サーフィンのこと:2

昨日に引き続き、私の思うサーフィンについて書いてみようと思う。

サーフィンも言うまでもなく道具ありきの遊びなので、オートバイやスノーボードと同様に、そこに込められた創り手の思いやアイデアを、そのディテールから読み取る醍醐味がある。
しかして、動力を千変万化する波から引き出すサーフィンは、実はそれら以上に道具に対する依存度が高いように思う。
私の知る限り「最初からもう少しはできると思ってた・・・」と言う方が多く、そういった方々が感じている問題のほとんどが、道具では到底解決できないように思えてしまうことにある。
しかして、サーフィンもまた道具によって進化してきたスポーツなので、初心者にとっては尚のこと、道具によって解決できる問題もまた少なくないと思う。

ロングかショートか
ロングボードからはじめべきか、ショートボードからはじめるべきか?
これは、ある意味サーフィンに関する永遠のテーマだ。
常に二通りの答が返ってくるため、これまた初心者にとっては混乱させられる話だろう。それだけこの両者は同じサーフィンというカテゴリーにありながら、その楽しみ方においてまったく違うと言っても過言ではない存在だ。
だからこそ、誰しもが遅かれ早かれ両方やってみたいと思うことにもなる。まさに「隣の波は青い」というやつで、海の上では他方がやたらと魅力的に映るわけだ。

ロングボードは、その浮力の大きさ故に波をキャッチする性能に長けていて、重量もあるぶん走り出しも速いので、乗り手が余裕を持って操作できるぶん、とても優雅な乗り物に見えるし、ショートボードは機動性に富んでいて、とてもクイックで俊敏な動きはとてもスポーティに映る。
でもその反面、いい波を奥からさらっていくロングボーダーに苦虫を噛み潰す思いをしているショートボーダーもいるし、これから自分たちが滑っていくはずのインサイドに無数に陣取るショートボーダーが邪魔に感じるロングボーダーもいるのは確かだ。実際ショートとロングのエリアをローカルルールで分けているポイントもたくさんある。
といった水と油のような相容れない要素も絡んでくるので、この問題に関しては一筋縄ではいかない議論が巻き起こってしまう。つまり、どっちサイドの人間なのかによってオススメが入れ替わってしまうという寸法だ。
そんなわけで、それぞれにもっともらしい理由や利点を述べられたり、場合によっては逆側をディスったりする発言もあるだろうが、それにしても所詮言いがかり程度のことだと知っておいて損はないだろう。

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もちろんその方の年齢や、体力、住んでいる場所や環境などにも大きく左右される事柄なので、通り一辺倒のアドバイスはできない。
そういった点をご理解いただいた上で私の話も聞いて欲しいが、もし、私のようにたまの休みをストレスなく、楽しく有益に過ごしたいと願うのであれば、私がオススメするのはやはりロングボードの方だ。

ロングボードの利点はショートと比較すれば抜群にテイクオフ率が高いことにある。
もちろんショート側の方々から言わせれば、その質に関して疑問の余地はあるだろう。
でも、ショートは浮力が少ない分、波の一番パワーのある位置、言い換えれば、波の一番おっかない位置から乗らないとならないのと、おっとりと走り出すロングとは比較にならないほど走り出しが速いので、テイクオフの操作に使える時間が極めて少なく、コンマ数秒の世界でひとつひとつの操作を、しかも確実にこなす必要があり、ショートの場合マグレはほとんどあり得ない。だからこそ最高にスリリングな面白さがあるのだが、いかに未経験者であっても、ショートでテイクオフすることの苦労は想像に難くないだろう。

なんだかんだ言っても、たまの休日にする遊びなのだから、やはり数乗ってナンボでありましょう。吸収力の高い十代ならまだしも、たまの週末だけで質まで追い求めるのには無理がある。何より辛い思いばかりを繰り返していたら長続きもしないだろう。
翻って負けん気が強く、週末のサーフィンをスポーツとして捉えて、できるまで繰り返しぶつかっていくことにやり甲斐を見いだせる方であれば、逆にショートの方が向いているかもしれない。

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近ごろは『キャッチサーフ』に代表されるような、人で賑わう海水浴場でも楽しめるほど安全で、構造的に頑丈なので気兼ねなくガンガン使えるとても取っつき易いスポンジボードもある。質量もあって重いぶん走り出しと安定感に富んでいるので、それらは何より初心者にこそうってつけのサーフボードだと思う。
こう書くとただの初心者用に思われるかもしれないが、私の周りの上手い連中もこぞって3rd. ボード的な意味合いで買い求めていて、それほどに実は性能も高く、ポップなその見た目とは裏腹に一時の練習用ではなく長く使えるという利点もあるのでオススメだ。


オルタナティブという “生き方"
もちろんロングとショートの間を埋める「ミッドレングス」と呼ばれる中間的な存在もある。
ショートよりも乗りやすく、ロングボードのように取り回しに苦労したり、置き場に困らないことから「ファンボード」とも呼ばれることもあるが、それはあくまでも初心者に向けた取っつきやすさを印象づけるためのネーミングであるので、上級者たちの中にはこの呼び方を嫌う人が多い。

だからと言うわけではないが、
この中間的なサイズは「オルタナティブ」とも呼ばれている。

「オルタナティブ- Alternative」とは、代替物、代案、 既存のものと取ってかわる新しいものといった意味があるが、これはそれまでの長いサーフボードに代わり爆発的に広がったスラスター系のショートボードに対する歴史的なアンチテーゼであり、カウンターカルチャーでもある。クイックな機動性を活かした動きやトリックをメイクするショートボードの生み出すメインストリームに対して「少しペースを緩めてもう一度海を眺めてみよう」といった感じのムーブメントのための呼称だ。

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ショート側の方の中には、オルタナティブを「スラスターの代替物」だと説く方もいるが、私は「スラスターの性能が一番に発揮されるような大きな波以外の小さな波も楽しもう」という、まさに日本の海で多く遭遇するコシ程度の小波に対しても、今一度目を向けようという精神性だと思っている。
だから、ショートのように急かされず、かといって、ロングほどおっとりもしていないオルタナティブボードの動きは、サーフィンで得られる運動性と精神性を、高い次元で融合することを目的としており、私のような不真面目にサーフィンを楽しんでいる人間にはまさにピッタリでありました。

ですので、私はこのオルタナティブまでで短く(細く)するのは留めておくつもりではあるのだが、それにしても、このミッドレングスからはじめるのも、ロングボードからはじめることに較べれば、それ相応に苦労するであろうことはここでも申し上げておきたい。私はやはりロングから初めて徐々に短くしていった方が、お金は余分に掛かるかもしれないが、結果的に一番サーフィンを理解することができると信じている。

そんなオルタナティブを、ただ単に乗りやすい中間的なモノとしてだけ捉えるのではなく、それが「あくまでも『代替案』であり、それが『何の』代替物であるのか?」を理解することは、サーフィンを楽しんでいくい上でとても重要なことだと思っている。

そんなオルタナティブに代表されるように、サーフィンの長い歴史はそのスポーツ性の高さだけでなはく、得られる精神性にも根付きながらここまで発展してきたということが、私にとって大きな価値を感じさせる部分だ。
歳をとるにつれ、時間に対する密度を感じ取れるようになってくるが、そんなときにサーフィンのもつこの精神性は、そんな時間の密度を一気に押し上げてくれるし、みなさんにも一番に理解していただきたいと私が思う部分だ。

もちろんサーフボードは長さだけではなく、アウトラインをはじめ、幅、厚み、フィンセット、コンケーブなど水の流れを制御するボトムデザインなど、多くの要素が組み合わさってはじめてその乗り味が決まる。
ロングにせよ、ショートにせよ、オルタナティブにせよ、シェイパーが描くその味付けの仕方によって、更に広く深くボードデザインは広がっていくので、一本乗って決定版なんてことはあり得ない。
でも、だからこそ自分の目指すサーフ像を模索しながら、時に間違ったり、迷ったりしながら辿り着く、一本のマジックボードを夢見て探し続ける行為もまたサーフィンという世界の重要な一面なのだと思う。

そんな流体力学に則ったミリ単位の造作を、一本一本、手造りだからこそ籠められるこだわりによって、入念に仕上げられたサーフボードは、同じように創り上げられたスノーボードでさえ足許にも及ばないほど美しく、モノが放つ上質で魅惑的な仕上がりそれ自体を愛でる楽しさも存在する。

そんな嗜むことさえも内包するサーフィンという世界は本当に奥が深く、
私が大人になればなるほどその価値が高まる時間の使い方だと思わされる所以だ。
  

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テーマ:サーフィン・ボディボード - ジャンル:スポーツ

2016.08.31 | コメント(0) | トラックバック(0) | サーフィン

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