰着

下山してすでに一週間が経とうとしているが、
しこりのような筋肉痛がまだ残っている。
なんともスゴイ経験をしたものだと、改めて思う。
苦しかったことと、だからこその達成感という、
両極端な記憶しか残っていない。

富士という山は、滑るためだけに行く場所ではない。
果たされた苦労が滑り応えで報われる山では決してない。
滑るべき斜面、そのために登るべき山は、他にもっとたくさんある。
残念だが、それだけは確かだ。

少なくとも私にとっての富士山は、
登頂しなければ、自分の中に何も残らない山だと思った。
でも、もし登頂できれば、その達成感はそれだけでかなりのものとなる。
やはりここは特別な山だ。
登頂するためだけにある山が存在することを、この日初めて知った。

たぶん、山と人間には何か特別な “繋がり” がある。
山に登る事は、現代人にとって余暇にする遊びでしかないが、
きっと山に登ることは、天界に一番近い場所へ行こうとする、
人間としての根源的で、遺伝子レベルの理由があるのだと
「日本一」の山に登って感じた。

もちろんその理由が何であるのかは、私には分からない。
山岳信仰を含めた神聖な感覚なのかも知れないし、
単に「馬鹿と煙は高い所にのぼる」というレベルの話かもしれない。

それを今一度確認したくなる自分が発症してしまいそうで、
そっちの方が怖い。

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結果、きっちり12時間行動。
私のペースに合わせたせいで、
お二人には2時間以上も余計に使わせてしまったことになる。
いつにも増して、IKさんと、ONさんにはお世話になった。
(三人のウェアの色が信号機のようなのも、きっと何かの縁だろう。
 私がイケイケの「青」ってところがウケますが・・・)

この二人とでなければ、途中で諦めて引き返していたことはまず間違いない。
お二人にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。


さて、これでやっと2016-17シーズンを締めくくることができる。
燃え尽き症候群になりそうで怖いほど、
今シーズンも、私にとって心より誇りに思えるシーズンになりました。
今シーズンの振り返りは、また改めてしたいと思うが、
まずは、怪我もなく、無事に滑り切れたことに感謝をしたい。
  

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テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ

2017.05.30 | コメント(4) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

コメント

16-17シーズン。お疲れ様でした。
自分も、一度は富士山を思ってましたが怖いもの見たさだと怪我しそうですね。
色々な山行が有るので、気力や体力が有るうちには行って滑ろうかとは思ってます。
来シーズンも怪我なく楽しくの山行を楽しみにして、シーズンオフに突入して行きましょう!
シーズンオフのブログも楽しみにしてます。

2017-05-30 火 12:19:32 | URL | Sugaya #- [ 編集 ]

Sugatyaさん
富士山は良い意味でも、悪い意味でも、特別な山でした。
もし、思い入れが募ったら、行ってみてください。
それと、絶対に天気のいい日に行ってください!
あれで天気が優れなかったら良いことなしです(悲)

さておき、今シーズンもお疲れさまでした〜〜〜
次の冬まで、細々とやってますんで、覗きに来てくださ〜〜い。

2017-05-30 火 18:18:29 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

今シーズンもお疲れさまでした。
私的には今シーズン、へそ曲がりさんにリアルでお会いできたのが一番の収穫でしたw

富士山レポを拝見して、小学校6年生の時に日帰り登頂したときのツラい思い出がよみがえりました…

オフシーズンネタも楽しみにしておりますー♪

2017-05-30 火 22:39:58 | URL | ak #X6fAe2nY [ 編集 ]

akさん
シーズン無事終了いたしました〜〜
お疲れさまでございました!
また何処かでお目にかかりましょう〜〜〜〜!
引き続きよろしくお願いいたします。

2017-05-31 水 10:13:45 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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