雪崩の山 谷川岳 〜選んだ者と選ばれた日〜

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ここ数年、毎年、毎年、スノー系の、
中でもバックカントリーを題材にしたDVDムービーを数多く観ている。
「これだけニッチな市場に、よくもまあこれだけの数のDVDが発売されるものだ」
と、感心させられるほど、内容も実に様々だ。

多くの方々が関心を寄せるような内容であれば、
テレビ番組になるか、もしくは劇場公開されているだろうから、
特にこういった狭い趣味だからこそ、こんなビデオセールスが成立するとも言える。

そんな狭義な内容であるにも係わらず、多数存在しているのだから、
バックカントリーは元より、ウィンタースポーツに関心のない人から見れば尚のこと、
それぞれの違いは重箱の隅のレベルの話だし、
スキーやスノーボードを楽しまれる方々であっても、
こういったバックカントリー系ビデオの個々の作品に、
大きな違いを見つけることは出来ないかもしれない。

たまたまではあるが『Jeremy Jones' HIGHER』と、
この『雪崩の山 谷川岳』という、中でも特殊性の高い作品を
二作続けて観たわけであるが、こういった世界には慣れ親しんでいるはずの私でさえ、
重箱の隅にはまだ、これほど大きな違いを生み出す空間が残されているということが、
とても興味深かった。

ジェレミー・ジョーンズが世界を股にかけた冒険家ならば、
こちらは「ド」が付くローカルの物語だ。

誰も見たことのない映像、登山技術も滑走技術も、最高レベルに到達することを
求められるからこそ生み出されるエンターテインメントと、
“毎日の中にある大切なもの" を描き出そうとする試みの違いは
もう圧倒的ですらあった。

そして、それだけの違いを生み出しながらも、
どちらもわざわざ雪崩の山に登るという愚行に変わりはなく、
そういった行為を戒めるように、そんな愚行者の帰りを家で待つ
それぞれの家族の存在を観る者に印象づける演出などはとても良く似ていたりもする。

特に『雪崩の山 谷川岳』では、
ひとつの山とじっと腰を据えて向き合ってきたローカル達だからこそ描ける
そんな何事もなく家族の元へ帰るという責任と、
そのための準備や積んできた経験を、観る者にクールでありながらも
熱い気持ちとして提示する部分が、素晴らしい物語となって表れている。

そしてもうひとつ、この二作品を比較するからこそ、
余計に強く感じたのは「なぜわざわざ雪崩の山に登るのか?」という
こういった愚行と距離のある方なら尚のこと、素朴な疑問として浮かぶであろう、
シンプルなモチベーションの拠り所についてだ。

それはもちろん「そこを滑りたいから」に他ならない。

「HIGHER」は、究極的に困難の伴う場所に登りに行っているのだから当然のこと、
滑り降りる斜面も究極的な場所になるため、
無事に滑り降りるだけでも賞賛されるような、そういう滑りのシーンになっている。
確かに前人未踏の快挙と言っていいのかもしれないが、滑り手としては、
あまりにも浮き世離れしてしまっていて、観ていてあまりワクワクさせられない。
(これに関していうと、『Deeper』にも出演していたザビエル・デ・ラ・ルーさんの
 方が、エクストリーム感とワクワク感とのバランスが良いように思います)
実際ジェレミー・ジョーンズの作品は、WOWOWでも放送されていたし、
そういった意味でもジェレミー・ジョーンズの三作品の方が、
一般受けする内容なのかもしれない。

敢えてこの時期に、こういったムービーを観て、
シーズンへの気持ちを昂ぶらせたい私としては、
そこがまさに『HIGHER』に対して純粋に疑問に感じた部分で、
そんな疑問をこの『雪崩の山 谷川岳』は、すっきりと晴らしてくれる。

そう、「そこを滑りたい」という気持ちが強く伝わってくるほどに
しっかりと気持ちの良い滑走シーンが納められていることが何より嬉しかった。

残念ながら、今作で描かれている「そこ」を滑ることは、
今の私のレベルでは叶わないだろうけれど、
昨シーズン滑った焼岳のように、時間やお金や、
何より気力といった様々なことになんとか折り合いを付けて、
また「心から滑りたいと願える場所」に向かいたいと、私に強く思わせてくれた。
そんな『雪崩の山 谷川岳』は、この時期に観るのにまさにピッタリの作品でした。
  

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テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ

2014.10.16 | コメント(6) | トラックバック(0) | スノーボード

コメント

買うか迷ってたんですよ。

今日へそ曲がりさんのブログ読んで、そのままAmazonでポチりました(笑)

地元ですしね!LOVE群馬!

2014-10-16 木 12:24:19 | URL | おにぃーさん #- [ 編集 ]

おにぃーさん
そうですよ!谷川岳群馬じゃないですか!

2014-10-16 木 14:41:15 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

お久しぶりです。
まったく動きのとれない夏、草葉の陰から皆さんのエンジョイッぷりを涙ながらに見てましたww

私は気持ちのいい滑走シーンに期待して今週末に見ます。

きっと遠方ツアーは当分無理なので、このお山でもご一緒したいです。
しかし隣県にも魅力的な山がありますねー

2014-10-16 木 21:55:51 | URL | NADA #- [ 編集 ]

NADAさん
どちらかといえば、幸せなのは間違いなくNADAさんの方ですよ・・・
浸みるぜ〜〜
さておき、もちろん今シーズンも付き合いますよ〜

2014-10-16 木 22:37:02 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

あの界隈は恐ろしいですね、一度マチガの雪庇が落ちたときに隣のスキー場にいましたが、ヘリが来たかののような爆音と雪煙でホントビックリしました。

滑り的には私は「八甲田」のDVDに続き佐藤慎二さんの踏みまくったマンタレイでのカービングにグッと来ました。

2014-10-16 木 23:15:48 | URL | さいとう #SFo5/nok [ 編集 ]

さいとうさん
谷川岳はガチのアルパインですからね。
さておき、またシヴいとこ観てますね〜

2014-10-16 木 23:33:02 | URL | 埼玉のへそ曲がり #- [ 編集 ]

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