追憶の森

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ダラス・バイヤーズ・クラブ』『インターステラー』のマシュー・マコノヒー、
渡辺謙の共演で贈る『追憶の森』。

原題は『The Sea of Trees』。
つまり “樹海”。
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【ストーリー】

多くの仲違いはあったが、それを乗り越えながら、
最後には心より大切な存在であることを知ることができた、
最愛の妻を交通事故で失ったアメリカ人男性、アーサー。

自分の勝手な了見の狭さ故、
妻の気持ちをきちんと理解するための貴重な時間を失ったと考える彼は、
自責の念に嘖まれてしまう。
自身を罰する場所を死に場所と定め、
ネットで調べて知ることとなった、富士の青木ヶ原樹海までやって来る。

森の入口には、死へと急ぐ者を呼び止める文章が書かれた立て看板が立ち並び、
そこにはハングル、中国語、英語までもが併記されている。
そんな看板を橫目で眺めながら、
アーサーは警戒線を越えて森の奥へと分け入って行く。
森にはいくつもの骸が横たわり、
ここが、そのための場所であることを、アーサーにハッキリと伝えてくる。

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ふと覚悟を決めたように、腰を下ろしたアーサーは、
ピルケースから薬を取り出し、服毒自殺しようとした、まさにその瞬間。
目の前の林の中を彷徨い歩く日本人男性、タクミ(渡辺謙)を見つける。

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タクミは、出口を探してさまよい歩いていて、
アーサーはそんなタクミを放ってはおけず、
自らがやって来た方向へと案内するが、やがて自分もすでに迷っている事を知る。
もちろん「そのため」に来たのだから、それは望むところではあるのだが、
かといって、自分とは反対に、家族の元へと帰ろうとするタクミのことも
放ってはおけないアーサーは、まずは出口を探すことにする。

彷徨っているとは言え、どこか不思議な雰囲気を醸す、タクミは一体何者なのか?
生きようとする者と、死のうとする者、二人の先に待つものとは?


_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 注意=以下ネタバレします=注意 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

森の中には外国人の遺体も多く残され、遺体の中のいくつかの近くには、
とても小さく美しい花の咲いているものもあった。
タクミは「霊が思いを成就させて天へ導かれると、そこにきれいな花が咲く」と
アーサーに教える。

そんな数奇な旅路の中で、アーサーはタクミに、
なぜ死のうとしたのか。
自分にとって妻がどれほど大切な存在だったのか。
そして、
「あなたは私の好きな色も、私の好きな季節すら知らない」と、
妻に蔑まれたこと、自分が妻に対して犯してしまった罪について、
問わず語りに身の上を語りはじめる。

タクミは、この森は霊が彷徨い集まる場所なのだとアーサーに教え、
「だから、きっと彼女もあなたの近くにいるはずだ」と伝える。
そして、タクミもアーサーに、私を待つ妻の名前は「キイロ」、
娘の名前は「フユ」という、自分にも、とても大切な家族がいる。
だから、どうしても家族の元に戻りたいのだと懇願する。

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そんな2人の邂逅を通して、アーサーも自分を見つめ直すことができ、
次第に生きる気持ちを蘇らせていく。
そして、2人で森から生還しようと、決死のサバイバルがはじまった・・・

少しずつ体力を失っていったタクミは、いよいよ動けなくなってしまう。
アーサーは「絶対に助けに戻るから」と約束してタクミを残し一人出口を探し、
なんとか救助隊に助けられ、ギリギリの所で森からの生還を果たす。

救助スタッフに自分とは別に、
日本人男性もまだ取り残されていることを告げるが、
タクミが森に入ったという日時に監視カメラに映った人影はないこと、
そして、実際に捜索にも向かったが、アーサーの言う場所に人影はおろか、
遺体もなかったと告げられる。

それでも納得のいかないアーサーは、退院後、自分でも捜索に向かうが、
タクミと別れた場所には何もなく、そこには一輪の花だけが咲いていた・・・

数年後。
大学教授であるアーサーは大学に戻り、それまでの生活を取り戻していた。
そんなある日、学生がアーサーのデスクのメモ書きをのぞき見し、
「Yellow」「Winter」と、その日本語を訳して聞かせた。
それは、タクミが妻と娘の名前だと言って教えた
「キイロ」「フユ」を書き留めておいたメモだった。

「だから、きっと彼女もあなたの近くにいる」
死んだ妻が、タクミの姿を通して自分の好きな色と季節を報せてきたのだと
その時アーサーは知るのであった。


【私的感想】

とても残念なことに、今作はカンヌをはじめ、
欧米各国で「なぜ死ぬためにわざわざ日本まで行く必要があるのか?」と、
上映後かなりのブーイングが浴びせられたのだそうだ。

私も最初は、青木ヶ原に行くために、空港から新幹線に乗るとかいう
あり得ない設定だったり、
それなのになぜか渋谷の街を歩いているシーンがあったり、

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樹海の入口まで乗っていったタクシーが、30年以上も前のモデルであったり、
あからさまに海外の森で撮影されていることが分かってしまったり、
年間数十体の自殺体が回収されるとはいえ、
少し樹海に足を踏み入れただけでポンポン白骨体に出会うはずがないと思ったり、
広大な樹海への入口はそれこそ無数にあるので、監視カメラはないだろう。とか、
少なくない違和感を憶えてしまった。

外国人が日本を描くと、
どこか日本を曲解しているような表現になりがちだ、と早合点してしまった。

そんなわけで、「キイロ」「フユ」という名前を最初に聞いたときは、
そのあとの重要な伏線であるとも知らずに、
「外国人が日本を描くと芸者か忍者かフジヤマだ!」
「そんな名前付けるか!ナベケンは何してた!」と、
思わず憤慨してしまう部分があったのは事実だ。

でも(フジヤマ的なリサーチ不足の部分を除けば)、
富士の樹海のことを、少なからず知る日本人にとって、
ここに自身の死生観を垣間見るということ自体は、
スッと腑に落ちてしまう設定だった。

何より、富士の樹海を彷徨う霊とは、
それは幽霊の類だと思いがちな我々日本人のステレオタイプな考えとは違って、
「生きる者と、霊魂が交信できる場所である」と解釈した
ガス・ヴァン・サント監督の発想は、むしろ素晴らしいと思いました。

これは日本人が創るべき作品であったと思います。
オススメ度:80

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ お盆休みのお知らせ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

いつも当ブログにご来訪いただき誠にありがとうございます。
恐縮ではありますが、来週、当ブログは夏季休暇とさせていただきます。

次回の更新は再来週の21日(月)を予定しております。
まだまだ暑い日が続きますが、皆さまくれぐれもご自愛のほどを。

それではまた、こちらでお会いしましょう〜〜〜
  

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2017.08.10 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

ザ・マミー/ 呪われた砂漠の女王

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子供だましと知りながらも、ついつい観に行ってしまうのは、
私が子供だからに他ならない。

内容も上に貼った予告編を観れば一目瞭然。
意外な展開も、伏線も、謎も何も一切ない。
びた一文、予告編と違いはない。
これで、ほとんど観終わったと言っても言い過ぎではないだろう。
なので、この予告編を観て興味が沸いたら、観てゼッタイに損はない。
『ザ・マミー/ 呪われた砂漠の女王』は、
それくらいシンプルでいてストレートな、まさに夏休み向きの超娯楽大作だ。

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そもそも、トム・クルーズ好きの私としては、
一も二もなく観たくなってしまうので、この際、細かい話はなしだ。
ちなみに、私はホモセクシャルではないので、
性的にトム・クルーズが好きなわけではない。
彼のプロデューサーとしての手腕と、
アクション映画の好みが私と合っているというだけだ。
要は、私にとってトム・クルーズ出演作品にハズレなし。

ちなみに、他人様から見れば、この時期に公開されている
『パイレーツ・オブ・カリビアン』も、『トランスフォーマー』も、
トム・クルーズ作品と大差ないように思われるであろうが、
食指を動かされないので、そちらは基本ビデオでしか観ない。
私はそういう偏った趣味嗜好をもつ人間だという以外に、
どこがどう違うのか、自分でもよく説明できない。

さておき、今作もトム・クルーズらしい、
映画の冒頭からジェットコースターばりのスピード感で突っ走る
まさに冒険活劇の中の冒険活劇。

久しぶりにIMAX 3Dで観たのですが、3D上映にピッタリとはまっている
王道のアトラクション・ムービーでありました。
ヒネりはないが、そのぶん観る者を飽きさせないエンターテインメントの極致。
あっという間に終劇を迎えてしまう類の作品であります。

今作は『ダーク・ユニバース』プロジェクトと呼ばれる、
ユニバーサル映画のシリーズの企画もので、
「フランケンシュタイン」や、「半魚人」、「ドラキュラ」、「狼男」に
「透明人間」、「オペラの怪人」(オペラ座ではない)に至るまで、
過去にユニバーサル・ピクチャーズが手がけた、
古き佳きモンスター映画を復活させるプロジェクトのひとつ。
この『ザ・マミー』も『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』でもリブートされた
1932年のホラー映画『ミイラ再生』が元ネタだ。

要は『マーベル・シネマティックユニバース』や、
『DCエクステンデッド・ユニバース』のユニバーサル映画版。
次回作は1935年公開の『フランケンシュタインの花嫁』のリブート作品で、
2019年の公開予定なので、かなり先の長い話ではある・・・

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ただ、クロスオーバーさせるのが、このテのシリーズの特徴なので、
この『ザ・マミー』でのトム・クルーズ演じる主人公の最期や、
意味深に登場したラッセル・クロウ演じる「ジキル博士」あたりが、
今後公開される作品に関係してくるのかもしれません・・・

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さておき、今作で暴れ回る呪われた砂漠の王女アマネット役は、
『キングスマン』で、義足の殺し屋を演じたソフィア・ブテラが担当しているが、
これがまた彼女のもつオリエンタルな魅力にドハマリしている。

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日本語吹き替え版はベッキーが担当したそうだが、

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私には眉毛の濃い市川紗椰にしか見えない。
さておき、そんなソフィア・ブテラは
アジア系の我々にも、とても分かりやすい美人さんだ。

当の市川紗椰は、9月で『ユアタイム』のキャスターを降板してしまうらしい。
数ある深夜帯のニュース番組の中から、市川紗椰見たさに、
ついつい『ユアタイム』を観てしまう私のような貴兄に、
“そういう意味” でも『ザ・マミー』、オススメであります。

オススメ度:(予告編にピンときたあなたになら)90
  

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2017.08.04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

パッセンジャー

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ジェニファー・ローレンス
(『世界にひとつのプレイブック』『JOY』)

クリス・プラット
(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ジュラシック・ワールド』)、
の共演で贈るSF大作『パッセンジャー』であります。

二週続けて宇宙空間を舞台にした作品で恐縮です。
先週紹介させていただいた『ライフ』は、ウスウス駄作であることに気づきながらも、
あえて賭けに出て失敗しましたが、
こちらはロードショウ当時には、逆にセイフティにスルーしていた作品。

人気俳優の二人が主演を務めるということで、
私も注目はしていたのですが、それが逆に客引きパンダ的な
きな臭さを感じてしまったため、結局劇場には足を運ばなかった。
かといって、先行ネットレンタル配信が開始されると知れば、
ビデオレンタルの開始まで待てるような気長な性格ではないので、
セッカチに配信開始と同時の鑑賞であります。

という、あまり期待していなかった作品なのですが、どうしてどうして。
かなり楽しめる作品でありました。
『ライフ』を映画館で観るくらいなら、
『パッセンジャー』こそ映画館に観に行くべき作品でありました。

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結末に、いくつかの秘密や、謎は残すものの、内容はほぼ予告編にあるとおり。
到着まで120年かかる移住先への旅の途中、目的地までまだ90年を残す場所で、
想定外の事故によって、自動航行中の宇宙船に故障が起きる。
それによって乗客の一人、ジムだけが人工冬眠から目ざめてしまう。

何重にも安全を確保したシステムだったため、
船内にこのような想定外に対処するための、
もう一度人工冬眠に入れる機械の用意はない。
そういった不慮の事故に対処出来るはずの乗務員は、
乗客たちの眠る部屋とは別にある、厳重に隔離された場所で冬眠しており、
彼らを起こすこともできない。

それはつまり、残りの人生をこの宇宙船の中で終えるということに他ならない。

そうして孤独に過ごす1年が経過した頃、
一人の女性、オーロラも人工冬眠から目ざめてくる・・・・・

アダムとイブじゃあないけれど、
無人島で男と女が二人きりとなれば、
その先の展開はもう明らかでありましょう。

しかして、そこは理性も知性も備える常識人であります。
いかに選択肢のない状況とはいえ、
急に目の前に現れた男性に簡単に惚れてしまうほど、
モノゴトは安直ではありません。

というわけで、
背後に隠された陰謀やら、謎やらがある、SFサスペンスモノかと思いきや、
SFという舞台設定だからこそ描ける、
人生をかけた壮大な “恋愛ドラマ" でありました。

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そんな恋愛ドラマを彩る、宇宙船内の豪華な施設を巡るのも今作の見所。
乗客は植民地に到着する4ヵ月前に人工冬眠から起こされ、
コロニーに慣れるための準備期間が設けられているため、
船内にはその4ヶ月間を快適に過ごすための設備がとても充実している。

この移住は、いわゆる「移住計画」といった種類のものではなく、
リゾート地に移住するような、大がかりな「移住産業」の一環で、
つまりは未来の一企業が提供するひとつのビジネスモデル。
なので、乗客へのホスピタリティは万全で、
それはあたかも現代のクルーズ船でする豪華な船旅のようなものだ。

和食、中華、フレンチ、イタリアンとなんでもござれの高級レストラン群に、
ラウンジバー、プール、ゲームセンター、スポーツジムなんてのは当たり前で、
ショッピングアーケードを想起させるような、巨大なコンコースや、
宇宙遊泳なんてアトラクションも用意されている。

そんな至れり尽くせりの中で、
イケメンと色女が恋に落ちていく様を描いているのだから、
SFというよりも、むしろそっちの内容なわけだ。
もちろん、宇宙空間でなくとも、
地球にいたって色恋ってやつはスムーズには運ばない。
イケメンの嘘がバレたり、宇宙船の故障が更に悪化したりする騒動が
次々に巻き起こるわけだが、それも含めてSF版『タイタニック』

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『タイタニック』とは違って、もちろん登場人物はほぼこの二人だけなので、
そう考えると、レオ様とケイト嬢以上に、
この二人をキャスティングしたことの意味が良く理解できてくる。

ジェニファー・ローレンス好きの私としては、
相手役にクリス・プラットを配置したことを含めて
彼女の魅力が最大限に活かされるベストの選択がされていると思いました。

そんなわけで、事前情報と内容に、かなりのズレがある作品でありました。
宣伝的には、もっとタイタニックな部分をアピールしたら良かったのに。とも思うが、
公開当時はそっち方面の王道作品『ラ・ラ・ランド』も公開されていたので、
そちらとの直接対決を避けたのだろう。なんとも運がなかったね。

なので、レンタルで是非!!
オススメ度:90

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2017.07.28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

映画『ライフ』と、Googleが ISS(国際宇宙ステーション)ストリートビューを開始したお話

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巨額の制作費を投じた大作っぽいわりには、
えらくひっそりと公開開始されたな〜とか思っていた
『ライフ』を観てきました。

土星探査機が採取した土星の土の中に、単細胞の生物が発見され、
国際宇宙ステーションで、各国合同による地球外生物の研究が進められるが、
異様に生存本能の強いその生命体は、人間を敵と見なし攻撃を仕掛けてくる。
宇宙ステーションという密室の中、最初は手のひらほどの大きさだった生命体は、
狭い通気溝などを伝って神出鬼没に現れては、乗組員に襲いかかり、
人体から栄養素を摂取して徐々に成長し、力も知性も増していく・・・・・

という、要は『エイリアン』そのまんまの内容。
予告編を観れば、それは火を見るよりも明らかなので、
「きっと微妙なんだろうな〜」とは察しがついたが、
そんなただの二番煎じに、

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真田広之はさておき、

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ジェイク・ギレンホール(『プリズナー』『ナイトクローラー』)や、

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レベッカ・ファーガソン
(『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』)や、

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ライアン・レイノルズ(『デッド・プール』)が、
出演するわけがない。という疑心暗鬼が生じた。

それなのにTVスポットもあまり流さないし、
私のようにほとんど毎日、映画情報にアクセスしている人間ですら、
その公開日を知らなかったりしたほど、ひっそりと公開されていて
(実際私が観に行った映画館では、一日一回のみの上映だった)、
「これはきっと何かある」と、逆に裏読みしてしまった。

こういった場合に考えられるのは、
近いところでは『メッセージ』や、古くは『ブレード・ランナー』のように、
物語が哲学的すぎたり、宗教的だったりする
(ブレード・ランナーは、環境破壊が進んだ地球という設定が、
 当初は受け入れられなかった)ことで、
大衆にはあまりウケないというケースだ。

そんな作品こそ、むしろへその曲がった私には持ってこいなので、
ほとんど裏狙いの気分で観に行くことにした。のダガ・・・・・・

結論を言うと、まあまあの二番煎じでありました。

ただ、この作品が『エイリアン』と少々趣を異にしているのは、
レベッカ・ファーガソン演じるミランダが、
「疾病対策センターの検疫官」だということ。

近ごろ日本でも外来種のヒアリがコンテナに潜んで日本国内に入った例が
報告され話題になっているが、それを水際で防ぐのが検疫官の仕事だ。
企業が生物兵器として地球にエイリアンを密輸しようとしていたのと違い、
地球外生命体という外来種を地球に入れないための任務を帯びた人間が、
乗組員にいて、その人が主役だという部分が違うっちゃあ違う。

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とはいえ、それも大同小異。
見た目がほとんどポケモンみたいな生命体(ライフ)は、
見た目は特に怖くもないし、背筋に来るようなおぞましさもない。

ほとんどオススメできないから、この際ネタバレもしちゃうけど、
(っていうかYouTubeにはエンディングシーンの動画が上がっていたりする
 そのうち削除されてしまうだろうが)
この映画が何よりガッカリなのは、
最終的にこのポケモン(ライフ)が、間抜けな乗組員の間抜けな行動によって、
結局地球に到達してしまうところだ。
主役に検閲官を配置した意味なんてほとんどない。

かといって、行き過ぎた科学の進歩に対する警鐘だったり、
生物の多様性だったりを、観る者に考えさせるような演出は一切なく、
ごく普通の密室スリラーでしかないので、
この不条理極まりない終わり方は、まったくもって救いようがない・・・・

宇宙空間の映像など、その出来映えは息を飲むほどだったので、
俳優陣の演技も含めて、完成度自体はかなり高く、
それ故に誠に残念な結果であります。これまたモッタイナイ。

オススメ度:20(よほどヒマなら止めないが、観るにしてもレンタルで充分)

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そんな折(ってどんな折??)、
奇しくも昨日(7/20日)から、『ライフ』の舞台ともなっている
ISS(国際宇宙ステーション)内のGoogle ストリートビューが公開された!

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天地左右、問答無用なのでちょっと酔うほどの臨場感。
今自分がISS内のどこにいるのかまではナビゲーションしてくれない
(Google Mapはテキサス州のジョンソン宇宙センターを表示している)
ので、迷路の中を彷徨ってしまうのが残念ではあるが、
それにしても、これには良くやったと賞賛せずにはいられない。

百聞は一見にしかず!って、ブロガーが言ったらお終いだが、
もうそう言わずにはいられない。
ブログなんて古くさいもの、もう止めてしまいたくなるほど、
コンテンツとしての破壊力がある。
ものすごい時代になったものだ。
  

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2017.07.21 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

ジョン・ウィック チャプター2

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毎度言うようで恐縮だが、ヒット作の続編は難しい。
特にこのテのまぐれ当たりの可能性も否めない作品の
2匹目のドジョウは難しい。と思う。
至近な例では『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』が
前作を大きく下回る残念な仕上がりになっていたことが思い出される。

愛する妻を失い、引退した伝説の殺し屋が、
その余生の中で、なんとか「生きること」とつなぎ止めてくれていた、
愛車と愛犬を失い、復讐に走り出すという、
完全無欠の復讐劇であったことが、前作の最大の魅力であった。
そこに、近ごろ少々落ち目な感じだったキアヌ・リーブスの “復活” も重なって、
話題性も重なり、前作は大ヒットとなったわけだ。

なので、前作ですっかり復讐を果たしてしまった男を
更に奮い立たせる “何か" がなければ、観ている方も納得がいかない。
漫画を例にとるのも失礼かも知れないが、
ドラゴンボールでも、ワン・ピースでも、現れる敵は前回の敵よりも
少なからずバージョンアップ、パワーアップしていないとならない。
ヒーローは常に、より窮地に立たされないとならない。楽勝はだめだ。
それがアクション映画の掟なのだ。

かといって、やり過ぎると一気に現実味を失ってしまうしで、
とにかくこのテの作品の続編というのは、その塩梅によっては、
当たり外れが大きく出てしまうわけだ。

その絶妙な塩梅を見つけ出すことが、決して容易ではないこともまた、
多く痛い目に遭ってきた映画好きほど良く分かっているので、
この続編を観るにあたって、すでに心配しかない。

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とはいえ、私はこうやって公開初日に観に行っているわけなので、
それなりに期待をしていたわけではある。
否、覚悟を決めていたわけである。

それは、主人公が繰り出す、例の超接近戦での殺人技の数々を駆使した
ジョン・ウィック独自と言っても過言ではない、
ど派手なアクションシーンには、決してハズレがないと思うからだ。

なぜ彼が裏社会で “生ける伝説” にまでなり得たのか?
それを「超人的」とかいうSFレベルの安易な説明で片付けずに、
観る者に “痛いほどの” 説得力を持って訴えかけてくる
ジョン・ウィックのアクションシーンは、それだけでも必見の出来映えだ。

というわけで、なぜ引退したはずのジョン・ウィックが、
またもや復帰しなければならなかったのか?
なぜ世界中の殺し屋から狙われるハメに陥ったのか?
とかいったストーリーや、細かい話は、ほとんどスッ飛ばして、
胸の空くようなアクションシーンだけを堪能しに劇場に足を運んでも、
充分満足して帰って来られる、近ごろ希有なアクション“中”作であります!

オススメ度:80



コレ的な作品で公開が楽しみなのは、
マッドマックス 怒りのデスロード』のシャーリーズ・セロン主演、
最強女スパイ ムービー『アトミック・ブロンド』。
こちらも超接近戦のスペシャリスト!!
10月20日(金)ロードショーです!
  

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2017.07.14 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

ツイン・ピークス The Return

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『ツイン・ピークス』は1990年から翌91年まで放送されたテレビドラマ。
あの手この手で新作ドラマでの視聴率争いを繰り広げてる当時のアメリカでも、
ツイン・ピークスはかなり奇抜な作品であった。

それもそのはず、製作総指揮は、かのデヴィット・リンチ。

映画監督がテレビドラマのメガホンを執ることじたい稀だったのに、
中でも一番テレビから縁遠いリンチが製作総指揮を務めると言うことで、
それだけでもかなりの話題になった作品だ。

何しろデヴィット・リンチはカルトムービーの第一人者だ。
スティーブン・スピルバーグや、ジョージ・ルーカスといった、
表舞台を真っ直ぐに征く監督たちを向こうに回して、
リンチはクローネンバーグと並び、キューブリックの後を受け継ぐ
(当時の)ニューエイジの旗手的存在であった。

そんな視聴率なんてブッチギリに無関係なところにいる人間に、
誰が言い出したのか、テレビドラマの監督をやらせるというのだから、
テレビ局のお偉いさん達も、かなり勇気の要ったことだったろう。
何より「リンチがよく引き受けたな」と、そちらの方に感心させられる。

しかして、そんな突飛な発想は強烈な化学反応を起こし、
8話限定のパイロット版は、とんでもない視聴率をたたき出す結果となる。
その後セカンドシーズンとして続きが製作されることとなった
ある意味、博打的な作品だとも言える。
もちろん、その大博打に勝って、日本も含めた世界中にその人気は広がり、
当時26歳だったへそ曲がり青年も夢中になって観ていたわけだ。

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そんなツイン・ピークスが、25年の時を経て、
7月22日からWOWOWで
新シリーズが放送されることになった。

こりゃタマラン。

そんなわけで、現在WOWOWでは旧作のテレビシリーズ全30話に加えて、
その前日譚となる劇場公開作品『ローラパーマー最期の7日間』まで
一挙放送中で、私も久しぶりにドハマリしているところだ。

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一応お復習いしておくと、
物語は、全裸のままビニールにくるまれ川岸に漂着した
ローラ・パーマーの死体が発見されるところからはじまる。
これは当時「世界一美しい死体」と評されたほどの名シーン。
事件の捜査のためにFBIのクーパー特別捜査官が
ワシントン州シアトルにほど近い田舎街ツインピークスにやって来る。

検視の結果、ローラはレイプされた挙げ句に殺されていた事が発覚し、
指の爪の間からは、文字の印刷された切れ端が見つかり、
愉快犯による計画的犯行であることがわかる。
ハイスクールの人気者であったローラ・パーマーが、なぜ殺されたのか。
“なぜ殺されなければならなかったのか?"
捜査が進むうちに、ローラの隠された闇の部分が次々と浮かび上がり、
それは同時に、穏やかで静かなはずだったツインピークスに潜む
闇をもさらけ出すことになる。

と、こう書くとどこにでもあるサスペンスなのだが、
さすがのデヴィット・リンチ先生はひと味もふた味も違う。

FBI捜査官が自分の夢で見たことを
捜査の証拠として採用することなどはまだ序の口で、
丸太と会話できる女性や、二重人格者の証言を重要視したりなんてことも
当たり前に行われる。
FBI捜査官のクーパーは、いわゆる “心霊捜査” を積極的に駆使して
犯人捜しを進めるわけだが、そうした一風変わった捜査手法によって
見つかった犯人は、殺されたローラの父、リーランド・パーマーであった・・・
厳密に言うと、真犯人は子供時代にリーランドに憑依した
悪霊のような存在「ボブ」。
ボブはローラと瓜二つの従姉妹であるマデリーンまでをもその毒牙にかけ
殺してしまうが、逮捕時にリーランドは死んでしまい(ボブに殺された?)、
憑依していたボブもいなくなってしまう・・・

と言った具合に、内容的には『X-ファイル』的な超常現象
(ちなみに、モルダー捜査官役のデイヴィッド・ドゥカブニーも出演してます。
 新シリーズにも登場するそうです)なのだが、
そんな超常現象がごく普通の出来事に見えてしまうほど、
ひと癖もふた癖もある登場人物と舞台設定が、
まさにデヴィッド・リンチの世界。

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冒頭から魅せられる美しいツインピークスの景色の中、
クーパー捜査官はいつも美味そうにコーヒーを嗜み、
ツインピークス保安官事務所の面々は、捜査会議中いつもドーナツを食べていたり、
ツインピークスという街の生活様式も独特でいて、とても魅力的だ。

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そして、高校生というにはセクシーすぎる美人揃いの登場人物たちに、
セックスにドラッグと、このドラマが扱う題材は、
当時としては、おおよそテレビドラマらしくない、
放送ガイドラインギリギリの際どい表現で、そんなデヴィット・リンチ独特の
美意識と世界観が随所に散りばめられている。

奇抜なストーリー展開のみならず、
そんなリンチの世界観を更に体験したい衝動にかられてしまう。
週一で1時間だけ魅せられるという、テレビドラマのフォーマットを巧みに利用した、
少々中毒性のある危険なドラマだと言える。

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さておき、私はまったく憶えていなかったのだが、
ローラパーマーが、最終回で「25年後に戻って来る」と、
予告していたらしい・・・

聞くところによると、当のデヴィット・リンチも、
そんなセリフのことなどまったく憶えていなかったのだそうだ。
これまたリンチらしいエピソードだが、
それを憶えていたファンやスタッフたちの後押しもあって、
今回、新シリーズが作られることになったのだそうだ。

いやはや、これは楽しみ。
STAR WARS』『BLADE RUNNER』と、私世代をターゲットにした続編が、
次々に作られているが、そんな波がテレビドラマにも飛び火した格好だ。

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この勢いで『F・R・I・E・N・D・S』の続編も作ってくんねーかな〜
  

テーマ:WOWOW/スカパーで観た映画の感想 - ジャンル:映画

2017.07.13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

ハクソー・リッジ

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第二次世界大戦下のアメリカ。
宗教的な思想、そして何より自身の信念に基づき、
決して銃を手にしない兵士ドズ。
兵器工場に勤めていた彼は、
「良心的兵役拒否者」として兵役を免除されていたが、
次々に戦地に向かう数多くの仲間たちを見送りながら、
愛国心に揺れ動き、そして、衛生兵として志願する。

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決して銃を持とうとしない訓練中の彼を、士官は除隊させようといじめ抜く。
そのいじめは連帯責任として同じ部隊の同僚にも及び、
そしてドズは仲間からもいじめに遭うが、
それでも除隊はおろか、銃も持とうとはしない。

最後は命令違反で軍法会議にかけられてしまい、
除隊か、監獄行きかの選択を迫られるが、
それでも意志を曲げずに、結局銃を持たないまま戦場にまで辿り着く。

それは、『ハクソー・リッジ』と呼ばれる
日本陸軍が陣取る、難攻不落の高地陣地であった・・・

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断崖絶壁という、戦車の進入できない地形障害を活かし、
張り巡らされた地下壕から次々に襲いかかる日本兵。
ばたばたと銃弾に倒れる仲間たち。
そんな究極的な地獄絵図の中で、銃を持たないドズは、一人、また一人と、
仲間を助け続けていく・・・


と言うお話。
これでもまだぜんぜんネタバレになっていないのでご安心ください。

何より驚いたのはこれが沖縄戦であったということ。
ハクソー・リッジとは米陸軍の呼称で、「前田高地」のことだ。
その絶壁の様がノコギリのようだったことからこの名が付けられたのだそう。

hacsowridge2.jpg

日本で上映されるのに、宣伝上、沖縄戦であったことに
一切触れないというのはいかがなものなのか?
諸々配慮しているのだとは思うが、史実を隠蔽したって、
そこに意味なんか生まれないと私は思う。
もし、史実に反するのであれば、そのことを正面切って話すべきだ。
上の画像は今作で日本兵役を演じたエキストラの方々のオフショット。
これを見て、清々しく思うのは私だけではあるまい。

というややこしい話はさておき、この映画は、

なぜドズは人を殺さないと誓ったのか?を描いた
「永遠の0」編、
陸軍訓練施設での厳しい訓練と、酷いいじめに耐え抜く
「愛と青春の旅立ち」編、
そして、ハクソーリッジでの凄惨な戦場を描いた「プライベートライアン」編
の三部構成でできている。

それほど語るべき内容の多い物語なので、
上映時間2時間19分でもぜんぜん足らないくらい。
そんなわけで、観終わった後で少々消化不良感が残る結果となった。

監督はメル・ギブソン。
決して悪い監督ではないのだが、せめてもう少し制作費をあげて欲しかった。
とはいえ、限られた時間と予算のなかでも、
敵国として登場する日本に対する敬意も忘れず描かれており、
その紳士的な仕事ぶりには敬服した。

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ただ、主演のアンドリュー・ガーフィールドの演技はかなり見応えあり。
サイレンス』の次の出演作も、殉教者の役というのは、
狙いか、偶然かはわからないが、確固たる意志と行動を採れる若者という
繊細でいて大胆な役柄に、その非凡な才能を見せておりました。

オススメ度:60。
  

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2017.07.07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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埼玉のへそ曲がり

Author:埼玉のへそ曲がり
オートバイと
スノーボード。
近ごろ波乗り。

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