カフェ・ソサエティ

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ウディ・アレンの新作、『カフェ・ソサエティ』。
御年81歳にして、毎年新作を贈り出す意欲には、ほとほと敬服させられるが、
ただ単に新作を創り続けるだけでなく、
それが常に高い評価を受け続けていることの方がずっと凄いことだ。

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『マジック・イン・ムーンライト』(2015年)、
『教授のおかしな妄想殺人』(2016年)など、
単館か、もしくは少ない劇場数でのみ公開されることの多い
ウディ・アレン作品ですが、今作は比較的多くの劇場での公開が叶った。
全国拡大でロードショウになった理由は計りかねるが、
『マジック・イン〜』のときは、単館公開だったためタイミングが合わず
観に行けなかった苦い経験もしているので、
観に行きやすいのは何よりありがたいことだ。

とはいえ、連休最終日の19:30からの回ということもあってか、
座席を埋めたのは私を入れても3人のみ・・・何とも淋しい限りだが、
まあ、そのぶんゆったりと(まさに)鑑賞することができた。

一番上に貼った画像は、今作の各国用のポスター。
映画の世界観を端的に、魅力的に伝えるのが宣伝ポスターの役目なので、
国ごとに魅力となるポイントが別れるのは分かる。
分かるけど、この違いようもまたスゴい。

SFや、アクション、サスペンスドラマなどは、世界中ほとんど同じビジュアルが、
ワールドワイドで使い回され、イメージコントロールをしやすい常套手段なのだが、
風刺の効いたブラックジョークを得意とするウディ・アレンの場合、
その世界観の見せ方、捉え方はそれこそ千差万別なのだろう。
毎回毎回、これだけ国ごとに解釈の変わる映画監督ってのも珍しいと思う。

ただ今回は、いつもの可笑しくも辛辣な、
人間や人間関係を風刺するウディ・アレン節はちょっと影を潜め、
華やかしき30年代のハリウッドとニューヨークの持っていた、
狂ったように華やかだった時代のもつ空気感の方を風刺の対象に選んでいた。

『カフェ・ソサエティ』とは、
カフェやレストランで、美しく着飾った目立ちたがり屋たちが、
毎日のようにパーティーに明け暮れていた当時の社交界を、
ちょっと皮肉ったタイトルだと思われる。

なので、宣伝用ポスターも、その狂乱の時代背景と、
どこにでもあるような人生の選択に悩む男と女という人物設定と、
どちらを主眼に置いて見せるのかで、
これだけ今作の解釈に違いが生まれたのだと思う。

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主演は『ローマでアモーレ』、『バットマン vs スーパーマン』、
ソーシャルネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグと、
『トワイライト・サーガ』、『オン・ザ・ロード』、『アリスのままで』の
クリステン・スチュワート。

この二人の共演と言えば、『エージェント・ウルトラ』という駄作が
イの一番に思い出されてしまうことが、悲しいところではありますが、
ハリウッドやニューヨークの華やかしき時代を背景に、
世の中のことも、ハリウッドのことも、ましてや自分のことも
まだ分かっていない、夢しかない若者に、
その魅力的な容姿によって、財力のある妻子ある男と、
夢しかない若者の、2人の男性から求愛される女性、
という役どころに、この二人以上の配役もないように思えました。

先述の『マジック・イン〜』『教授のおかしな〜』と、
二作続けてウディ・アレン作品で主演を務めた、
エマ・ストーンの『ラ・ラ・ランド』との共通性を挙げて、
この役がクリステン・スチュワートではなく、エマ・ストーンだったら、と
想像する方も少なくないようだが、
エマ・ストーンの明るい魅力よりも、クリステン・スチュワートの
ちょっと影のある女性の魅力の方が、そんな狂乱の時代だからこそ生じ得た
人生の選択ミスを、より深く観る者の胸に伝えたと思うので、
少なくともここ日本では、
この役はクリステン・スチュワートで正解だったと私は思う。
  

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2017.05.12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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