春の立山 2016【Day-1】

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バックカントリーを志す者、立山に一度は行っておくべきだ。
ひとたびここを登り、滑ってみれば、
「バックカントリー」なんてそれらしいカタカナ言葉で理解していたものの定義が
一気に変わってしまうくらいの体験になるはずだし、
その「一度」はそこから繰り返し続く「毎度」になっていくはずだ。

それほどにここで見るもの経験するものすべてが規格外で、
自分の小ささを実感させられるような特別な経験を
安楽なアクセスでできてしまう特殊な場所だ。

存外に厳しい場所だし、
自分の未熟さを思い知らされることばかりが起こるので、もしも天候が悪かったら
そんな立山の思い出は180°変わったかたちで心に刻まれることだろう。
実際、この一週間前は大の大人が這いつくばっても数メートルさえ進むことが
出来ないようなとんでもない突風が吹き荒れ、
そこに居合わせた人みんなに心底山の怖さと辛さを実感させてくれたという。

それが標高2,000mに観光客と一緒に公共交通機関でアクセス出来てしまう
立山という場所の凄さだし怖さでもある。
そんな厳しい場所だからこそ、
立山の雄大さ、凄さ、厳しさ、素晴らしさを、一度でも晴天の下で経験してしまうと、
それでもう完全な虜になること間違いなしだ。

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そして、昨年から引き続き、
今回の行程のすべてを晴天の下で過ごすことが出来た。
これ以上の幸運があるなら教えて欲しい。
誰に感謝したらいいのか解らないが、本当に有り難いことだ。

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今回のメンバーも昨年と同様
BC姐さん、IKさん、R子さんにOYくんと私の5名。
マッキーさんも来るはずだったのだが、
お子さんがインフルエンザにかかってしまい無念の不参加。

さておき、前回の北海道トリップでも一緒だったR子さんがアラスカ帰りの
アラスカ女であることはすでにここに書いたが、
実はIKさんも同じツアーに参加していた「アラスカ男」でもあるわけだ。
そして、BC姐さんに至っては標高8,000mの『ガッシャーブルムII峰』を制しており、
(もちろん滑りじゃなくてガチ登山です)
行動食に『湖池屋ポテトチップスのり塩』を持って来ることを差し置いても
このお三方は混じりっけなしのド変態だ。

中でもBC姐さんとIKさんに関しては、
「一体いつ仕事をしているのか?」と各所でささやかれ
シーズン滑走日数は優に50日を超えるスキモノ通り越したキワモノだ。
一説には日本国内のバックカントリーガイドのGDP(国内総生産)のうち
3%程度はこの二人が支えているとも言われている・・・

といった具合に5人の中に3人ものド変態を抱える高密度なパーティー。
誇らしい気持ちにもなるが、反面、あらゆることに不感症になりそうで怖い。

今回もそんな濃い方々の先導で、春の立山を楽しませていただくツアーになる。

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4時半に関越道大泉JCT付近に集合。
今回は5名になったので全員OYくんのノアに同乗して、
6時半に立山の長野県側の玄関口、扇沢に到着した。

なんと、今回は行けなくなってしまったマッキーさんが、
わざわざ4時半に差し入れを持って集合場所まで見送りに来てくれた(涙)
マッキーさんのぶんまで楽しんでくるよ〜〜〜ありがとう〜

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長野県側からだと往復のチケットが1万円近くする『立山黒部アルペンルート』
でありますが、トロリーバス〜ダムの上を500m徒歩〜ケーブルカー〜
ロープウェイ〜トロリーバスと乗り継いで、
乗り換えに待ち時間がなくても2時間近くかかる。
これが結構身体に堪える・・・しかも前日の睡眠不足もあってダブルパンチ。

そして今年からアルペンルートでの手荷物の規則が変わり、
スキー、スノーボード、アイゼン、ストックなどの道具類を
剥き出しで携行することが禁止され、ザックに仕舞うか
カバーで覆うかしないと乗せてもらえなくなったので注意して欲しい。
ちなみに私はボードを宅急便の袋に入れて行ったのだが、
現地でも「立山黒部アルペンルート」とプリントされたビニール袋が売られている。
お土産っぽくてそれもいいかも。

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早起きの甲斐あってロープウェイも2便に乗れたし
スムースに移動して10時前には雷鳥荘に到着した。
それでも家を出てからこの時点ですでに6時間行動している。
かなりの疲労度でありますが、室堂からの景色を観ればすぐに回復する。
この景観のもつ滋養強壮効果は異様に高い。つまりアガる景色だ。

ここ立山もご多分に漏れず例年に較べれば雪は少ないのではあるが、
そうは言っても立山だ。充分の積雪量でございます。ファンタスティック。

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着替えや苦労して持ってきた酒を宿にデポして早速出発。
とはいえ、ガイドツアーではなく完全なプライベートツアーなので
行き先はその場で決める。というかIK隊長をはじめとした
このパーティーの誇る変態方が決めてくれる。悩み無用。

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まだ雪の状態が掴めていないので、今回の一本目も昨年に引き続き
素敵なザラメを期待して雪が緩んでいるであろう雷鳥沢へと向かう。
毎度のことだが、あまりに壮大な景観にスケール感が完全に狂う。
歩けど歩けど山頂が近づいて来ないのだが、我を忘れるほど一歩一歩に没入して
ハタと気づくと目的地が目の前に来ていたりする。
ゴールを目指して残り時間や距離のことばかりを考えるのではなく、
一歩一歩、一息一息の呼吸の積み重ねに集中することの大切さを学ぶ。
人生も一緒だ。 たぶん。

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比較的直線的にアプローチできた昨年とは雪の付き方が違っていて、
向かって左肩の稜線まで上がってから、
ご覧のナイフリッジをトラバースして剣御前に向かう。
「確かにナイフィだけど岩も出ていないのでたいしたことない」と
ケロッとしているIK隊長に軽くあしらわれながらも、
高所恐怖症だったら一発で目が回るであろう景色に
こんなところで強風に煽られたりしたら・・・とか
余計な考えが頭をよぎってしまい正直に足がすくむ。
繰り返すが、ここはバックカントリーなんて範疇を超えたアルパインエリアだ。

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ちょうど正午頃に剣御前小屋に到着。
少し休んだら岩場を歩いてトラバースし、開けたドロップポイントへ。

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今回の一本目!遠慮なくいただきます!

雪はとてもよく走るナイスザラメ!
しかも踏めば踏むほど足応えのある
厚みのあるシャウダースノーでございました。春雪万歳!

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ここは大走の下部に残る雪崩のデブリ。
実際に近づくとゴジラが通ったあとのような巨大さだった。
こんなのに巻き込まれたらそれこそ最期だ。

そして二本目はその大走りを登り、テント場や室堂から正面に位置し
その見渡しの良さから『ギャラリーバーン』とも呼ばれる面を狙う。

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ここの登りルートに選んだ斜面の雪の表面がかなりグズっていて、
シールがきちんと噛まないため、
踏み足が支えきれずに足場がボロっと崩れてしまいそうで怖かった。
なかなかの斜度なので、踏み外せば一気に滑落だ・・・
体力もさることながら、気力もかなり削がれるので
集中力を維持するのにかなり苦労する。
「なんでこんなことやってんだろう?」と今さら思わされつい心が折れそうになるが
こんな場所で滑走準備など出来るはずもなく、
かといって歩いて下れる斜度でもないため当然引き返すことなどできない。
よって写真どころではなく、ここのハイク時の画像がまったくない。

そんなこんなで気苦労を重ねながらも約1時間半でドロップポイントに到着。
途中の肝を冷やした核心部ほどではないが、
それでもかなり急峻な場所で滑走準備をせざるを得ない。
スプリットボードのモードチェンジも命がけだ。

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この頃にかかり始めたガスの合間を縫って、視界が開けたら迷わずドロップ。

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誰が観ているわけでもないのではあるが、
勝手に観られていると想像しながらこの一本をまとめてみる。
MAGIC38の持ち味を最大限に活かした深くて大きなターンをつなげた。

パウダースノーとは違って大きな抵抗感を生み出す深いザラメ雪によって
適度に速度が殺されてボードコントロールがしやすく、
かといってこれだけの斜度があれば
どんなにエグるようにエッジを食い込ませて深回りさせても、
そこから切り返しも含めてフロントもバックサイドも速度が一切落ちない。

だから速度の変わり目をきっかけに切り返しをするのではなく、
とてつもなく広いバーンの端から端まで使うようなイメージでもって
足にかかるタテGの限界を感じるまで踏み込み続ければ、
MAGIC38はそれに応えるように深いドライブを続けてくれる。
BIG MOUNTAIN シリーズの名に恥じない、まさに “水を得た魚” だ。

昨年ここ立山をセイフティにコントローラブルなSLASHERで滑ってみて、
「次来る時は絶対にMAGIC38だ」と確信したことに迷いはなかったし、
思った通りに立山はMAGIC38 Splitのためにあるような場所だった。

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というわけで、初日の2本はご覧のライン。
毎回自分の中の「最高」がアップデートされるような高揚感に包まれる。
滑り終えて自分のラインを見上げたときに自分を誇りたくなる。
そんな滑走になる。

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さあ、滑り終えたら大浴場にドロップだ!
急いで雷鳥荘に戻ろう!湯上がりの冷たい生ビールが待っている〜〜〜〜〜〜
(つづく)

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2016.04.26 | コメント(2) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

コメント

う〜ん!やはり立山は霊峰なだけあって良いですね〜。でも、やはり例年より雪は少なそうですね。 自分は先週の至仏山て終了です。
バッチリ当てた今回のツアー立山の、明日のブログも楽しみです。

2016-04-26 火 12:48:28 | URL | Sugaya #- [ 編集 ]

Sugayaさん
立山は中毒性が高いです。
くせになります・・・

2016-04-26 火 14:49:46 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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