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ビフォア サンライズ/ビフォア サンセット/ビフォア ミッドナイト

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2013年に『ビフォア ミッドナイト』が公開されるまで知らなかったのだが、
実はこの作品は1995年公開の『ビフォア サンライズ』から、
2005年公開の続編である『ビフォア サンセット』を経て、
イーサン・ホーク、ジュリー・デルピーという二人の俳優が、
18年の時を経て同じ役を演じ続けたという珍しい作品でした。

そんな三作がWOWOWでまとめて放送されるということで、
観てみることにしました。



Before Sunrise

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まずは『恋人達の距離〈ディスタンス〉/ビフォア サンライズ』
アメリカから長期旅行中のジェシー(イーサン・ホーク)は、
ウィーンからアメリカへ帰国するために乗車した列車で、
祖母の家からパリの自宅へ帰る途中の、アメリカでの留学経験のある
フランス人女性、セリーヌ(ジュリー・デルピー)に出会う。
意気投合した二人は、飛行機の出発の時刻、
つまり朝までウィーンの街を二人で過ごすことを決める。
そうして朝までの限られた時間の中で、二人は心を通わせていき・・・

簡単に言うと、そういった内容であるが、
限られた数時間の中で、国籍も、生まれ育った境遇もまったく違う二人が
真の意味で「心を通わせる」ための手段は、もちろん「会話」以外にはない。

「よく台詞憶えられたな〜」と、思わず感心するほど、
自らの境遇や、価値観など、すべて台詞の中で説明が完結するので、
とにかく二人は良く喋る。そういった舞台演出のような世界観が苦手だと、
たぶんすぐに観るのを止めたくなる種類の映画だ。

私も間違いなくそういう種類の人間なので、途中何度か挫折しそうになったが
「観終わらないと、続編の意味分からなくなるし」という
本末転倒なモチベーションで、最後まで観終わることができた。

そうして、なんとか観続けていると、湧き上がってくるのはもちろん、
「惹かれ合っているのは解った。では、最後に二人はどうするのか?」
という疑問だ。

アメリカとフランス、それぞれの居場所を持つ二人は、
その距離を埋めるのはまず無理であろうと考え、
互いに連絡先を報せないことにして、
この関係がまさに陽が昇るまでであることを取り決めるのであるが、
それでもラストに二人がどうやって別れていくのかに興味が移る。
そうしておいて、
二人にとってお互いが運命の相手であることを示唆する演出が施され、
観る者に、更に二人の決断を心待ちにさせるわけだ。
このへんは特に演出が巧みだ。

そして翌朝、パリへ帰る列車にセリーヌが乗るまさにその刹那、
二人はある約束を交わす・・・・

そこで物語は終わるわけだ。
間違いなくこの時点で続編の予定があろうはずもなく、
その約束を二人が果たすかどうかは分からないままに映画は幕となる。



Before Sunset

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そして、劇中も、実際にも9年という月日が流れ、
9年前の二人の邂逅を題材に小説を発表したジェシーは、
その本のプロモーションで訪れたパリのとある書店でセリーヌと再会し、
夕方の便でアメリカに帰るまでのあいだ、二人で過ごすことにする。

9年の間にジェシーには、大学で知り合った奥さんとの間に設けた
二人の男の子のいる父親となっていた。
セリーヌは様々な男性との恋愛を経ながらも、まだ結婚はせずに
趣味の音楽を仕事に出来ないか模索しながらパリで暮らしていたことが語られる。

もちろん冒頭すぐに前作の最後に交わされた約束が、
どうなったのかが語られるわけだが
あまりそこには焦点を当てない演出であったりすることに、
ちょっと肩透かしを感じるのは、私が男だからだろうか?

結婚はしながらも、運命の女性はセリーヌだと信じ続けてきたジェシーと、
あの一晩で、すべての価値基準までもが変わってしまったと考えていたセリーヌ。
またも、二人から語られる台詞だけで物語が進行し、
言葉のみで二人の心の行き違いが、少しずつほどけていく演出は変わらず。
そうして空港に戻る前に、送って行ったセリーヌの部屋で
「一曲だけ」と、ジェシーが頼んだセリーヌの歌が披露される・・・・

なんとそこで映画は終わってしまう。
それぞれの生活も世界もある大人になった二人は、
そのまま何事もなく別れて行きそうな気配もあるし、
何もかも捨てていよいよ二人は結ばれてしまいそうな気配も残しつつも、
そのあと二人がどうなったのかは完全放置プレイのまま終わってしまう。



Before Midnight

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そして更にその9年後を、まさに9年後に描いたのが
『ビフォア ミッドナイト』。
つまり第一作から18年後の物語を、実際に18年後に撮ったわけだ。

40台となったジェシーとセリーヌの間には
なんとすでに7歳になる双子の女の子が産まれていて、
家族四人で出版社からプレゼントされたギリシャ旅行に来ているという設定から
物語は唐突に始まる。

もちろん、前作から二人がどういった時間を経て来たのかも明かされるわけだが、
前二作と違うのは、二人の間で語られる話にほとんど夢や希望がなくなっていること。
もう選べる未来が残っていないという、ほどほど現実味が強い
「良くある話」になってしまっている点が面白いと言えば面白い。

相変わらず二人の台詞回しだけで進行する演出で、
恋愛なんて甘っちょろいことよりも、
前妻との間にできた子供の親権の話や、
育児や家事に疲れた話に、
旦那の浮気を疑っている話など、
朝の情報番組で垂れ流されるような下世話な会話が並ぶが、
男が観れば、ジェシーの言うことが至極ごもっともな正論に聞こえるし、
女が観れば、セリーヌの言うことに強く共感できるように、
まったくの平行線が並ぶ情景を、とても上手に表現していているところが見所だ。

それでも最後に二人は、
そんなどこにでもある冷え切った関係を見事に修復してみせる。
それがまたなんてことない感じにも見えるし、
「問題の棚上げ」という超ファインプレーにも見えるところもまた愉快で、
これまた正解も、相互に平等な完全な和解も絶対的にあるはずのない真理を、
辛辣に、そしてある意味愉快に描き出していて、
この最終話が一番観ていて面白かったと思います。


最後に。
シリ−ズ作でも途中で俳優が交代するなんて、良くある話だ。
18年間のあいだ、同じ俳優陣で、登場人物のその時間の経過も含めて
描くというほとんど実験的と言っていい今シリーズは、
特殊メイクやCGで時間の経過を表現できる現代の映画制作において
とても有意義な試みだと思う。

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三作まとめて観たので尚のことなのだが、
きちんと年齢を重ねていく登場人物を、その過ぎていった時間を含めて観るのは、
それだけでも三作観てみる価値のある映画だと思えました。

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そして、この三部作を監督したリチャード・リンクレイターは、
現在公開中の『6才のボクが、大人になるまで。』でも、一人の少年が、
6歳から12年間に渡り、同じ俳優陣が演じた家族で描くという、
そういった実験的とも言える映画手法で撮影していたのだそうで、
こちらの最新作への興味も沸いてくる。
ちなみにこちらへもイーサン・ホークが出演しております。

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そしてもちろん、
エピソード4〜6に出演した三人が、そのまま出演する
12月公開予定の『スターウォーズ Episode7 フォースの覚醒』も楽しみで仕方ない。
  
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テーマ:WOWOW/スカパーで観た映画の感想 - ジャンル:映画

2015.02.20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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