DOWNCHILL

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『ニセコ ダウンチル』3年ぶりの新作、その名も『DOWNCHILL』。

正直長かった。待ちに待った。

今回ダウンチルクルーたちは、いよいよニセコを飛び出し、
海外にまでそのフィールドを広げたことから、
タイトルから「ニセコ」がなくなった。

それにしても、「続」とか「new」とかは付けないにせよ、
「2」とかは付いても良さそうなものだと私なんぞは思ってしまうが、
「タイトルはこんな感じでイイっしょ」みたいな、肩の力の抜け方に、
むしろダウンチルらしさを感じてしまう。

佐々木勝巳さんのところにに遊びに行くたびに、
勝巳さんは大泉カントクを呼んでくれて、会う度に「ダウンチルまだ〜」と
一応おねだりはしていたのだが、「そろそろね〜」とか「ボチボチね〜」とか、
普通なら「来年こそは!」とか、「待っててね!」とか言ってきそうなトコロも、
どうも満足の行っていない様子を滲ませながら、気がつくとかわされてしまう。
ネーミングも然りで、一見寡黙で、無頓着に見えても、
その実えらくこだわっているところも、カントクの持ち味だ。

そんなわけで、いつも遊んでもらっているわりには、
普通に待たれていたファンの方々と、今はまったく同じ気持ちだ。
マジに待ちわびました。

勝巳さんにカントク、鉄平くん、洋くん、直也くん、皆人くんをはじめとした
ダウンチルクルーたちに、カバーデザインを施されたダイセイさんにも
いつも良くしてもらっているので、余計なお世話ながらも、
ほとんど身内のような立ち位置でダウンチルを観てしまう。
前作に比べて、映像も編集もライディングも、格段に洗練されていることは
確かだが、この映像を作品として客観視することは、すでに私には不可能だ。

だから、私に言えることといえば、洗練されたが故に、
ともすれば見落とされがちな部分があるのではないか?と、
まるで田舎の親戚みたいな取りこし苦労を、これまた勝手にしたりしている。

それはこの映像が、時代に即した「狙い」ではないということことが
観る者に伝わっているのかな?ということだ。

詳しいことは知らないが、あくまでも私の感覚だと、
グラトリやら、キッカーやら、ハーフパイプやらの反動で、
バックカントリー・ブームが盛り上がって来たように思うが、
近ごろはそういった価値観が、少々エスカレートし過ぎていて、
文字通りに “行き過ぎ” ているように、私には感じられてしまう。
完全に置いてけぼりの気分だ。

もちろんそれは私だけの話であって、
世の中がバックカントリーに求めるニーズは、
よりDeeper、Further、Higherな方向に、進んで行っているのかもしれないし、
そういった楽しみ方を否定するつもりもまったくない。

でも、そこへ行くために行くのではなく、
とある楽しみを追いかけた結果として、そこへ辿り着きたいと私は思う。

だからこそ、その場所のことを知る前に、行きたいと願う気持ちを
喚起して欲しいと願っても、そういったモチベーションは
すでにあることが大前提として置かれてしまっていて、
より高みを目指せなければ、すぐ蚊帳の外だ。

翻って、「ゲレンデ滑走をもう一度見直そう」といった、
行き過ぎたやに見えるバックカントリーへのカウンターカルチャーのような
ムーブメントの存在も、近ごろよく見かけるようになった。

これも正直に好きな世界だし、
そういったものはハウツーを含めてとても興味がある。
でも、それもまた私にとっては、すき間的な「狙い」に感じられてしまう。

勘違いして欲しくないのは「狙い」が嫌いだと言いたいわけではなく、
「ダウンチル」が、それらと同様に、新しい遊び方の提案や、
新しい価値観の提示だけを目的に作られているわけではない。
と、言いたいだけだ。

もちろん、ライダーたちも、ディレクターも、
3年前とは違う、アップデートされた新しい価値観を提示しようとしている。
でも、ダウンチルが示す世界観は、つねにプッシュし続けることを映像化する
ためにだけあるのではなく、単にダウンチルクルーがふだんから
「楽しみを追いかけ続けた」その「結果」を映像化しているだけで、
よりDeepに、よりHighに、狭く先鋭化していくのではなく、どちらかといえば、
よりWidelyに、といった感じの方が適切で、それが今の時代にあって、
ダウンチルが異様に楽しそうに見えるということだ。

要はスノーボードという道具と、雪の降り積もった斜面。
(スケートという道具と、適度な斜度の坂道。)
与えられるものは同じで、それをどう活かして楽しむかの突き詰めでしかない。

その突き詰めにおいて、人によってはよりHigherな場所を目指したり、
もう一度スキー場のコースを見直したりするのだろうが、
残念ながら、今の私の気分はちょっと違う。

ダウンチルクルーが、
ギッチギチにスノーボードの上手い連中であることは当然として、
彼らはそれ以上に楽しく生きる達人で、実際、底抜けに楽しい人たちばかりだ。
でも、私が彼らと出会って一番に驚いたのは、
彼らの気持ちの良さと、何より礼儀正しさの方だ。

外界に対して、商業的な開かれた感じはないが、
かといってローカリズムといった閉鎖的な雰囲気も一切ない。
楽しむことに対して妥協はしないし、とても頑固だが、
かといって、楽しければ何でも良いと言うスタンスでは決してない。
自身を確立しながらも、他人の価値観にきちんと耳を傾ける謙虚さを持ち、
何より他人に価値観を押しつけたりするようなこともしない。

「どう魅せるか」も、もちろんその楽しみには含まれるが、
それは、自身の滑る姿を見る者、一緒に滑ることになったメンツを
とにかく「楽しませる」ことが大前提になっていて、
それは、見る側にもある一定のレベルを要求するようなものではなく、
彼らの方が、見る者を理解しようと常に努力している。
サービスでやっているわけではないのに、
なぜかとてもサービス精神旺盛な人たちだ。

そんな連中がする、独りよがりではなく、押しつけがましくもない遊び。
だからこそ真似したくなる、少し分けてもらいたくなるコンテンツが、
ダウンチルの内包する最高の価値観だと思う。

だから、ダウンチルを次の新しい遊びのサンプルとだけ受け取り、
単に消費してしまうのはとてもモッタイナイと、私は思う。

新しいモノでも定番でもなく、まだ不完全な普遍的なモノだという観点で、
この作品を楽しんで欲しいと、親戚のおじちゃんは心から願う。
  

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2016.11.28 | コメント(0) | トラックバック(0) | スノーボード

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オートバイと
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近ごろ波乗り。

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