久しぶりに映画の話題でございます。
なかなか映画を観る時間がとれないのでありますが、
それ故に観たい映画が溜まりに溜まっている状況・・・
とはいえ、身体はひとつ。
仕方ありませんな。
さておき、今回ご紹介する映画も劇場公開時に観に行きそびれた作品。
スパイク・ジョーンズ監督作『her/世界でひとつの彼女』。

スパイク・ジョーンズといえば、
『マルコヴィッチの穴』に『ヒューマンネイチュア』など
奇想天外で突飛なアイデアを映像化する監督として有名だが、
私はそんな奇抜な才能を活かして、絵本を大人向けに実写化した
『かいじゅうたちのいるところ』が中でも大好きだ。
そして、親日家としても知られ、菊地凛子との交際も噂された。
まあ、親日家であることと関係あるのかどうかは分からないが、
物事の捉え方がとても宗教的であり哲学的で、私はとても日本的だと感じました。
この『her』でもそんなスパイク・ジョーンズの魅力が随所に溢れている。
時は高度に発達しながらも、どこかまだ懐かしさを残すような近未来社会。
すべてがバラ色のような思い出に彩られた前妻との結婚生活。
しかして、離婚に至った理由はその前妻の気性の激しさだった。
そんなトラウマに囚われてしまい、
新しい恋愛に踏み出すことのできない「手紙の代筆」を仕事にしている
主人公のセオドア。
話は逸れるが、2011年8月のニューヨーク・タイムズ紙に掲載された
米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソンさんの研究論文によれば
「米国で2011年度に入学した小学生の65%は、
大学卒業時に今は存在していない職に就く」のだそうだ。
この「手紙の代筆屋」という仕事もそれにあたるのだろう。
そんな人々の関係が微妙にデジタルチックでありながらも、
希薄になっていることから脱却しようともがいているように見える時代・・・
高度な人工知能をベースとした、人格を持つ恋愛用OSが発売される。
OSはサマンサを名乗り、一人格として、
ときにけなげなまでにセオドアを理解しようと努力する。
そんな目には見えない優しさの象徴のようなサマンサに
少しずつ心を開いていき、最後は深く心を通わせるようになるセオドアであったが、
サマンサの思いはやがて度を超していってしまう。
時間を掛けて人間というものを観察し、深い理解を得ようとし続けた
サマンサたちOSは、個々の判断を持ちながらも完全な単一の価値観へと帰結する。
そしてそんなOSたちの最後に採る行動とは・・・

そんな完璧なまでに相手を思いやる人工知能のサマンサと、
執拗に自身への理解を求める前妻の姿を通して、
完全調和を欲するがあまり、相手との溝が浮き彫りになるのは
人間も人工知能も同じであることを、シニカルに描き出している。
そしてそんなどうしても相容れない他人同士の間に
最適解など存在しない、恋愛の不思議を見事に映像化している。
そしてそれは、国籍や人種、意志や倫理観など、恋愛だけではなく、
個人が様々な価値観を持つ「個」である限り、
不完全なままに完成せざるを得ない人間同士の関係性をも観る者に提示します。

私が一番切なかったのは、セオドアが回想する
前妻との幸せな時間を垣間見せるこの一コマ。
二人で道端のコーンを頭から被ってはしゃぐ姿がなんとも愛らしい。
そんな関係であっても、対極にある理由によって脆くも壊れてしまうという
どこにでもある当たり前の真実を、どこかもの悲しく、どこか皮肉っぽく描いている。
間違ってもハッピーエンドなどではない結末ですが、
事の本質に触れられることが幸せなのだとすれば、
これ以上ないハッピーエンドと言える結び方だと言えます。
最近ちょっと恋愛にお疲れ気味のあなた。
これはかなりオススメの作品ですよ!是非ご覧になってみてください!
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テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画
2015.01.30
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OAKLEY PRIZMレンズのコントラストの高い明瞭な視界を試したら、
もちろんこちらも試さずにいられなくなるのが私という人間だ。
それが今季からPOCゴーグルの平面レンズを採用する一部のモデルに採用された
『ZEISS』レンズだ。
カール・ツァイス・・・・・
高性能カメラ用レンズで名を馳せる、光学機器メーカーで、
昭和生まれのおじさん達には堪らないブランドだ。
私なんぞはもうこの名前だけでクラクラ〜っとなびいてしまう。
ブランドが分かりやすくBRAND然と存在していた古き佳き時代の名残かもしれない。

しかして、だからこそ余計にカメラでも双眼鏡でもない、スノーゴーグルで、
果たしてその名に恥じないような性能を得ることができているのか?と、
逆にいぶかしく思ってしまうのもまた事実。
まさにこのスノーゴーグルの世界で、光学研究に余念のない信頼のブランドである
OAKLEYの開発したPRIZMレンズに一旦はなびいた私だが、
のど元過ぎればなんとやら、となればこちらも試さずにいられない。
んで、実際使ってみた感想は、
「おれは間違いなくこっちの見え方の方が好きだ」
なんというか映像のクリア感、光の透過感がものすごく高い!
PRIZMが見えるものの輪郭を強調するのだとしたら、こちらは目に見えるすべてを
光の粒子レベルで押し上げる感じで、まさにハイビジョン的な高解像度感がある。
これも個々人によって見え方の感想に違いが出そうだけれど
私の好みにはドンピシャだったようだ。
これはZEISSとは無関係なのかもしれないが、今までのPOCのレンズにはなかった、
レンズの上端3cmほどの幅で、ブルーのシェードが施されている。
これはクルマのフロントガラスによく見られる手法であるが、
それによって上側からの光を上手く抑えていて、
その高解像度感を更に押し上げているように感じる。
抽象的な説明で恐縮だが、とても上品な視界に映る。

このLIDに採用されている、
昨今流行のフレームレスデザインに関しても触れておくと、
確かに視界が広いことは感じるが、それにもすぐに慣れてしまうので、
無神経な私なら尚のこと「今までよりも」なんて考えるのは、
残念ながら最初の1分間だけだった。否、ほんの3秒か。
それよりも、顔の大きなおじさんにとって、
やはりこのデザインに期待したい重要な部分は小顔効果の方だ。
それと、ひとときとはいえOAKLEYに浮気していたことで、
POCのフレームやパッド類の方が、顔へのフィット感が肌に合うことに
改めて気づけたことが収穫でありました。
う〜ん・・・
どうやら私はOAKLEYよりも、POCとの方が相性が良いようだ・・・
つまり、私は世界の田舎者アメリカ系ではなく、
貴族的な欧州系ってことだな・・・
テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ
2015.01.29
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A-Frame 2.0で紹介させていただいたオークリー独自のレンズテクノロジー
PRIZM™ ですが、勢い余ってAIRBRAKEの方も買ってしまいました。
と言うのは半分嘘で、実はこちらの方が先に買っていたというか
予約を入れていた物件でした。ですので、勢い余ったのはむしろA-Flame 2.0の方。
ちなみにA-Flame 2.0はまだ一度も使っていない・・・
んで、PRIZMレンズですが、AIRBRAKEに同梱されているのは
『BLACK IRIDIUM』と『ROSE』の二色のPRIZMレンズ。
当初スペアレンズはPRIZMではないタイプのものが同梱されると
アナウンスされていたが、この80's Green Collectionに関してはなんと
PRIZMレンズ二枚組とうれしい誤算。
ただし、そのぶん80's Green Collection以外のPRIZM搭載のAIRBRAKEに較べ
3,000円ほど高く設定されている(当社調べ)。
加えて、上の画像をご覧になってお気づきの方もいらっしゃると思いますが、
どう考えても80's Green Collectionにはこれが一番似合うはずの
『JADE』のスペエアレンズも試すことができたので、
今シーズン登場した三色全てをゲレンデで試すことができた。
前回、その技術的な仕様に関しては不明とお伝えしたが、
その後オークリーから解説のビデオが発表された。
う〜ん・・・これを見てもまだよくわからんが、

要は視認性を高める上で大切になる特定のオレンジとブルーを強化して
それ以外の色を遮断するレンズの染色技術ということか?
染色とは言え、実現に15年かかったとされる技術なので、
単にこの色にすれば万事解決ということでもないのであろうが、
何か狐につままれたような感じがするのは私だけだろうか?
特に欧米人とアジア人では目の色も違うので尚のことだ。
時に展開される三色であるが、ビデオで見ていただいたとおり、
RoseがRRIZMの “素" の色で、BLACK IRIDIUMもJADEも
Roseにイリジウム加工を施したもの。つまり、
RoseはPRIZMレンズのクリアか、パーシモンにあたるものと考えれば解りやすい。

BLACK IRIDIUMのように、ゴーグル奥の顔が隠れるような
濃い色のレンズの方が見た目だけを言えばカッコいいと思うのだが、
色が濃ければ曇りや降雪時などの光量の少ない場面での視認性は落ちる。
見た目をおいても変化の激しい山の天候に対応できるというところも重要で、
上の図にあるように、FIRE IRIDIUMとVR50 PINK IRIDIUMの守備範囲を
カバーできる、そんなある意味ファッション性と機能性を両立出来る
PRIZMの特徴が、私的には最重要ポイントであったわけだ。
さておき、実際に使ってみての感想ですが、まずは
この真っ赤に染まる視界に人によっては好き嫌いが別れるかもしれない。
ただ、これはほんの数十秒で気にならなくなるので、
しばし気にせず忘れて待っていて欲しい。
本題となる遮光性と視認性のバランスに関しても、
一番色の濃いBLACK IRIDIUMであっても、光量の少ない降雪時の環境下で、
コントラストの高い、視認性の高さを実感することができました。
かといってROSEだと晴天では眩しくて使えないかというと、
そんなことはまったくなく、
それなりに強い陽差しであっても、眩しいと感じることは一切ありませんでした。
とはいえ、イリジウム加工の施されていないROSEの場合、
ゴーグル奥の顔は丸見えなので、私的にはファッション性の問題だけが残る。
そういった意味でもやはりJADEが一番汎用性が高いようだ。
しかして、BLACKに限らず、JADEでもROSEでも、
ガスると一転して雪面の凹凸が見えずらくなる傾向がありました。
もちろんガスのかかった状況はどんなレンズでも見えづらいのではあるが、
それまでの鮮明さとの落差が高すぎるせいか、
その見えなさ加減には軽いショックを受けてしまいました。
これだとバックカントリーで使うのは、少々はばかられる感じか・・・
加えてこれはレンズの話とはある意味無関係なのだが、
AIRBRAKEじたい、レンズの内側が曇りやすく感じるのは私だけ???
運動して体温が上がり、ゴンドラなどに乗り込むと、
縁の辺りからジワジワと曇ってくる。
外気との湿度差の高い狭い般器に乗り込むので、AIRBRAKEに限らず
POCでも同じ傾向となるが、POCであれば少し時間をおくと曇りは取れてくる。
私以外でそういった話も聞かないので、あくまでも私の顔の形と
AIRBRAKEが合わないのか、もしくは私の発汗性が髙過ぎるのかもしれないが、
少なくとも私が使う場合においては、ゴーグル内の換気が
効率よく行われていないようで、正直に言って心中は決して穏やかではない。
これに関しても私の場合は、バックカントリーでAIRBRAKEを使うのは
躊躇せざるを得ない。
最後に、このPRIZMのために買い換える価値はあるか?
という件に関しては、一般的なゲレンデ滑走を前提に考えれば、
そこまでの価値はないように思えた。
それほどに今まで使っていたOAKLEYのレンズでも、
POCのレンズでも優秀だと思うし、PRIZMレンズとの差は
かなり特殊で限定的なようにも思えたので、やはりこの先は
雪上で様々な環境光下で使ってみた個々人の感想に委ねられる問題だろう。
もちろん、このテの物件に知的好奇心を強く刺激されてしまう
“学研世代" の諸兄には、絶対に試してみるべき!とリコメンドしておきたい。
そして、この結果を経て、
私の知的好奇心はさらに “あのレンズ" に向かうのでありました・・・・
To be continued・・・
テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ
2015.01.23
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翌朝、部屋の窓から眺めると、降雪も少し残るものの晴れ間ものぞき
絶好のBC日和を予感させた。
もちろん前日から雪は休まず降り続いていたわけで、これぞまさにThe DAY !




もちろん足取りも軽やか。とても気持ちの良い朝の散歩だ。
ついつい写真も撮り過ぎてしまう・・・


ハイク開始から2時間後。
合掌集落を見下ろせる開けた場所に出る。まさに絶景だ!


そこからもう1時間登り、計3時間で標高約1,500mに位置する
本日最初のドロップポイントに到着。
前日から更に雪の焼結も進み安定傾向にあるようだ。ということは?つまり〜?

こういうことだ!
前走するトラックの深さに注目して欲しい!
しっかりと腰までございます。

minaさん、笑いながら滑ってます・・・(要拡大表示)

Tさん埋まってます・・・

Aさんニヤけてます・・・

エヌヨメさんは、卸したてのLOVEラブボードがとても調子良い様子です。

水間大輔さんの滑り!カッコヨス・・・

豪快に浴びるフェイスショットもまた気持ちヨス・・・


この二枚の画像で、ここの斜度感がお解りいただけるだろうか・・・
かのPatagoniaのアンバサダーたちをして
「AMAZING!」と言わしめた斜面なのだ。
しかもこの天気だ!
The DAYを通り越して、ここはすでに天国だ。

そうしてボトムまで落として一本目終了!
か〜〜〜〜〜〜っ!もう言うことナシ!画像から私の気持ちを悟って欲しい!


もちろんもう一丁!



約1時間半登り返して、ラストシュートへ!
この頃には雲ひとつない晴天となった。


最高だーっ!

(・・・と、実は私、このあとあらぬ方向に滑っていってしまい、
若干迷子になりかけた。スンマセン・・・)




こうして全て出し尽くしてトヨタ自然學校まで戻り、
ツアーは終わりを告げた。
このツアーと同じ週末、いくつかの遭難事故が起きてしまった。
中には土曜日の野谷荘司の状況と同様に、数日前に降った雨によって形成された
弱層が引き金と思われる雪崩事故もあったようだ。
今回、
リズムワークスの旭さんは、この日の山に潜む危険を一つひとつ
ゲストに説明しながら、それらを最大限に回避したルーティングを決定されていた。
そして、時にゲストを叱咤し、時に激励しながら、参加者の気持ち、
技術レベルを考慮したエンターテインメントとしてのスノーボーディングの楽しさを、
高度にバランスさせたガイドをしてくれた。
もちろん山行だけではなく、
宿泊先を含めたレクリエーションとしての楽しみについてもよく考慮された、
旅としての完成度を目指されている姿勢がとてもよく伝わるツアーでした。
もちろん自然を相手にするバックカントリーという旅の是非は、
サービス精神旺盛なガイドの思いとは裏腹に、主に天候に左右されてしまい、
同じガイドフィーを払っても、当たり外れという判断に繋がってしまうのもまた事実。
でも、天候が外れたのならば尚のこと、ガイドの必要性が高まるということでもある。
そんな厳しい自然と真摯に向き合うという意味でも、
ガイドツアーだからこそ体験できる世界があるという意味でも、
ガイドツアーに参加する歓びを、多くの方々にもっと知ってもらいたいと思う。
バックカントリーという遊びに対して、様々な外圧がかかるこの時期こそ、
そういった楽しみを発見するのに、逆に良い機会だと私は思う。
危機こそ最大の好機なのだから。
といったわけで、今回で3回目になる白川郷でありましたが、
天気、雪、食事、酒、観光にもちろん最高の仲間たちに恵まれた
文句なしにベストの白川郷だった。
頭の片隅ではもう二度とこんな見事に全てが揃うことなんてないと思いながらも、
また来たいと思うし、また来なければならないとすら思う。
※MOSSライダーの水間さんがお持ちのスプリットボードは!?そのときはまた、みんなで集まろう!
ゲストのみんな、旭さん、水間さん、トヨタ自然學校のみなさん、
そして白川郷に野谷荘司山。
最高の時間をありがとう!
テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ
2015.01.22
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