Josh Hall PIG 9'6"



近ごろatuがショートボードにご執心のため、
すっかり出番のなくなってしまっていたロングボード、
『Josh Hall PIG 9'6"』を、譲ってもらえることになった。

とある対象物に対して、それが光って見えたり、
そのモノと目が合ったような気がすることがたまにあるが、
atuが持ち込んだJoshとの初対面は、まさにそんな感じで、
ビリビリと何か伝わってくるものがありました。

もちろん、ハンドシェイプのサーフボードが醸し出す、緻密なディテールの
織りなす高級感は、このボードの場合かなりのレベルにあるので
その仕上げの丁寧さを見るだけで、恋に落ちるのは造作もないことだ。
どれだけ私が神秘的なつながりがあったとか言っても、信憑性は薄いだろう。

joshhall_pig_3.jpg
2015_0927-13.jpg
グラスリーシュループ(ロービングリーシュ)が高級感を演出しています

でも、そういった表層的で神秘的な要因や、思い込みだけでなく、
このサーフボードに惹かれたのには他にもワケがある。

山の道具でも、オートバイでも、スキーでも、スノーボードでも、
サーフボードでも、凡百ある目的の中から、
それは常にクリエイターの描くとある単一の目的に絞って創られている。

そのモノが与えられたとある単一の目的を見極め、
それを自分のやりたいことに照らして、
そこに少なくない可能性を見い出すことができれば、
そのモノはまさに “光って見える” と、私は信じている。

そして、私がいま海の上でしたいこととは、
「1秒でも長く波を捉え続けていること」だ。

今年に入って、一旦はマニューバー系になびいてしまい
ミッドレングスのボードに手を出してしまったこでもわかるように、
この先私がサーフィンに対してどんな傾向を持つかは分からない。
でも、ミッドレングスに乗ってみたおかげで、
波の上でワンアクション入れたり、
マニューバーを描いてスタイルを表現することよりも、
いまはとにかく1秒でも波の上に乗っていたいという
自分の思いの核心点に気づけたと、今はそう前向きに解釈している。

だから、いわゆるパフォーマンス系よりも、
ロングボードがロングボードらしく存在していた
クラシックログに心惹かれてしまうわけだ。

そんな思いをぶら下げて、ネット上を徘徊すれば、
必ずぶつかるのが “PIG(ピッグ)” というボードだ。


joshhall_pig_1e.jpg
左:Josh Hall Pig 右:Harbour H3 (9'4" Tri-fin)

joshhall_pig_5.jpg
触れると手が切れてしまいそうなほどトップが薄い

joshhall_pig_2.jpg
これを見ればロッカーの違いが良く解ると思います

素人解釈で恐縮だが、PIGに関して簡単に説明申し上げると、
ボードの中で一番ワイドになるエリアが、センター付近よりもかなり
テール寄りになっていて、トップ部分が薄くシャープにシェイプされ、
ロッカーも少な目に設定されているサーフボードのシェイプのことを
PIGと呼びます。

サーフィンに関心の少ない方のためにもう少し説明させていただくと、
つまり「PIG」とはシェイプの名前であって、
とあるブランドのモデル名ではありません。
スノーボードで言えば『ツインチップ』『ディレクショナル』、
オートバイで言えば『スーパースポーツ』『エンデューロ』といった、
系統や用途を指す名称ですので、Josh Hallに限らず、
多くのシェイパーが “PIGタイプ” をリリースしています。

そして、このJosh HallのPIGには、
機動性に富むナイフィーなレールが組み合わされていたり、
抱えた瞬間にハッキリと感じられるほどに、かなり軽く仕上げられていたりと、
そんなクラシックなシェイプに、かなり現代的なレスポンスを生み出す仕掛けも
施されているところも重要なポイントです。

ロングボードはテール部分を踏んでターンのキッカケを生み出すことを踏まえ、
このPIGでは、テール部分を太くして入力に対する反応良くすることで、
ターンの動き出しの良さを狙っています。
そしてテールを軸としたターン時のトップ側に発生するスイングウエイトを抑え
ターンを軽快にできるように、トップを薄く軽く仕上げられております。

とはいえ、あくまでもピボットターンの中では軽快、といったレベル。
レールを入れたマニューバーとはまったく違い、反応はもっと緩やかなもので、
サッと向きを変えたら、あとは波に任せて滑っていくためのものであります。

乗り手の入力に対して、ボードの反応するエリアがテール寄りで、そのため
アクセルエリアが前後に狭いので、比較的狭いスタンスでリラックスした姿勢のまま
ボードを操作することができ、自然とクラシックなスタイルを出すことができます。

ロングボードはどれも浮力が強く、波の力を捉え続けやすいようにできておりますが、
この大きなお尻と、ロッカーが軽く薄目のコンケーブが施されたトップによって、
波のパワーを捉え続ける能力は更に高められています。
ターン時の入力エリアが前後に狭いと申し上げましたが、ターンを終えて
ボードが安定しはじめた状況では、逆にこのテールの広さが生み出す安定感によって、
トップからテールまでのデッキのほぼすべてを前後に広く移動して、
最後の最後まで波のパワーゾーンを捉え続けることが容易にできます。

joshhall_pig_4.jpg
このタグが刷り込まれた位置が、ポジションの確認を容易にしている

そして、テイクオフ直後の動き出しの良さに加え、
この大きなお尻が波のフェイスを捉まえることに長けていて、
上手いこと波のフェイスにレールを噛み込ませられれば、
波を駆け下りることなく、長い時間波の一番高い位置をキープしたまま
横に滑っていくことができます。

そのときはもちろん後ろ寄りに立っているので、空中に突き出たボードトップが、
これでもかとその存在を主張してくる波の上の景色は、
良い意味でも悪い意味でも慣れるのに時間がかかるほど印象的な光景でした。

そんなターン時の軽快さを狙ったPIGですが、逆に滑走時は、
テール側が太いことでポジションの真下に滑走を妨げるような抵抗感を感じ、
尚のこと走りは遅く感じます。
でも、そのおかげで滑走していくときに波から足裏に伝わってくる感触が、
とてもたおやかで、おおらかなものになります。

そんなサーフィンの神秘性を増幅するかのようなマイルドなライドフィールは、
ファーストライドで私を病みつきにさせました。
これぞまさに私が想像したとおりのクラシックなロングボードのフィールです。

ただ、
冒頭申し上げたとおり、単一目的で設えられているということは、
それによるネガももちろんあります。

これは慣れの問題なので、さほど深刻なことではありませんが、まず気になったのは
センターからトップ部分に広さを持たせた一般的なロングボードとは、
走り出しの感覚が、まさに180度違います。

通常(というか、私の知っているロングボードはみな)波の力を、
センターから前寄りで受け止めて、前から引っ張られるように波を滑り始めますが、
PIGの場合はテールから押し出されるように走り出します。
上半身を腕で反らして起き上がるので、手の置き場に近いところで
波の力を感じられた方が、ボードの走り出しの瞬間を見極めやすいと思うし、
レールの入りやすいボードであれば、腕の力である程度向き替えも可能だったりする。

しかして、走り出しを私に察知させるボードからの「キュー出し」が、
ボードに腹ばいになった胸の下あたりからではなく、
膝下あたりから伝わってくるPIGの場合、
それを感じ取れるようになるまで時間がかかってしまい、
最初はとても分かりづらく感じてしまいました。

そして、私にとってネガの際たるものは、
ロッカーがあまりに軽いために、楽しいはずのモモ〜コシ程度のサイズの波でも、
フォローな波、つまり、斜面の長さがボード長に対して短い場所でのテイクオフだと、
たとえボードが走り出しても、ボトムで簡単に刺さりやすいことだ。

フォローな巻き波でないことが一番ではあるが、ボードが走り出す寸前に、
そのターンの素早さを活かして、なんとかフェイスに取りついて横に滑らせるか、
立った瞬間に広大なテールエリアを踏んでトップを持ち上げて
ボードを平行に立て直すことができれば、ボトムに刺さらずに走り去ることができる。
でも、言ったようにボードからのキュー出しが一拍遅れるので、
尚のことその操作がピンポイントになってしまい、ちょっと難しい。
よしんばそれができたからと言って、このボードが最高に光り輝く瞬間を
知っている身にとって、そういう日は楽しいわけでは決してない。

私の腕の足りなさもあるのだが、
こいつは、良い意味でも悪い意味でも波を選ぶサーフボードだと言える。

2015_0922-10.jpg
atuがセレクトしたそのライドフィールにとても合うDANOのピボット系のフィンをそのまま使っています

道具は万人を便利にするために存在しているわけだから、
シーンを選ぶような偏ったモノは、有り様として逆行している。
何より、私がロングボードを好きなのは、どんな波の日であっても
きちんと楽しんで帰ってこられるハズレのなさにあるわけなので、
ボードに波を選ばれるのは、少々困りものだ。

でも、ここでも毎度言わせていただいてるように、私にとっては、
オールマイティで様々な場面で融通の利くモノほど結果あまり使わなくなる。
やはり趣味のモノこそ自分のしたいことに即して選んで、
結果したいこと自体を増幅するような選択が、良い出会いなのだと改めて思う。

その日の波に合わせようと右往左往するよりも、
当たるも八卦当たらぬも八卦の方が性に合うし、
一日中、波の上にいたとして、そのうちのたったの一本であっても、
最高の当たりくじ(波) を引くことができた波乗りの方がずっと楽しいからだ。
  

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テーマ:サーフィン・ボディボード - ジャンル:スポーツ

2015.09.29 | コメント(9) | トラックバック(0) | サーフィン

コメント

ナイスボード!

とてもいいボードを手に入れましたね〜

サーフィンの場合、スノーボーダーよりもボードの特性が出ますのでそれぞれのボードで楽しめるのが良いですね。

スノーシーズンになる前にたくさん乗ってあげてください(笑)

2015-09-29 火 16:30:05 | URL | DAN #- [ 編集 ]

Re: ナイスボード!

DANさん
とても良いボードに巡り会えました。
もともとは友人のボードだったので「見つけた」と言うよりも、
他人のふんどしで無理くり巡り会ったといった感じですが、
まあ結果オーライってことで!

2015-09-29 火 20:24:31 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

おしゃれなボードですね。
私は、少し前まで、9fのカーボンの軽くてペラペラの板で、マニューバー系で楽しんでましたが、ガトヘロイのプレイボーイpig系板でクラシック系の乗り方の練習を今してます。
でも原点にもどりテイクオフの早さやノー図の安定感から、ファットキャットやスタイリストもいいかな?と思ってます。

デゥーイウェーバーよりもpigの方がいい感じですか?

2015-10-01 木 11:44:29 | URL | りっきー #- [ 編集 ]

りっきーさん

実は私もガトヘロイでPIG探してました。プレイボーイいいですねえ〜

さて、あくまでも参考までに、と但し書き付きで
私のインプレを書かせていただきます。

ウェーバー・パフォーマーは有無を言わせない直進安定性でもって、
一気にトップスピードで高速道路を突き進むイメージですが、
このJoshHallはタメがあるように感じるほど動きが緩やかで、
思い立ったときにサッと向きを変えやすいボードです。

その代わりに、パフォーマーはボードが勝手に走り出すほどテイクオフが簡単ですが
強めにテールを踏んで、ピボットに曲げないと向きを変えたがらないので、
うっかりすると真っ直ぐボトムに落ちてしまい、
その時点で減速しているのでそこからは波を駆け上がれません。
でも、パフォーマーはどんな波が来てもビクともしない強いボードなので、
スネ〜アタマまで、トロかろうがホレていようがお構いなしに乗れるところが心強いですね。

JoshHallはテイクオフにクセがあり、走り出しも遅く感じますが、
一旦ボトムに落としても、比較的速度を維持できるのでドライブもします。
でも、波の相性のレンジが狭くて波を選ぶので、ハマらないとつまらない感じです。

でも、いまの私は走り出しでパッと向きを変えたら
波の高い位置から横に滑り落ちるような長〜い波乗りを楽しみたいので
JoahHallに目がないところです。

ちなみに、私の初めてのロングボードがHarbour H3で、
手に負えなくてイージーテイクオフのパフォーマーを買い、
その安定性に加えて、もう少し機動性が欲しくて噂のFATCATを買っのですが、
Harbour H3に較べると、ピンテールの割にはレールも入れづらいし、
ちょっと中途半端な感じで、結局FATCATにはほとんど乗らずにH3に戻っておりました。

あくまでも私の考えですが、
波の見極め、場所取り、パドル力含めて、どんなボードでも、どんな波でも、
ボードに頼らずとも自力でテイクオフできるようになったら、
ロングボードの中でも、浮力の少ない、不安定ながらも
逆に反応の良いボードの方がターンだけでなく、
波のパワーゾーンを捉え続けたロングライドにも長けていると思うようになりました。

なので、私はFATCAT含めて、
縦方向に反応の良いボードに乗ることは、もうないだろうと(今は)思っております。

2015-10-01 木 12:50:16 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

私は、大学生の頃にショートボードでかなりサーフィンして
2年前から、ロングボードでカムバックしたオヤジサーファーですが、体も鍛えてるので、薄いペラの浮力のない板で、テイクオフ出来るし、カッ飛びアプスダウンカットバックくらいは、できるけど、自慢みたいですいません。
ウォーキングやノーズライドが苦手なので、今は、プレイボーイで、練習してるけど、
ファットキャトの方がやりやすいかなと、気になってたんだけど、ヤッパリ プレイボーイでノーズ等の練習しようかな。と思います。
参考になりました。
ありがとうございます。
ちなみに
プレイボーイ持っていった次の週は、ヤッパリ板を動かしたくなって、カーボンの軽い板を持って行ってしまいます。笑

2015-10-02 金 00:25:16 | URL | りっきー #- [ 編集 ]

それでも
ペラペラの板を持って行っても
その日一番アウトからテイクオフしてノーズしてる人見て
ヤッパリテイクオフが早い方がいいのかなー?
と、ファットキャットとかが気になった次第です。
今まで、パフォーマンス系ばかりでスタイリストやファットキャットは、乗ったことがないけど、参考にさせていただきプレイボーイで頑張りますかねー?
パフォーマンス系は、いろいろ乗ったけど、FireWire良かったですよ。

2015-10-02 金 00:38:50 | URL | りっきー #- [ 編集 ]

スチュワートやタカヤマスコーピオンやミニシモンズ系やらイロイロ乗りましたが、
ちなみに今のメインボードは、kyle Bernhardtというハワイの人が削ったepsにトンビ社でカーボンの上に塗装した9x21 7/8 x2 1/2の重さ4.8kgの軽い板でクワッドフィンで、乗ってます。
メッチャよく動きます。

セカンドボードが、プレイボーイです。
ウォーキングやノーズが全然できないので、これから、そっちを練習励みます。
いっぱい書いてすいません。

何時も楽しみに見せてもらってますよ。

2015-10-02 金 01:11:04 | URL | りっきー #- [ 編集 ]

りっきーさん

経験豊富ですね〜〜〜さすがです。
あくまでも初心者の私の話で僭越ですが、
PIGとFATCATでテイクオフ性能を較べても、
PIGに多少クセがあるだけでさほども違いませんです。
同じくらいアウトからうねりでもなんでも拾えてます。
ですので、りっきーさんくらい乗れる方なら、
遊びのバリエーションという意味でも
クラシックログの方がオススメだと思います!

2015-10-02 金 10:34:22 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

ありがとうございます。
ファットキャットに乗り換えるつもりでしたが、ガトへロイプレイボーイで、練習励みます。
でも、やっぱりファットキャットが、気になった場合、プレイボーイと紫色のファットキャットとを交換してください。笑

2015-10-02 金 17:02:44 | URL | りっきー #- [ 編集 ]

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