ボーダーライン

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やっと『ボーダーライン』を観ることができた。
想像通り、否、想像以上の映画でありました。

メキシコの麻薬カルテルに限らず、
アルカイダでも、イスラム国でも、ギャングでも、
正規の法的措置の下で解決できることには限界がある。
だからといって、法を無視して解決を図ろうとすれば、
それはそのまま敵対する悪意と同じところまで堕ちることを意味してしまう。

これはそのまま『ダークナイト』の世界観と通ずる部分でもあるが、
今作はSFでもコミックでもなく、現実の世界を背景に描かれている。

この映画を観ながら
「悪に染まってでも悪意を打倒すべきだ」と考える方と、
「自身の正義は最後まで貫き通すべきだ」と考える方、
「暴力には暴力で立ち向かうべきだ」と言う方と、
「憎しみは憎しみしか生まない」という方、
それぞれに両方いることと思う。
そんな両者の哲学を、劇中戦わせる舞台演出と脚本が素晴らしかった。

きっと、どちらの立場に立つ方でも、
物語が進むにつれ、その双方の間で価値観を揺れ動かされることだろう。

それほどに今作で描かれるメキシコの麻薬カルテルの
恐ろしさとその実態は、目を背けたくなるほど残虐だ。
そして、どんな方であっても「まともにやって勝てる相手ではない」と
心底思わされるだろうし、だからこそ「彼らと同化してはいけない」とも
思うだろう。

上のポスターにあるように、
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』で、一躍スターダムにのし上がった
エミリー・ブラントが、確かにこの映画の主役なのだが、
この映画の本当の中心は、間違いなくベニチオ・デル・トロだ。

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そんな二つの決して相容れない価値観の中で、
自身を見失わずに残酷で凄惨な無法地帯を戦い抜くための力は、
「復讐心以外からは得られない」と、ベニチオ・デル・トロ演じる
アレサンドロが伝えてくる部分は、観ていて震えが止まらなくなるほど
恐ろしい事実だが、その姿は武者震いするほどクールで格好良いとも感じる。

今作の原題である『Sicario』はスペイン語で “金で雇われた殺し屋” を意味する。
つまり、本当の意味でも主役はエミリー・ブラントではなく、
ベニチオ・デル・トロの方であったワケで、つまりは、国の安全保障とか、
国の威信とかよりも、もっと小さな「ひとり」という単位で発生する
「家族を想う気持ち」こそが、解決の突破口であると
今作は結論づけているということだ。

以前スティーブン・ソダーバーグ監督の2000年の作品『トラフィック』でも、
麻薬カルテルとの壮絶な戦いを繰り広げる
メキシコの麻薬捜査官役を演じていたが、
そのときとはまたひと味違う、近寄りがたい影を帯び、冷徹でありながらも、
どこか暖かい血の通った人間味を併せ持つアレサンドロという人間を、
彼にしかできないであろう存在感で演じていた。
そんな彼を観るだけでも価値のある映画だと思う。

ちなみに、ベニチオ・デル・トロは『スター・ウォーズ エピソード8』で、
新たに登場する暗黒面のマスターを演じるとの噂だ。
これまたルークの手強い相手になりそうだ・・・・・



今作の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴは、を現在製作中の
『ブレードランナー2(タイトル未定)』(2017年10月6日全米公開予定)
の監督に抜擢され、一躍その名を世界に轟かせましたが、
そんな彼の次回作もまたSFスリラーの『アライヴァル(Arrival)』。
11月公開予定。こちらも楽しみだ!
  

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2016.10.07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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