6才のボクが、大人になるまで。

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ビフォア サンライズ/ビフォア サンセット/ビフォア ミッドナイト
三部作で、ひと組の男女の出会いから18年間を、
同じ役者とともに、18年という時間とともに描いた
リチャード・リンクレイター監督。

彼の次なる作品は、
6才の男の子が18才の大学に入学するまでの12年間を、
まったく同じ役者たちが演じ続けた
この『6才のボクが、大人になるまで。』だ。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のブラッド・ピットのように
特殊メイクや吹き替えを使って同じ人物の歴史や人生を描いた作品は多いが、
このように、本当に12年の歳月をかけて撮影し続けた例は他にないだろう。

母オリヴィアと姉のサマンサと三人で暮らす6才のメイソン。
オリヴィアが付き合うボーイフレンドとのいざこざから祖母の暮らす
ヒューストンへ家族三人夜逃げ同然で引っ越すことになってしまう。
そこに、家族を残して一人アラスカへ放浪の旅に出て行ってしまった実父が
ふらりと戻って来て、2週間毎の週末に姉弟では父親と過ごすようになる。

そうするうち、若くして二人の子供の母親となったオリヴィアは、
かねてからの念願であった大学に通うようになり
そこで教鞭を執るちょうど同じ歳の姉弟の子供を持つ男性と恋に落ちる。
その男性と再婚することになり、同じ歳の友達同士二組の子供のいる
6人家族となるが、とてもやさしかったその男性は、
やがてアルコール依存症となって家族に暴力をふるうようになってしまう。
せっかく仲が良くなった義理の兄弟たちとも
引き裂かれるように離ればなれになってしまう。

と、その時点でまだメイソンは8才くらい。まさに宵の口だ。
そこから19才になるまで、物語はまだまだ延々と続いていく。

今作もビフォア〜三部作と同様に、
物語には特に目だった変化などが巻き起こることもない。

『フォレストガンプ』のように長い時間軸を感じさせるために、
その時代を映す鑑にもなる大統領をところどころに散りばめたりはしているが、
それも特に物語の何かの示唆になっているわけでもない。
離婚が特別でなくなった世界に暮らす家族に起こる、繰り返される出会いと別れ、
そういった試練にもならない試練を越えていくことで得られる成長。
そんなアメリカの何処にでもあるような日常が
12年分、淡々と描き続けられる。

それと、こういった作品の場合、通常「〜年後」といった具合に、
場面切り替えがされるようなところでも、一切の説明もなく
カット変わりに急に出演者が成長していたりする演出もおもしろい。
唐突に役者の髪型や雰囲気が変わるので最初はギョッとさせられたが、
そのことでチャプターが変わったことを観る者に伝える手法は斬新だった。

そうして普通に生きる一人の人間、どこにでもいる普通の家族が、
普通に成長していく姿が、何の誇張も、ことさらに卑下して描くこともなく
一定のリズムで映し出されていきます。

その独特のリズムは、
もちろんその背景に流れる12年という実際の時間が生み出しているのだが、
その緩急のないリズムによって、人生という筋書きのないドラマに
恐ろしいほどに感情移入をさせられ、ラストにメイソンが見せる笑顔は
一人の人間の成長を我が事のように手応えとして感じさせてくれます。


なんでも、20才からのその後を描いた続編も企画されているのだそう。
そのニュースに触れても、特にわくわくするでもないところが
この作品に向ける一番の感想かもしれません。
  

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2015.08.28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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