PETZL 超軽量アイスアックス『RIDE』

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ほとんど出番はないと知りつつも、
山の道具はついつい揃えてしまいたくなる魔性のアイテム。
アイゼン、ピッケル、そしてハーネスはその最右翼と言えるだろう。

ただ、ややこしいことに、ギアとしての魅力を感じることとは裏腹に
わざわざピッケルの要るような場所には行きたくない。
という気持ちもまた偽らざる本心だ。

行きたくはないのだが、シーズン終盤にもなると、
周りの「持っていてトーゼン」な方々に、
厳冬期に立ち入れないエリアへ行くお誘いを受ける事も想定され、
アイゼンの時と同様、それはある日唐突に
「明日は一応ピッケルも持ってきて」とかってことになる。

とかなんとか、言い訳を繰り返しながら、
楽しいお買い物の下調べは怠らないのが、私という人間だ。

そんなわけで、アレコレと物色はし続けていたのですが、
長さや、素材、形状を組合わせると、その種類は星の数ほどにも上り、
ドレが何用なのかサッパリ分からない。
加えて頭の片隅では「要らないのでは?」という疑念の晴れない代物なので、
「これなら持っておこう」と思えるような、
よほどの説得力がないと手が出せないままでいた。

そんな及び腰の私の琴線に強く触れる逸品に出会ったのは、
シーズンも終盤に差しかかった、つい先日のこと。
友人がFacebookで、こちらを紹介した記事に「いいね!」したことで、
私のタイムラインにこれの記事が掲載され、期せずして出会うこととなった。
ホントこういう口コミ的な出会いは、広告屋を営む私としては、
とても複雑な心境になる。っていうか、勉強になる。

それはさておき、
この『PETZL RIDE』から目が離せなくなったのは、これが、
スキーマウンテリングを念頭に開発された
超軽量コンパクトアックス
だったからだ。

本来は、実際の使用状況に照らして、使い勝手を判断すべきなのだが、
なんせ、そういった状況に遭ったことがないのだから、
いざ検証しようにもさっぱりわからない。
どれだけネットで調べても、想像はできても、いまいちピンとは来ない。
そういったときに「スキーマウンテリング専用」という説明のされ方には、
すぐに興味をそそられてしまった。

スキーマウンテリングの場合、まず間違いなくストックを使っているので、
ピッケルは、最後の急斜面まで出番がなく、
急斜面でしか使わないため、基本的に長いものは要らない。
それはつまり、最後までザックの中にいる可能性も高いので、
何はさておき軽量であることが重要。という理屈に沿って、
シャフト長も45cmのみの展開と、考え方がシンプルでとても分かりやすい。

というわけで、『PETZL RIDE』の重量は、わずか240gに納まっていて、
私の『GREGORY TARGHEE 45』なら、ゾンデやスコップと一緒に、
アバランチ・ギアポケットに一緒に仕舞えてしまうし、
ほとんどないに等しい重さなので、たとえ使わない可能性が高くても、
気兼ねなくザックに積み込んだままにしておける。

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PETZLでは、アイスアックス以外にも、
軽量ハーネスの『ALTITUDE』と、軽量アイゼンの『IRVIS HYBRID』を揃え
スキーマウンテリング用の超軽量モデルをシリーズ化している。
下側の画像を見ても分かるとおり、従来品に較べて、3点ともに、
ザックへの積み込みを躊躇させないコンパクトさを実現している。

というわけで、要りもしないのに、
このハーネスも買ってしまった・・・・

こういうセットものに弱い私が、このアイゼンに手を出さないでいられるのは、
つま先の形状がスノーボード・ブーツには合わないから。
もしスノーボード・ブーツでも使えていたら、
間違いなくこれも買ってしまっていただろう。説得力高し。

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ちなみに、この超軽量・コンパクトなアイゼンの505gには,
収納サイズだけでなく、重さでもまったく敵わないが、
私のグリベル エアテックライト(改)も、636gとなかなかに軽量だ。

それはさておき、使う日が来ないことを願う反面、
「でも軽いから」とか言い訳しながら、
ザックに忍ばせ続けることもできるのは、
へその曲がった私にとって、グッドアイテム認定の重要ポイントでもあります。
  

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2017.05.31 | コメント(0) | トラックバック(0) | スノーアクセサリー

富士山チャレンジ【後編】

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11時45分:標高3,400m
スプリット・ボードの私とONさんは、
大事を取って3,000m付近からアイゼンに履き替える。

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痙りはじめた左足だが、IK隊長にもらったタブレットのおかげか、
そのあと症状は出なくなった。飲んですぐ効くなんて、すごい即効性だ。
(ちなみにこれで「つらん」と読むらしい。ベタだが分かりやすい)
サプリメントの大切さを身をもって知る。
もちろん下山してすぐに買い求めた。

さておき、実はONさん、
仕事の関係で前日は1時間しか寝ていない・・・
口には出さないが、かなりキツかったはずだ。
それなのに前を歩いて足場を作りながら、
「あとは何も考えずに一歩一歩足を前に出していれば着いちゃうから」と、
私のペースに付き合ってくれた。こちらの副隊長も
ガイド並(もしくはそれ以上)のホスピタリティの高さを誇っている。
否、フォースの強さを持っている。

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富士吉田口登山道が近づいてきた。
上の画像に見えるのは8合目の山小屋。下は9合目の鳥居。
ちなみに、この二枚の画像の間には1時間が経過している・・・
いつまで経っても景色が変わらん。

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12時45分:標高3,600m
このあたりまで来ると、滑り始める準備などほぼ不可能になるので、
「もう登るしかない」と、いっそハラが決まる。
あまり上を見ないように心がけるが、やはり、ついつい見てしまう。
眼下の景色と同様に、頂上も一向に近づいては来ない・・・
何時間登っても、頂上の山小屋の見た目のサイズは変わらないままそこにある。
かなり残酷な目の錯覚だ。

出発してからすでに7時間が経過しようとしている。
もはや、自分が限界なのかどうかさえ分からない。
かといって、無我夢中になれるわけでもなく、
冷静に苦しさと向き合わされる、苦行と言っていい修行系。
そんな正念場が5分おきに訪れる。

ちなみに、アイゼンに履き替えることなく、
シールのままスタスタと登り詰めてしまったIK隊長は、
この時すでに登頂を果たしていて、
山頂で1時間以上もの間、我々を待っていてくれた。
連休中も3,000m級の山々を連日登っていたらしく、それもあって絶好調の様子。
本人曰く「今日はやけに身体が軽いわ〜〜〜」。

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人生ゲームのようにマスを入れ替えられるルールがあれば。と、真剣に願う。
というのも、IK隊長は、この翌日曜日も吉田口から登頂を果たした。
二日続けて富士山詰めるって、どんだけ〜〜〜〜〜!!
それだけ体力が有り余ってたら、
1時間くらい登りを交代してもらってもバチは当たらんだろう。とか、
もはや、それくらいのことしか頭に浮かんでこない。

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13時17分:標高3,710m 登頂!
須走口から7時間半、標高差1,800mにある吉田・須走口山頂に到着。
のど元過ぎればなんとやら。
辛かったことはさっさと忘れて、現金に達成感に酔いしれてみる。
成せば成る。成さねば成らぬ、何事も。

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まさか登頂できるとは思いもよらなかった。
おかしな言い方だが、絶対に途中で諦める自信があった。
特に最後の部分は、後から考えればたったの30分の出来事だったのだが、
「もう二度と来るかコンチクショー!」、
「これが最後。これが最後・・・」と、呪文のように唱えつづけ、
まるで永遠のように感じられた時間を過ごした。

「信じられない」なんて、人生で何度言う機会があるだろう。
流石は日本一の山。とんでもない達成感だ。

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30分ほど休憩したら、サッサと気持ちを切り換えて滑走準備開始。
ドロップポイントへの移動がてら、
今までテレビか写真でしか見たことのなかった火口を見渡す。
もちろんお釜も滑ることができる。
ボトムからは1時間程度の登り返しとのこと。

正面に見えているのが剣が峰。最高地点3,775.6mだ。
吉田・須走口頂上から剣が峰まで、
お鉢をどちら周りしても50分程度かかるらしい。
お釜の中を滑る方々も見えたが、剣が峰も、お釜も、
この際1mmも羨ましくないし、まったく未練もない。
ご自由にどうぞ。私はサッサと下山させていただきます。

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お鉢を南側に10分ほど歩いて、
登ってきたラインより、御殿場口寄りの面を滑ることにした。

ここは須走口と、御殿場口の中間にある『不浄流し』と呼ばれる滑降ライン。
裾野の広い富士山の場合、真っ直ぐに降りれば降りるほど、
放射状に登山道からは遠ざかってしまう。
なので、須走、御殿場と、どちらに滑り込むのもややこしくなるため、
めったに落とさないラインなのだそうだ。
風向き、日射の影響を考えた隊長の決断でこちらに決定。
(本当はもう一本手前の斜面を狙っていたのだが、間違えた)

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今回、「富士山に登ってもいいかな」と思えた理由の一つに、
MAXFORCE Splitの存在があったことは否定できない。
道具が与えてくれる「自信」の大切さを痛感する。
買い物って大切だ。

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14時23分。IK隊長ドロップイン!!!!!

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続いてON副隊長ドロップ!!!!

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最後に私がドロップ!
雪面はちょっと深めのシャウダー。
ザラメが深すぎてエッジが噛みづらいので、荷重がすっぽ抜ける。
2ターン様子を見て、行けると踏んだ3ターン目に、
大きく回しすぎて一瞬尻餅をついたが、
そこからは倒し込めるギリギリでターンを繋げる。

それでもこの巨大な斜面の100分の1も横幅を使っていない。
本当なら倍以上のターン弧でもってハイスピードターンに持ち込みたいのだが、
その荷重を支えられるような雪ではもはやない。
この広い斜面がモッタイナイ。

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ほんと現金なもので、さっきまでのヘナチョコな自分は何処へ??
とうに限界は超したものとばかり思っていたが、
案外「滑りは別腹」なのだと思い至る。

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ところで、標高3,700mの景色とは、一体どんなものかと思っていたが、
少々モヤがかかっていることもあって、期待していたほどでもない。
空気が澄んで、遠くまで見渡せる真冬ならば、眺めも変わってくるのだろうが、
「スゴすぎてかえって普通」と言うのが正直な感想。
IK隊長曰く、「富士山は、登るより、眺める方が楽しい山。」
較べるようなものでもないが、個人的には立山の景観の方が何倍も壮観だと思う。

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なんて、言ってはみても、ここはやっぱり日本一の山だ。
眺めはさておき、滑れども滑れども斜面が終わらない。
登りの時に感じた目の錯覚はそのまま下りでも当てはまって、
どれだけ滑っても、先行したIK隊長が近づいてこない。
しまいには膝とモモが乳酸でパンパンに張ってくる。

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最後に、元の登山道に向かってトラバースを開始する。

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しかして、すでに大きく目測を誤っていたようで、
3箇所ほど土の上を横移動しても、まだ登ってきた雪渓に辿り着かず。
最後は雪の上が石ころだらけになって滑走終了。
ここからはまた歩くのみ。

ちなみに、帰ってから確認したら、滑走面はすでに傷だらけだった。
まあ、来季までにチューンナップに出すつもりだったので、
良いっちゃあ良いのだが、富士山には、もしあるのであれば、
傷付いても気にならないセカンドボードを持って来た方が良さそうだ。

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立山の浄土平を「月面みたいだ」と言ったが訂正する。月面はこっちだ。
登りの時は富士山しか視界に入らないが、下りだと、
疲れがピークであることも重なって、荒涼とした風景しか目に入ってこない。

さておき、「下りだし少しはラクに降りられるだろう」という皮算用は、
ここに来てあっさりと覆された・・・

ご覧のように、ここは着いた足許から崩れるような、土の多い砂利道だ。
そこに拳大の溶岩石かゴロゴロと転がっていて、
一歩一歩慎重に足を着ける必要がある。そして、
前傾のつけられたスノーボード・ブーツだと、膝を伸ばしきれないので、
軽い中腰で歩くことになり、太ももへの負担がすごい。
スキーのハードブーツもキツいだろうが、AT系のブーツなら、
足首が解放できるので少しは楽になるように思える。
隣の芝生は青く見えるってだけかもしれないが。

ちなみにスキーヤーのIK隊長は、土の上はスキーブーツも担いで、
トレッキングシューズで歩いていた。

そんなわけで、最初の1時間で苦しんだ登りの方が、いっそ数倍ラクだった。
疲れ切った下半身に、この仕打ちはあまりにムゴい。
最後は靴擦れまで起こしてしまい、文字通りの満身創痍で下山した。


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17時30分:須走口駐車場帰着

下山してすでに一週間が経とうとしているが、
しこりのような筋肉痛がまだ残っている。
なんともスゴイ経験をしたものだと、改めて思う。
苦しかったことと、だからこその達成感という、
両極端な記憶しか残っていない。

富士という山は、滑るためだけに行く場所ではない。
果たされた苦労が滑り応えで報われる山では決してない。
滑るべき斜面、そのために登るべき山は、他にもっとたくさんある。
残念だが、それだけは確かだ。

少なくとも私にとっての富士山は、
登頂しなければ、自分の中に何も残らない山だと思った。
でも、もし登頂できれば、その達成感はそれだけでかなりのものとなる。
やはりここは特別な山だ。
登頂するためだけにある山が存在することを、この日初めて知った。

たぶん、山と人間には何か特別な “繋がり” がある。
山に登る事は、現代人にとって余暇にする遊びでしかないが、
きっと山に登ることは、天界に一番近い場所へ行こうとする、
人間としての根源的で、遺伝子レベルの理由があるのだと
「日本一」の山に登って感じた。

もちろんその理由が何であるのかは、私には分からない。
山岳信仰を含めた神聖な感覚なのかも知れないし、
単に「馬鹿と煙は高い所にのぼる」というレベルの話かもしれない。

それを今一度確認したくなる自分が発症してしまいそうで、
そっちの方が怖い。

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結果、きっちり12時間行動。
私のペースに合わせたせいで、
お二人には2時間以上も余計に使わせてしまったことになる。
いつにも増して、IKさんと、ONさんにはお世話になった。
(三人のウェアの色が信号機のようなのも、きっと何かの縁だろう。
 私がイケイケの「青」ってところがウケますが・・・)

この二人とでなければ、途中で諦めて引き返していたことはまず間違いない。
お二人にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。


さて、これでやっと2016-17シーズンを締めくくることができる。
燃え尽き症候群になりそうで怖いほど、
今シーズンも、私にとって心より誇りに思えるシーズンになりました。
今シーズンの振り返りは、また改めてしたいと思うが、
まずは、怪我もなく、無事に滑り切れたことに感謝をしたい。
  

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2017.05.30 | コメント(4) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

富士山チャレンジ【前編】

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富士山は、なんと言っても日本一の山だ。
正直、そんな山を登るなんて畏れ多いこと、考えたこともなかった。
正確に言うと「登りたい」なんて思うはずもなかった。
実際、生まれてこの方、富士山は眺めるだけで、
クルマで気軽に行けてしまう五合目にすら行ったことがない。

軽はずみに行っていい場所でないことは、すでに疑いようのない事実で、
コンビニにでも行くように、気軽に富士山に行ってしまう輩と私の間には、
標高3,700mほどの壁があることも良く解っている。

とはいえ、興味がないと言ったら嘘になる。

そもそも「日本一」とはどういう場所なのか。
ただの言葉なのか、それとも、
その後の人生に影響を与えるような、明らかに次元の変わる場所なのか。

今までもそうだったように、
何でもやってみなけりゃ、その本当のところは解らない。
(この歳になると、まあまあ正確に予想はたつが、それにしても・・・)

そしてもちろん、そのチャンスを掴むための時間が、
52歳の私にあまり多くは残されていないことも、ヒシヒシと感じている。
それは、体力以上に精神的な厳しさの方を感じている。
人は歳を重ねるごとに子供に還ると言うけれど、
叱りつけてまで引っ張り上げてくれる人間はいないのに、
決裁権を持っている「子供」ほど、挑戦に不向きであるのは間違いない。

気力、体力、天候、そして何より信頼できる仲間が揃ったら、
「もう躊躇してはいけない」と、私に残った最後の「大人」が叫んでいる。

というわけで、IK隊長が富士山に行かれるという日に
同行させてもらうことにした。
そして、先日の立山でそんな話をしていたら、
なんと、ONさんまで付き合ってくれることになった!
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私にとってIK隊長とONさんの二人は、はっきり言って、
クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービのような存在だ。
May the Force be with you.

素直にガイドツアーに参加すべきなのだろうが、
まったく自信の持てない私の場合、
安くない金額を払って来た方々の足を引っぱる真似だけはしたくないと、
そちらの方が気になって仕方がなくなる。
そういう精神状態で登るのが、何にせよ一番良くないことは明らかだ。

そんな、自分一人では来ることさえ決められない私とは違って、
お二人ともに「はじめての富士山はひとりでフラッと来た」とか、
事もなげに言い放つ。やはりジェダイ・マスター。格が違う。
間違いなくお二人にも迷惑をかけるだろうが、
この二人なら、きっと私を新しい次元にまで押し上げてくれるだろう。

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立山では軽い高山病に悩まされたので、
今回は標高約2,000mにある須走登山口駐車場で車泊して高度順応を図る。
慣れない車泊でグッスリというわけにはいかなかったが、
途切れ途切れでも、なんとか6時間横になって、4時半に勝手に目が醒めた。
美しい朝焼け。予報通りの晴天だ。

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富士山には真北に位置する「富士吉田口(標高2,305m)」から時計回りに
「須走口(標高1,970m)」、「御殿場口(標高1,440m)」、
真南に位置する「富士宮口(標高2,380m)」まで4つの登山道がある。
ご覧のように頂上までの距離を含め、登山コースそれぞれに特徴があり、
登る人ごとに好みが別れるらしいのだが、
私には窺い知れない部分なので、ここは素直にIK隊長の指示に従って須走口。
ちなみにIK隊長が須走口を推すのは「滑り応えが一番あるから」。

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5時45分。いよいよ出発。
写真を撮ってくれたのは実はOYくん。
腰の状態が悪化してしまい、残念ながら今回は不参加。
メールで報せてくればいいのに、わざわざ登山口まで見送りに来てくれた。
私一人で二人のジェダイ・マスターの相手をするのはシンドいけど、
仕方ない、OYくん行ってくるよ・・・・・

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雪渓に取り付くまで、ひたすらに土の上を登る・・・
まだ歩き出して30分もしないうちから息は切れ、動悸は激しく、
ザックは肩に食い込み、膝も痛い。

この時点ですでに頭の中は後悔の念で一杯。
「なんでオレはこんなとこに来ちゃったんだろう・・・」。

そもそも恐る恐る来てしまっていたこともあり、
身体が苦しさを真っ直ぐに拒否しはじめると、心が折れるのも容易い。
こうなるともう、いつギブアップしようかと、それしか考えられなくなる。
ただ、こういうときが一番辛くて、これを乗り越えれば、
一気に楽になるということも頭では分かっている。

これは富士山に限ったことではなく、
どこであろうと登り始めの1時間に、最初の正念場が訪れるわけだが、
3時間のうちの最初の1時間目と、7時間のうちの最初の1時間目では、
意味合いがだいぶ違ってくる。
一体この先、何回の正念場が訪れるのだろうか・・・

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7時20分:標高2,500m
ここまで登って、やっと雪渓に辿り着く。
この頃になってやっと、息が整い、脚のダルさもとれてきた。
助かった。まずは第一関門突破だ。
途中雪渓が途切れる箇所があるので、モードチェンジも必要になるが、
ここからは基本シールで登れる。
ボードをザックから外せば、上半身が軽いのなんの。
まるで羽が生えたように軽快になる。

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毎度言うようで恐縮だが、『DEELUXE SPARK SUMMIT』は、
土の上を歩くと、その有用性がよく解るという
なかなかヒネくれたスノーボードブーツだ。
今回、また更に見直すことになった。否、惚れ直すことになった。
状況が悪化すればするほど輝きを増す、道具らしい道具だ。

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10時23分:標高2,900m
すでに出発から4時間以上が経過している。
このあたりから北風が強まりはじめ、風に煽られて歩くのが不安定になる。
この日は富士山登山でよく聞くような、
カチカチのアイスバーンなんてこともなく、とても歩きやすい雪質でしたが、
それでもこの斜度なら、よろけたらすぐに100mくらい滑落できそうだ。
ズルッと足許で崩れるザラメ雪に肝を冷やしながら進む。

登り返しを合わせて合計6時間くらい登ったことはあるが、
連続だと最長で4時間程度までしか経験がない。
ここから先は完全な未体験ゾーン。

案の定、左太ももがつりはじめた。
それまでの調子の良さから一転して、負のモードに突入。
再び「諦め」の二文字で頭が一杯になってくる。
第2の正念場。

そんな私を見かねたIK隊長は「ドーピング」と呟きながら、
電解質を補給できるタブレットを、ポケットからサッと差し出してくれた。
そして、「まだ2,500だ・・・・・あ、違った、もう3,000だ!」
とか言いながら励ましてくれる。意外に人心掌握術に長けた隊長だ。
単純な私はすっかり気がラクになってしまった。フォースのお導き。

しかして、相変わらず体内からは、
いつ爆発してもおかしくないような軋み音が聞こえている。
まだあと標高差800m以上もあり、そして、
ここから斜度が増して、空気もさらに薄くなってくる。
果たして、私の体力と気力は、あとどれくらいもつのだろうか・・・・
すでに登頂への期待感は消え失せ、
私の中には不安感しか残っていない・・・

(後編につづく)
  

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2017.05.29 | コメント(0) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

メッセージ

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私も大好きな『ボーダーライン』、『プリズナー』を手がけた、
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品『メッセージ』(原題:ARRIVAL)。

世界12都市に、突如として全長450メートルの飛行物体が飛来する。
そしてそれは一箇所に留まり続け、18時間ごとに “入口" を開閉し、
人類を内部へと導き入れる。

中にはさながら「面接会場」のような広間があり、
ガラスのような間仕切りを隔てて、異星人との “面談" が行われた。
お互いの共通の言葉を持たない者同士が、
試行錯誤しながらもコミュニケーションを進めていく。

人類全体に、突然の訪問者への疑心暗鬼が広がり、
世界各地で暴動が起こりはじめる。
いよいよ業を煮やした中国は、
異星人に対して24時間以内の退去を求めて宣戦布告を行う。
ロシアなど、いくつかの国も中国に同調し、敵か味方か?といった事以前に、
まだその目的も明らかになっていない訪問者に対して
一触即発の状況が発生してしまう。

刻一刻と攻撃開始の時刻が迫る中、アメリカの科学者チームの一人、
言語学者のルイーズ(エイミー・アダムズ)だけが、
異星人との対話に成功する。
果たして、突然飛来した訪問者達の目的は、侵略か、同盟か、
なぜ12隻なのか、それぞれの場所の意味は?・・・

同じように異星人来訪を描いた
『インディペンデンスデイ』と『未知との遭遇』でも、
現れた異星人が攻撃的か友好的なのかは、観なくても何となく分かるだろう。
つまり今作も、あなたが受け取った印象の通りの異星人だ。

なので、物語としての見所は、何の決定権もないひとりの女性科学者が、
自国のみならず、世界各国に現れた異星人に対する攻撃を、
いかにして中止させるのか?というサスペンスな部分にある。

という部分を手に汗握って観るのも良いが・・・・話はそれほど単純でもない。
原作はテッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』。
もう一度言う『あなたの人生の物語』だ。

その題名が示すとおりに、決してストレートなサスペンスでは終わらず、
今作が描く核心は、“宇宙戦争" ではなく、“人生の選択" にあったりする。
その分かりやすさにおいて、
『ET』と『2001年宇宙の旅』の中間に位置するような、
ちょっとばかり、哲学的で、回りくどいお話。
あくまでもSFを下敷きにしながらも、人間の本質を問う作品だ。

上のポスターは、今作中にUFOが飛来した12カ国ぶんある。
左上が日本。そう、日本に飛来した場所は、函館だ。
言葉の通じない、訪れた目的も不明な、異形の生物との邂逅を予感させる
なかなか凝った宣伝方法だ。



さておき、ヴィルヌーブ監督の次回作は、
言わずと知れた『ブレードランナー 2049』。
『メッセージ』は、いっそブレードランナーへの予習だと思って観るべし!
  

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2017.05.26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

先日ののF1スペインGPでの心温まるヒトコマ



予選4位からのスタート直後の1コーナーで、
フェルスタッペンと接触して、リタイヤとなってしまった
フェラーリのキミ・ライコネン。

その直後に、フェラーリのスタッフユニフォームに身を包んだ
ライコネンのファンとおぼしき男の子が
泣きじゃくる姿が国際映像に映し出された。

そのあと、フェラーリは主催者、テレビクルーを通じて男の子の座席を確認し、
家族三人ぶんのVIPパスを発行して、男の子の家族をパドックに招待した。
そうしてやって来たフェラーリのホスピタリティブースで待っていたのは、
なんとリタイアしたばかりのキミ・ライコネン!

家族はそのあとも同じフェラーリに乗るベッテルが2位に輝いた
表彰式を間近で観て行った・・・

その一部始終はレース中にも放映され、
世界中のファンから賞賛のメッセージが届いたそうだ。

F1にあまり馴染みのない方だと、
「これくらいのこと」と思われるかもしれない。
でもこれは今まででは考えられないような本当に画期的な出来事で、
私ももう長いことF1中継を観てきたが、こんなの初めて観た。

F1を統括する親会社がアメリカのリバティ・メディアに買収され、
それまでの、ヨーロッパ式で敷居の高かったF1を、
アメリカ的なオープンなエンターテインメントに変革する流れが進んでいる。
前CEOのバーニー・エクレストンは、
ばく大な放映権料の獲得と維持を第一義にしていたため、
無料で映像を垂れ流されてしまうSNSなどの
ネットマーケティングに対しては、否定的な立場をとっていた。
そういったいわゆる著作権維持の観点から、マーチャンタイジングなどにも
多くの規制がチームや、ドライバー、関係者に課されていたという。

なので、スタート前ならまだしも、少なくともレース中は、
1秒たりともレースに関係のない映像が電波に乗ることはなかった。

昨今では、そのばく大な放映権料を払えずに、無料放送をできなくなった国や、
フランスやドイツという、お膝元での開催が、そもそもなくってしまうなど、
F1でもファン離れが深刻化していた。

それによって、各チームの開発費となるはずのスポンサー収入が減少し、
ビッグチームと独立系チームとの格差はさらに拡がって、
結果、レースの醍醐味も失われるという負のスパイラルに陥っていた。

とはいえ、権威的で閉鎖的だったことの良い面ももちろんある。
そうすることで得たばく大な収入を、チームへ還元することで、
大きな技術革新と、世界最高のドライバーを集めることに成功し、
現在の「モータースポーツの最高峰」というステイタスを生むに至ったわけだ。

そのため、こういったアメリカナイズされた、
現在の流れを疑問視するムキもなくはなかったが、
今回のこの心温まる「事件」によって一気にその流れは加速するだろう。

実際、サーキットでのイベントなど、
今まで主催者側からの規制が多かった部分でも、
来場者に「また来たい」と思わせるような仕掛けがかなり増えているらしい。
ネットマーケティングへの規制も緩和され、
動画で得られる情報もかなり増えてきた。

来季からザウバーにホンダ・エンジンが供給されることも決まり、
その契約条項には日本人ドライバーの起用も含まれているらしい。
この良い流れに乗って、
日本でももう一度F1への関心が高まることを期待したいところだ。

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話変わって、
2度の年間総合チャンピオンに輝いた、F1のトップドライバーである、
マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソが、
伝統のモナコGPを休場してまで、同日に開催される
アメリカ最大のモータースポーツの祭典『インディ500』に参戦する。

先週行われた予選の結果はなんと5位!
ちなみに予選4位は日本の佐藤琢磨だ!
決勝は、モナコGP終了後となる、日本時間28日、25時19分スタート。
この現役のF1トップドライバーであるアロンソの、
インディ500参戦にも賛否両論あるようだが、
話題性のあることはいいことだと思う。私は素直に応援したい。
  

テーマ:F1GP 2017 - ジャンル:車・バイク

2017.05.25 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ

ペースメーカーライトって、知ってます?

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みなさんは「ペースメーカーライト」をご存じだろうか?
登り坂など、無意識にスピードが落ちてしまう場所で、
渋滞が発生しやすいという話は、最近よく耳にする「渋滞学」として
聞いたことのある方も多いと思う。
「ペースメーカーライト」は、
その学問を実際のフィールドで展開、運用したアイデアだ。

「点滅する光で渋滞を緩和、東京湾アクアラインで実験」(日本経済新聞)

この青いLEDの光が、特定の速度で移動し、それが誘導光となって、
ドライバーに速度の低下を報せるというもの。
この4月から、全国に先駆けて東京湾アクアラインで試験運用が開始され、
ゴールデンウイーク期間中の渋滞が緩和するなどの効果が見られたという。
それもあって、先日のサーフィンで千葉南へ向かう際に、
アクアラインを通るのをちょっと楽しみにしていた。

実際に自分でその効果が感じられるのかというと、
あくまでも比較論でしか効果を感じられないものなので、
これがなかった場合のデータを持ち合わせない私にはわからない。

でも、ライトよりも自分が遅いことは一目瞭然に “感じる" ので、
流れを円滑に運ぶ効果は確かにありそうだ。
とはいえ、こういったものは、
そうと知らされなければ得てして見落とされがちになる。
そうなると、せっかくの効果も薄れてしまうだろう。
今後は全国的に運用されるらしいので、
皆さんもこのライトの存在に気を配って欲しい。

と、何より渋滞が嫌いな私はそんなことを思ったりしている。
  

テーマ:自動車・バイク関連ニュース - ジャンル:車・バイク

2017.05.24 | コメント(2) | トラックバック(0) | クルマ

カップヌードル型 チタンクッカー

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もう一年近く前に、ノリだけで買ってしまった
『カップヌードル型 チタンクッカー』。

なんともシャレの効いているその外観に、
高機能素材であるチタニウムを組合わせるという、
なんとも冗談みたいな発想に、
へその曲がった私は完全に心を奪われてしまった。

そうして買ったはいいが、クッカーなら幾つも持っている私に、
こいつを使う機会は一切訪れなかった・・・
そうなることは1秒考えれば分かることだ
(っていうか、本当は分かっていた)。

そんなカップヌードル型 チタンクッカーを、
やっと先日、海で使うことができた!!!
(っていうか、無理矢理使った)。

2017_0501-32.jpg

ただ煮炊きするだけでなく、これをこれとして、真っ当な姿で使うには、
リフィルのカップヌードルも必要になるわけなので、
用意周到な私は、もちろん抜け目なく買っておいた。

素直に考えれば、このチタンクッカーでお湯を沸かして、沸騰した頃に、
リフィルを投入すれば、クッカーを2個持って行くなんて、
アホなことにならないことは、すでに火を見るよりも明らかだ。

でも、カップヌードルに限らず、カップ麺を食べる場合、
乾麺の上からお湯を注ぎたい衝動に駆られる私としては、
そして、1Lの水を1分で沸かしてくれる
『PRIMS イータエクスプレス』を持つ身としては、
結局、二つののクッカーを持って行くことになってしまう。

しかも、リフィルという割には、使い捨てのカップに較べて、
さほどのエコにもなっていないようにも思う。
そして、このリフィルがまた、どこでも手に入るという代物ではない。
それなら、今まで通りにコンビニでカップ麺買って行く方が、
ずっと理に叶っている。なんという自己矛盾だろうか・・・・

もしこいつに、理に叶った使い方があるとすれば、
ザックに詰めたときに、カップが潰れないための
「カップヌードルケース」として捉えて、これでお湯を沸かして、
カップヌードルに注ぐのが、一番真っ当な使い方なのかもしれない・・・

2017_0501-33.jpg

そして、カップヌードルの賞味期限が、
こんなにも短いとは思いもしなかった。

そして、賞味期限の切れたカップヌードルが、
こんなにも不味いことも知らなかった・・・

このチタンクッカーを手に入れてほどなく、
「非常食にもなる」と期待して箱買いしたリフィルは、
この一個を除いて全滅した・・・
  

テーマ:サーフィン・ボディボード - ジャンル:スポーツ

2017.05.23 | コメント(4) | トラックバック(0) | サーフィン

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オートバイと
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