春の立山 2017 Day-1【4/22】

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繰り返し言うけど、
バックカントリーを志す者、一度は立山に行くべきだ。と思う。
ここへ来れば、自分がバックカントリーに何を望んでいるのかが、
ほとんど細胞レベルで理解することができる。

大好きな道具で滑り降りるために冬山に登る者、
滑りは二の次で、あくまでも冬山に登るために滑るための道具を選ぶ者、
その双方の間のどこかで、様々な嗜好性を持った方々がいるのだと思う。

冬でなくとも、山を登ること自体に無関心だったので、
私は間違いなく前者だと思っていた。
だから、苦手な登りを極力簡略化できるであろうスプリット・ボードを選んだし、
登りの時間は短ければ短いほど、簡潔であればあるほど、
山での行動は楽しいものであるはずだった。
でも、立山に来てはじめて、自分が「登りも好きだった」ことに気がついた。
立山では、それくらい苦しい登りであっても、得も言われぬ達成感が生まれる。

そして、何のために私は山に登るのか?という究極的な問いに対して、
自身の無力さを痛感させる、その圧倒的と言っていい荘厳な景観でもって、
いともあっさりとその答を示してくれるのが、
私にとっての立山という場所だ。

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そんな、すっかり取り憑かれてしまった立山に、
今年もやって来ることができた。
2年続けて連れて来てもらった皆さんは、
今年は一週前の立山オープンのツアーに参加となったので、
今回は私とOYくんと、エヌXの3人組となった。

ちなみにOYくんは、オープンのツアーにも参加したので、二週連続の立山。
冬本番の2月に腰を悪くして、一ヶ月間を棒に振ったぶんを、
ここで挽回しようとしているわけだが、無理が祟って今度は膝を痛めてしまい、
今回はスプリットボードではなく、スノーシューを担いでやって来た。
怪我を押してまで来てくれる、とても義理堅い青年だとも言えるが、
春の湿雪で走る、ストラクチャーの入っているボードが、
ソリッドのインディペンデントだけだった。という説もある。

そして、このブログに度々登場している「エヌオット」が、
なぜここでのハンドルネームを「エヌX(エックス)」に改めたのかに関して、
あえてここでは説明しないが、行間から読み取っていただければ有り難い。
ちなみに、これでエヌXも、晴れて『X1 Club』の正規会員だ。

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そんなエヌXだが、夏も含めて山での経験はなかなかのもので、
人生設計には失敗したが、山行設計の方ではかなり頼りになる山男だ。

しかして、このエヌX、
「50にもなってよくこれだけ登れますね」
とか、褒めてんだか、ジジィ扱いしてんだか分からないような事を、
悪びれもせずに、シレっと言い放ってくる。
たまに異様に頭にくるが、どこか憎めないトボけた野郎だ。
今回はこいつにおんぶにだっこで行こうと思う。

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今年から、立山黒部アルペンルートの扇沢からの便が
「Webきっぷ予約」で予約できるようになった。
私はてっきり予約者用の優先搭乗レーンでもあるのかとばかり思っていたのだが、
そうではなく、あくまでもその時間の便に乗れるというだけのことだった。
当日券購入のための列には並ぶ必要はなくなったが、
予約した便の前の方に乗りたければ、結局乗り場前に並ぶしかない。

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「Webきっぷ予約」は、「扇沢から立山駅までの片道」
「扇沢から室堂間の往復」「扇沢から大観峰までの往復」
「扇沢から黒部ダム間の往復」しか買うことができない。

今回、復路は黒部ダムまで滑り降りる予定なので、
本当は「扇沢〜室堂」の片道を予約購入できれば良いのだが、それはできない。
「扇沢から黒部ダム間の往復」を予約購入し、
黒部湖から室堂までは別途購入する必要がある。

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そうして、この日の長野県側からの先頭集団で室堂までやって来たのだが、
山の方は稜線付近がどこもガスっていて視界が悪く、風も強そうだ。
入山届提出先の指導員の方にも
「今日はできるなら稜線には出ない方がいい」とのアドバイスをいただいた。
本当は室堂から直接一ノ越に向かい、雄山の頂上から
山崎カールを狙いたかったのだが、我々はあくまでもガイドフリーの3人組だ。
素直に諦めて、まずは気を取り直そうと、雷鳥荘に余分な荷物をデポしに向かう。

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天候も良くないので、滑り慣れた雷鳥沢を登るか、
下から山崎カールを詰めて中腹部以下で遊ぶかの2択で悩んだが、
雷鳥荘からは、雷鳥沢にすでに多くの方々が登っている行列が見えたので、
雲が切れた頃を見計らって、空いていた山崎カールの下部に向かった。

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足腰はなんの問題もないのだが、今日はいつもより呼吸が苦しい。
鼓動も激しく、明らかに酸素が足りていない感じがする。
高度に順応できていないようだ。
いつにも増してゆっくりと登ることにする。

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最初は素直にローソク岩を目指していたのだが、
ずんずんと雄山山頂付近を覆い隠していくガスを見て、
途中で大走りとの間に走る沢の方に方向修正。

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雷鳥荘から2時間半で標高2,600m付近のドロップポイントに到着。
しかして、滑走準備を終えた頃にはすっかりガスの中。

滑って楽しいかどうか以前に、滑ったこともない場所を視界のない状態で滑るほど
私はお人好しではない。ましてやここはアルパインエリア。
どこにクラックが口を開けているか分からない。
しかも、前日には3〜5cmほどの降雪もあった。
この日、ここへは我々が一番乗りで、目の前の斜面は手つかずのノートラック。
もちろん平均点を越す安心感などあるはずもない。

「慎重に行こう」と言う私に、エヌXはピットを堀りながら「ほら、大丈夫っすよ」
「なにビビってんスか?」とか言い放ってくる。
一瞬、ピッケルを握る手が震え、殺意が脳裏をかすめるが、大人なので我慢する。

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待つこと20分。
いいとこ2人ぶんの晴れ間だろうとか思っていたら、
そこからガスはすっかり消えてなくなり、一気にドピーカンに変わってしまった。
13:30、OYくんから最初のドロップ!

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続いて私がドロップイン。
最初の2ターンを慎重に抜け、雪の結合を足の裏に感じ取れたら、
あとは沢のボトムに溜まった、ブーツがくるぶしのあたりまで埋まる雪の上を
心置きなくぶっ飛ばす!

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やっぱり立山は私を裏切らない。
この巨大なハーフパイプをぶっ飛ばす快感と言ったらない。
標高差300m、滑走距離1,200m。
とにかく感謝しかない。

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MAGIC38と悩んだ末に、今回もMAXFORCEを連れてきた。
それはやはり、登りの安定感を思っての選択だったが、
滑りに関しても、別の発見があった。

10kg以上あるザックを背負って滑るときにやりがちな、
その余剰な積載重量も含めて、テール荷重をし過ぎたときに、
MAGICだとテールを軸に突っ張ってしまうところでも、
MAXFORCEならば、そのままタテ方向の踏み込み荷重に変換してくれる。
バッファというか、余分にノリしろが残る反応の仕方はかなり安心感が高い。

ただ、逆に前足に載せすぎると、
MAGICのピンノーズならば、事もなげにいなしてくれる場面でも、
雪質によっては簡単に前が詰まるので要注意。

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さっき登ったラインとほとんど同じラインを登り返す。
しかも、今落として来た一本隣の、ほとんど同じラインを狙う。
名だたるラインが無数に存在する立山で、
バラエティさを提供しなければならないガイドツアーだと、
これはまずあり得ない選択だが、
自分の目でもって、一度その斜面を見ているからこそ、
「次はあのラインを狙おう」と更に攻められる。
失敗しても全部自己責任。個人山行ならではの贅沢だ。

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しかも、この時間になっても、探せばまだ面ツルのノートラックが残る。
1本目とほとんど変わらない2,600mまで、1時間半で登り返して、
15:06、2本目にドロップ。

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浄土山から大日岳にかけて厚い雲が足早に流れていくが、
もうこちらには雲はかかっては来ない。

まさに天国であります・・・・

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2本目は雷鳥平のテント場まで、標高差342m、滑走距離1,400m。

行動時間5時間、滑走本数2本。
たかが2本。されど脳ミソがとろけそうな極上の2本。

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(毎回、ここに来る度に同じ事を言いますが)
この、憎らしくもいやらしい、微妙にシビレる距離を残す、
雷鳥荘までの最後の斜面を30分登れば、
温泉と冷たい生ビールにありつける!!という一心で登り続ける。
私は目の前にぶら下がったエサに極端に弱いタイプだが、
ひと度、目の前のエサにフォーカスすると、爆発的な集中力を発揮する。
さあ行け〜〜〜〜っ!登れ〜〜〜〜〜っ!

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15:48。無事、雷鳥荘に帰着した。
適度に疲れたあとで、温泉で温められた細胞の一粒一粒に、
冷た〜〜〜い麦汁が、細胞核まで染み渡る・・・・・・昇天であります。

さあ、今夜は再会した懐かしい面々と飲み明かすことにしよう。
【Day-2につづく】

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2017.05.08 | コメント(4) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

コメント

いや〜羨ましい‼︎

立山羨ましいっす!
行ったことないんです〜キッカケもなく敷居が高くて…
そんな絶景ポイント滑りたいす‼︎

立山って基本泊まりなんですか?

2017-05-08 月 14:56:50 | URL | たいそん #iI9r95Cs [ 編集 ]

エヌXゲーヒーさんの言動面白すぎる説! 
立山の景色より見たかったかも...w

2017-05-08 月 18:46:16 | URL | しょーた #06BlqXJk [ 編集 ]

Re: いや〜羨ましい‼︎

たいそんさん
もちろん日帰りでも問題はありませんが、
二日でもまったく足らないくらいにラインが豊富に揃っています。
それと、交通費がそこそこかかるので、
一日だとちょっとモッタイナイですかね。
とはいえ、私の場合は体力的に二日が限界ですww

2017-05-09 火 09:51:47 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

しょーちゃん
良い意味でも、悪い意味でも、
あいつはなーんも変わってなかったです。
まあ安心したけどねー

2017-05-09 火 09:53:28 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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