
私は、ハリー・ポッターシリーズはあまり楽しめない人種なので、
今作に関しても嫌な予感しかしなかった。
でも、まったくの新シリーズだし、
何よりあのエディ・レッドメインが主役を張っているし、
次回作ではジュード・ロウが若き日のダンブルドアを演じるというので、
淡い期待を抱きながら「レンタル開始」まで待って観ることにした。
ですが、結論から先に言うと「やっぱり馴染めん」。
なんでも映画の原案は『幻の動物とその生息域』という
ホグワーツ魔法魔術学校の教科書がベースで、その教科書の著者が、
今作の主人公ニュート・スキャマンダーという設定なのだそうだ。
この『幻の動物とその生息域』は、日本でも2001年に出版されたようで、
作者はもちろんJ.K.ローリング。内容は、教科書よろしく、
80種程度の魔法動物が説明されているのだそうだ。
ただ、
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
〈映画オリジナル脚本版〉』という本は出版されていて、
つまり、J.K.ローリングによる映画用の書き下ろし脚本のようだ。
さておき、好きな人に言わせれば、ハリー・ポッターという映画は、
小説が想像させる世界観と、映像の整合性がとても高いのだそうだ。
なので、今作も小説(脚本版)を読んでから観ることが大前提の
“セット販売商品” なのかもしれない。
というわけで、小説を読んでいない私には、大事な伏線となる、
魔法界と人間界の対立を企てているという、
「巨悪の大物」グリンデルバルドなる魔法使いについてもさっぱりだ。
なので、そんな陰謀の話とは無関係に、
魔法動物学者が、勝手に危険な魔法動物をニューヨークに持ち込み、
こともあろうか、誤ってその危険な魔法動物達を逃がしてしまい、
街がパニックに陥るというただのドジの話にしか見えない。
エディ・レッドメイン演じる、主役のニュート・スキャマンダーは、
「おっちょこちょい」というよりも、救いようのない「間抜け」だ。
視線の定まらないオドオドとしたところは、ほとんど挙動不審者。
それでも「実は凄いんです!」といったギャップのあるヒーロー像を期待したが、
肝心の魔法力の方もいまいちパッとしない。
かといって『ゴーストバスターズ』のようなギャグ路線ではなく、
大まじめにダークファンタジーにまとめようとしているので、
私には焦点の定まらない不揃いな印象しか残らなかった・・・・
まあ、シリーズ累計で天文学的な発行部数を誇る小説がベースなので、
愛読者以外が観ることを想定するだけ無駄だということなのだろう。
歌舞伎や古典落語を嗜むような、下準備が欠かせない様式性に彩られた世界観が、
すでに確立しているようだ。一見さんお断り。

とはいえ、超人気大作なので、
出演者の顔ぶれを眺めるだけでもそこそこ楽しめる。
私、コリン・ファレルさん好きなんですよね。
こういった大作でお目にかかるのは久しぶりです。
そして、『ジャスティス・リーグ』でフラッシュを演じるエズラ・ミラーに、
ラストにはその「巨悪の大物」グリンデルバルド役で、
誰もが知っている、あの大物俳優も登場します。
とはいえ、やはり消化不良感は否めない。
今日からレンタルが開始される『ローグ・ワン』を観直して、
この心のモヤモヤを晴らすことにしよう。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ ゴールデンウイークのお知らせ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
当ブログの次回の更新は、5/8日(月)を予定しております。
それでは皆さま、良い連休をお過ごしください!
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2017.04.28
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春の雪は、溶けることで水分が多くなるだけでなく、
表面に浮いた粘着性の高い汚れが滑走面に付着することで、
例の妖怪を呼び起こしてしまう。
そんなストップスノー対策として、それ専用のワキシングを施すわけですが、
現場での対策もとても重要だ。
それの最たるモノが、ワックスに付着した汚れを落として滑走面をリセットする
スクレイパーやブラシ類ということになるだろう。
一本滑るごとに滑走面に手を入れることの有用性に、
すでに疑問の余地はないと思うので、
スクレイパー自体の効果に関して、もはや説明は要らないだろう。
なので、今回購入した『カシワックス ストラクチャー スクレイパー』が、
「簡易的ながらも滑走面にストラクチャーを付けることができる」
という部分が、今回のポイントになるわけだが、正直、普通のスクレイパーと、
どれほどの違いがあるのかまではわからなかった。

ちなみに、私はこれに併せて、同じカシワックス製の
『スモール ブラス ブラシ』も山に持って行っている。
どうやら、断面の凹凸が粗めになりやすい素材で造られているようで、
スクレイパーの角をきちんと立てるように研磨してしまうと、
通常のスクレイパーと変わらなくなってしまうのだそうだ。
なので、削るのではなく、いっそカットした方が良いらしいのだが、
垂直にカットするガイド工具を持っていないのでどうしたものか?
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 閑話休題 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
毎度言うけど、ワキシングは信仰心が一番大切だ。
「これは効く!」と思えばとことん効果が顕れるし、
「イマイチだなあ」と感じたら、地の果てまでイマイチのままだ。
カシワックスというブランドは、
「今滑らないのはもしかして○○○が原因なのかも」とか、
想像を巡らす中で生じる心の隙間にピッタリとフィットするアイデアや、
哲学を提示してくれる、私にとってとてもプラシーボ効果の高いブランドだ。
つまり、私の信仰心と科学的な推論の見事な結節点といえる。
繰り返すが、この『カシワックス ストラクチャー スクレイパー』に、
一般的なスクレイパーと、どれほどの違いがあるのか?に関して、
科学的な説得力のあるデータを、私は持ち合わせてはいない。
それはあくまでも主観的な感想でしかないのだが、
「やるか」「やらないか」で言ったら、やるべきだし、
これを「使うか」「使わないか」で言っても、これを使うべきだと思える。
そういう信じる「気持ち」になれることが何より大切だ。
普通のスクレイパーでも問題のないところで、
「あえてこれにしてみよう」と思えることこそが、
こういったアイテムの一番大切な効果効能なのだと思う。
テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ
2017.04.26
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今シーズンから使いはじめたKashiwaxの
『Mazukore』、『Tsugikore』ですが、
そろそろ使ってみた印象について書いてみたい。
正直に申し上げて、気温も雪温も低い状況で、
「こりゃあダメだ滑らない」とか、ネガティブな印象を持った
滑走ワックスは今までひとつもないし、
「ワキシングしてるのに、ソールバーンが起こってしまった」とかいうこともない。
良い雪質ならば、いっそワックスなどしていなくても、
そこそこ滑ってしまうのではなかろうか??とすら感じてしまう。
昨今、あれこれとワックスブランドは乱立しているが、
言うほどの性能差はないだろう、と私は楽観的に思っている。
以下に話す内容は、「そういうレベルの滑り手のする話」
だということを前提にして聞いてもらいたい。
3月も半ばを過ぎたあたりの、特に関東圏のスキー場で見られる、
水分量の高い雪だと、そんな鈍感な私であっても、
そこには目に見えるハッキリとした性能差を感じ取ることができる。
なので、ワックス冥利に尽きるのは、まさに春の汚れた雪を滑るときだ。
各ワックスメーカーでは、雪温に併せて数種類用意するのが定番手法だが、
近ごろは全温度対応を謳う機能レンジの広いワックスも少なくない。
トーゼン、面倒くさがりの私はそういうお手軽なヤツにすぐになびいてしまう。
そういった「万能系ワックス」で良くあるパターンは、
雪温が極端に低いとか、水分や汚れが酷く多いときなど、
その守備範囲を大きく外れたときに、唐突に滑走性能を下げてしまうことだ。
なので、アレコレ悩まずに済んで、
しかも、対応レンジという意味においての性能劣化が緩やかなワックスこそ、
理想的だと私は思う。
『Mazukore』、『Tsugikore』も、
この二つだけですべての雪温に対応することを謳っているワックスだ。
パッケージにははっきりと「BASE WAX」「TOP WAX」との記載があるので、
この二つはそういう関係なのかとばかり思っていた。
実はそうではなく、雪温 -2℃から-16℃の極寒と春を除くハイシーズンの
水分の多い雪や雪温が高い状況が『Mazukore』の担当で、
ドライな雪や雪温が低い状況が『Tsugikore』の担当なのだそう。
それはつまり、ひとつですべての状況に対応することは不可能で、
最低でも2つは要るという示唆なのだろう。
湯沢エリアBCでは、山のトップはまあまあの乾雪で、
ボトムは重めのストップ雪だったのだが、
なんらストレスを感じずに滑り降りて来ることができてしまった。
しかも、その前日の谷川岳ではとても乾いた新雪や、
風に叩かれた硬いバーンを難なくこなしたその翌日のことだ。
両日とも同じボードで、滑走前にブラシしただけ。
何せ、ストレスを感じないので、ストップ雪であることさえ報せてこず、
感づいてもせいぜい「ちょっと重いなあ」程度でしかない。
それなのに、最後の林道の緩斜面を滑っている時には、
前走者にどんどん追いついてしまい、極めつけは「さっき酷いストップ雪だったね」
と言われて、そのことに気がつけたほど。
こういった守備レンジの広さは、
今まで使ったワックスに感じる事ができなかった部分だ。

3月中盤まで、25日滑走してこれくらい消費する。
同じだけ塗ってるはずなのに、なぜか『Mazukore』の方が消費が早いのは、
私のいい加減な性格故だが、『Tsugikore』の方が、塗っていて硬く感じ、
より薄く伸ばそうとするので、そのせいもあるかも知れない。
滑走時の耐久性に関しては、今まで使ってきたどのワックスよりも短命の印象。
滑らなくなると言うより、見た目にはっきりと滑走面が乾燥して見えてきて、
ワックスが抜けてきたことを報せてくる。
年末年始の北海道では、6日のうちの5日間を、ブラシをかけながら
TTで滑りきってしまったが、それは雪質の良さによるものだろう。
実際はメーカーが推奨するように、
「ブラシをかけて滑走は2日まで」だと思っておいて良さそうだ。
要は「ヌケの良い」ベアリング効果の高いワックスだと言えると思う。
毎回滑りに行く度に、二度塗りしなければならないのが億劫だが、
この性能を体感してしまうと、それもやむなしと思える逸品だ。
あとは、どのタイミングで『Kahiwax C.W.D.』と交代するか?が
問題となるわけだが、言ったように『Mazukore』『Tsugikore』だけで、
かなりの守備範囲を持っているので、それは本気のストップ雪を迎えてからで充分。
使い分けに関しても一切の悩みは不要だ。
テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ
2017.04.25
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やはり、発売と同時に買ってしまった。
第1部、第2部、各定価¥1,800(税別)は安くないし、
何より単行本は持ち運ぶには重い。
なので、文庫化を待つのが得策なのだが、
村上春樹の新作だというだけで読まずにいられなくなってしまった。
お恥ずかしい限りだが、要は話題作に弱いミーハーな理由でしかない。
なので、読み終わったあとで、
「理由はさておき、良い本を読んだ」と思えることを期待して、
そして、村上春樹ならば、そうなる確率が高いことを皮算用したわけなのですが、
結論から申し上げて、残念ながら心から「おもしろかた」と
言える作品ではありませんでした。
私は、TVドラマでも、映画でも、物語に結論が欲しい人間だ。
小説なら尚更に。
示唆した物事に、それなりの論理的な解答で結んで欲しいと思う。
その解答が、ぴったりエンディングに結実されれば言うことナシだ。
どうやら、村上春樹という作家は、そもそもそういったことに
頓着しない(ことの多い)人のようだ。
科学的な理屈ではなくても、なんとか納得することのできる、
ギリギリ解答らしきものを受け取れることが、『1Q84』をはじめ、
ここ数作では実際にあったので、今回もそれに期待したわけだが、
今作に関しては、かなりの肩透かしを喰った。
幼くして亡くした大切な妹。
突然、理由もなく別れを告げてきた妻。
謎の多い金持ちから依頼される高額報酬の仕事。
世界的に有名な日本画家のアトリエに隠されていた大作。
アトリエの裏に見つかった古い祠と、井戸のような「穴」。
夜な夜な決まった時間にそこから微かに聞こえてくる鈴の音・・・
オカルトチックで不気味な出来事と、策謀と罠の匂い、
そこから逃れられない人間の弱さと過ち・・・
あまりに突然に、あまりに理不尽に妻に捨てられた男は、自分を見失いながら、
得体の知れない暗闇に引きずり込まれていってしまうのか・・・・・
・・・・・と思いきや、突如目の前に現れたのは、身長60cmほどの、
おかしな言葉遣いをする「イデア」を自称する奇妙な存在。
謎めいていた登場人物達には、実はそれぞれにとても分かりやすい重荷を、
その両肩に抱えている市井の人々だった。
ナチス以前のヨーロッパに、深い絵画への理解、
芸術家の思考論理への理解、シルバーのジャガー、プジョー205など、
読み手の創造力を喚起する情報の配置の仕方。
そのセンスと、ナンセンスの組合わせ方、それを使った気の惹き方など、
振り撒かれた謎たちが、答に向かって一気呵成に収束していくように設計された
物語の運び方や、文捌きは、さすが村上春樹と言わざるを得ないものでした。
そもそも、この題名は、本作を意味づける重要なキーワードではない。と、思う。
すでにそこからして「解答」を避ける、良い意味で読み手の期待を裏切るための
ギミックが進行していたようにも感じる。
「井戸のような穴の真実」、
「イデアとは如何なる存在なのか?」はもちろんのこと、
「森の中にあるという秘密の抜け道」、
「幼い妹の死との関係」、
「別れた妻の妊娠」、
「東北を巡った傷心旅行中に出会ったスバルフォレスターの男」、
「宗教団体に資産を吸い上げられている資産家の父親」、など、
そのギミックとおぼしき伏線は、結局「閉じない環」とでも言いたげに、
もしくは意味ありげに、謎は謎としてそこに放置されたまま終演を迎えてしまった。
上下巻ではないことを考えると、ひょっとしてこれは、
第3部以降が存在する、計画的な悪戯なのかもしれないが、
そういう主観による補完も含め、今はただただ、
ザワザワとさせられた気持ちもそのまま放置されてしまっている。
そんな、本にザワザワを期待するムキには堪らない作品でありましょうが、
お子ちゃまの私には到底無理だ・・・
ひょっとすると、スタジオジブリが今作をアニメ化したら、
(トトロが何者なのか?論理的に知りたいと思う人はいないだろう)
なんとなく納得してしまいそうな、そういう種類の物語でありました。
テーマ:読んだ本の感想等 - ジャンル:小説・文学
2017.04.21
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