SHOEI HORNET ADV

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『Arai Tourcross2』を使いはじめてから早5年。
真夏以外の時期の平日に、ほとんど毎日被り続けて来たので、
使用期限云々の以前に、かなり見た目にクタビレ感が高くなってきており、
そろそろ買い換えのタイミングだ。

永らくアライ・ヘルメットファンを自認してきた私だが、
いよいよをもってショウエイを使うことにした。
とはいえ、現在もゴーグル・ヘルメットでは『VFX-W』も使っているので、
「シールド付きオフロード用ヘルメットとしては」という但し書き付きではある。

春先から使っていたので、朝晩まだ冷え込む時期から、梅雨時の雨の中まで、
様々な状況で使ってみたので報告しておこうと思う。

んで、買っておいていきなり否定的な話から入って恐縮ですが、
正直にこの『HORNET ADV』はカッコイイとは思えない。
いや、思えなかった。か。

細かい話はさておき、何より私が一番気に入らないのは、
チン(顎)ガードが上下に薄いことだ。
やはりここは男らしさの象徴だと言っていい部分で、
SIMPSONのヘルメットのように、ここが無骨に太い方が男らしいと私は思う。

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せめてこれくらいにこの部分をガッチリと太くしてくれたらと思う。
ね?顎のフレームが太い方がカッコいいでしょ??

というように、デザイン的にはかなり気に入らないのに、
それでもなぜこれを購入したのかというと、
このヘルメットのことを知れば知るほど
機能性と使い易さを徹底して追求していることが解ったからだ。

それではそんなHORNET ADVのカッコ悪さに隠された
高い機能性の話をはじめよう。
何はなくともまずは被り心地から。

ヘルメットの被り心地とは、激しい動きにも追従するホールド感と、
それでいて締め付け感の少ないフィット感という
二律背反した要素のバランスを、百人100色の頭のカタチすべてに対応させる、
実は途方もない仕事だ。

この部分に関しては、特にアライ、ショウエイという、
この国を代表する2大ヘルメットメーカーに関しては、
まさに世界をリードしているといって過言ではないと思う。
それほどに被り心地は両社製品共にMADE IN JAPANを体現する出来映えだ。

昔は「アライは頭で合わせる」「ショウエイは頬で合わせる」(逆だっけ?)
と言われたものだが、今ではそんなことは一切ない。
敢えて個人的な印象を言えば、Tourcrossの方が若干タイトなスポーティな印象で、
HORNET ADVの方がコンフォート感の高いラクシュリーな印象に映る。

ただ、被ったときに感じる重さ(軽さ)に関しては、
HORNET ADVの方が明らかに頭の中心から遠い部分が軽く設定されているようで、
実際の重量以上に走行中に軽さと、それによるホールド感の高さを実感できた。

※ここで比較しているのは、この間まで私が使っていた『Tourcross 2』。
 現在の最新型となる『Tourcross 3』は、さほどの違いがあるようにも見えないが、
 私自身試していないので、この比較の限りでないことは申し上げておく。


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内装はアライのインナーが採用するドライなタッチの生地よりも、
かなりシットリ感が高いものだが、比較して水分の吸収力が高く、速乾性にも優れ、
もちろんデオドラント加工にも手抜きのないものだ。
これに関しても機能、性能に大きな差はない。
あっても単なる好き嫌いの範疇と言っていいだろう。

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私はインカムの類は使わないので関係はないが、
スピーカーを納めるための穴が、カバーを外すと現れてくる。
最初からこれが設けられていることからも、
ユーザーの視点で機能性が追求されていることが窺い知れる。

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実はHORNET ADVの内装に関して一番評価できるのは、
頬パッドの上側にトンネルを設けて眼鏡の柄を入れやすくしてある部分だ。
アライの方は「コンタクトにすれば?」とでも言いたいのか?と思えるくらいに、
この部分への配慮は最低限で、はっきりと使える眼鏡を選ぶ。
柄の太い鼈甲のフレームを使う私には、もはや雲泥の差と言っていいだろう。

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では問題の外装に話を移そう。
“悪い意味で“ 一番に興味をそそられたのはこの穴だらけのバイザー。

あまりにも醜いその姿に「何か訳があってのことなのか?」と、
逆に好奇心旺盛な私の関心を喚起することになった。

高速走行でこのバイザーが風に煽られると、首が後ろに折れるんじゃないか?
というくらいに頭を持って行かれてしまう。この穴だらけのデザインは、
言うまでもなくこの部分の空気抵抗を抑えるためのものだ。
「それにしてもやり過ぎだろう?」と、誰もが思うだろう。
でも、これを被って実際に高速走行させてみると、冗談抜きに
「バイザーが着いてないのか?」と、思えるほどに風の抵抗を感じる事がない。
それでいて、この部分が発する耳障りな風切り音も
まったくと言っていいほど聞こえてこない。

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対してアライのTourcrossだが、HORNET ADVと較べると、
デザイン性を考慮してか、通気孔の開け方、数も、最低限で済ませていることが
一目でわかるし、実際こちらの方がだいぶ格好は良い。
代わりにそれなりに強い空気抵抗を生み、ある程度風向きに敏感になって
気をつけていないと、ふいに顎が上がってしまうことになる。

そして、Tourcrossのバイザーは、上下に調整できる可動式で、
HORNET ADVのバイザーは固定式。
好みの角度に調整できる方が良いように思われるかもしれないが、
それだけショウエイはバイザーの取り付け角度にも細心の注意を払っている顕れだ。
エアロダイナミクスの世界に、ユーザーの好みは不必要なのだ。

高速走行でも、このようにデザイン性をある意味捨ててまで追求した
フラッシュサーフェース化によって、風切り音のボリュームをかなり削減しながら、
「ボー」とか「ビュー」など、濁点の付くような耳障りな風切り音を、
「ホー」「ヒュー」といった具合に角の取れたまろやかな音質に
変えることに成功している。

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これからの季節に重要になるベンチレーション機能だが、
大きなエアアウトレットを持つアライのものと較べると、
HORNET ADVの形状はかなり小型で何より奇抜。
アライの分かりやすい形状に較べると、
換気性能に「?」が付くだろうが、その換気効率に大きな差は感じられない。
これに関してはヘルメット内の風を一番感じられる
ボーズ頭の言うことを信じて欲しい。

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それと、アライには耳の後ろにもエアアウトレットが設けられているが、
ショウエイにはそれが装備されない。
実際アライのように耳の後ろに籠もった熱が換気されないので、
首にかけてモヤモヤと暑い。これはアライの方が優れている点だ。

ただ、これは大型のウィンドシールドを備えるR1200GSでの印象。
風防装備のないHP2 Enduroで試すと、ヘルメットの下側、
首の辺りを流れる風によって、負圧が発生していることが感じられ、
内装から首回りの熱気を吸い出してくれていることが分かる。

でも、GSをはじめとした、ウィンドシールドを装備する
ビッグ・デュアルパーパス・ユーザーがターゲットだろうから、
これはちょっとあべこべな印象。

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シールドはもちろん「PINLOCK®」製の二重シールドが採用されているが、
こちらは「PINLOCK EVO lens」と呼ばれる最新式。
防曇効果に関しては後述するが、その歪みのない視界にまずは驚かされる。
アライもPINLOCKを採用しているが、アライの二重シールド越しの景色は
それなりに滲んで見えてしまうので、両者の差はかなり大きい。

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シールドとヘルメットが触れるモールドの造りも、
偏執的と言っていいほどに凝った形状をしていている。

そしてそして、
PINLOCK EVO lensにしても、この凝ったモールドにしても、
それらのポテンシャルを最大化しているのは、間違いなくシールドのヒンジ部だ。

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通常、ヒンジの回転軸を中心にして、同じ弧を描いて上下に開閉するわけだが、
HORNET ADVは、なんと回転軸を偏心させており、閉まる寸前に
シールドをモールドに押しつけるように、後退してから位置決めされる!
これによってシールドの密閉性を高め、防曇、防音効果を、
最大限に引き出しているわけだ。

もちろん全てが良い方に出ているわけではなく、
この凝ったシールドの開閉方式によって、
片手で気軽に開閉できるようなヒンジの硬さではなくなっており、
走行中の開け閉めには、それなりの慣れが必要となるのが少ない難点のひとつ。

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ヒンジ以外にも、ノーズリフレクターに、
シールド越しに通気させるデフロスターなど、
シールドの曇りに対する処理に関して、これでもかと徹底している。
実際、鬱陶しい梅雨時の雨の中であっても、シールドが曇ることは一切なかった。

これには本当に驚かされた。
凄いじゃないか!昭栄さんっ!!!!

Tourcrossは、ノーズ部分が大きくそそり立った、オフロードヘルメット然とした
そのカタチ故か、吐いた呼気が下に出て行かずに、シールド越しに這い上がる印象で、
イヤって言うほどシールドが曇った。
アライのPINLOCKも何枚か試したが、すぐに傷だらけになって視界が悪くなるし、
肝心の防曇効果もかなり限定的で、雨の日はシールドを開けて走らないと、
前が見えないほどに曇りまくるので、この点に関しては、
TourcrossはすでにHORNET ADVの比較対象ですらない。


冒頭デザインの悪さの象徴として話したチンガードの狭さに関しても、
それはシールドの視界を上下に限界まで広げるための設計だ。
というように、デザインを優先していたら到底達成できない領域にまで、
このHORNET ADVというヘルメットは微に入り細に入り踏み込んでいて、
見てくれ以上に実際の路上での説得力を増した内容となっている。

同じ内容のモノ同士なら、デザイン性に富んだモノの方が良いに決まっている。
でも、残念ながらここまで高い機能性、快適性、安全性を兼ね備えた
オフロード用シールド付きヘルメットは、いかに世界広しと言えども、
今のところ他に存在しない。

多少の機能性を犠牲にしても、デザインの優れたヘルメットをやせ我慢して
使い続けることもいいのだけれど、今回は機能性を重視して、
オートバイを運転する長い時間を快適に過ごす道を選んでみたというわけだ。
  

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2016.07.21 | コメント(0) | トラックバック(0) | ヘルメット

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