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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

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ゴジラは私が物心ついたときからのスターだ。
しかも、ウルトラマンや仮面ライダーなどの特撮スターの中でも、
映画でしか観られない、とっておきのムービースターだ。
そんな子供心に大きな影響を受けたコンテンツですので、
余計に大人になってからの鑑賞には、少なくない戸惑いがあったことも事実。

海外でも評価され、巨大生物が街を襲うパニック超大作としてリブート
されるようにまでなり、少しは照れ隠しもできるようになってきたと思ったら、
いよいよハリウッド映画でも、複数の怪獣が一堂に会するという
かなり特殊なアイデアまでもが採用されるまでになった。

長生きしているとこういう映画も観ることができるんですね。
と、イヤミでも悪口でもなく、素直にそう思えた映画でありました。

というくらい、どう考えても賛否のある作品であることは、
作り手も充分に理解したうえでやっていることだと思う。
つまり確信犯。

ピカチュウを実写化するような、
子供向けという免罪符も期待しているのかとも思ったが、
かなり真剣に大人向きに作っているように見受けられる。
とにかく恥も外聞もかなぐり捨てて、一気呵成に突っ走っている。
ここまで潔く突き抜けられると、観ているこちらもグウの音すら出ない。

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内容はその題名のまんま『怪獣大戦争』だ。
公開は私の生まれた1965年だが、私が観たのは
71年に『キングギドラ対ゴジラ』に改題されて公開された方。
それと今作には何の関係もないのだが、
『キング・オブ・モンスター』という『怪獣大戦争』よりの題名ではありますが、
実質的には『キングギドラ対ゴジラ』だったことは何か時空を超えた縁を感じる。

そういった意味でも、
我々ゴジラ世代にはすでにネタバレでも何でもなく、

1:ゴジラは人類の味方
2:キングギドラは宇宙怪獣
3:モスラはゴジラの仲間
4:一度やられても地球エネルギーを補給してからのリベンジマッチ

という、とても基本的な『ゴジラルール』を、ハリウッド製作陣も
キッチリ守ってくれているところがなんだかちょっとウレシイ。
しかも、モスラは双子の姉妹によって発見されていたりもする。
(ザ・ピーナッツの唄ったあの名曲も、
 インストゥルメンタルではありますが、しっかりとカバーされています)

というように、古典を制作者の自意識によって「自分色に染め直す」ことや、
地域性(欧米圏)の価値基準に合わせて「物語を書き直す」ことは今では御法度。
マーベルや、DCなどのアメコミ作品や、
ゴースト・イン・ザ・シェル』のように、
原作へのリスペクトの顕し方がこのテの偉大なコンテンツのリブートには、
とても大切なのであろうことが痛いほど良く分かる。

ヲタクという価値感は、多様化していく世界や文化を、
それぞれに理解しあわせようとし向けているというわけだ。
紛争地域にもヲタクが増えたら戦争もなくなるかもしれない。

というわけで、日本人であろうとなかろうと、
これもまたゴジラを愛する者に向けた作品であるわけで、
歴代作品へのリスペクトを含め、ゴジラファンであれば2割増しで楽しめる。

ゴジラに人類が破壊し続ける地球環境を補正する役割を与えたり、
壊れゆく地球への思いから、地中深くに眠る怪獣を意図的に呼び醒まして
地球環境のリセットを謀ろうと企む闇の組織の暗躍だったり、
もちろん、一見さんに向けた諸々のチューニングが施されてはいるのですが、
そういった環境破壊阻止のための悪意という構図はすでに見飽きた題材なので、
たとえ一見さんであっても新しさは微塵も感じられないだろう。
そういう意味でもゴジラファン専用作品。

脚本の話はさておき、SF娯楽超大作としてCGを含めた映像作品としても評価すると、
残念ながらまだまだ「特撮」を超えたとは言いがたい。
今回もIMAX 3D(字幕)版を観たのですが、
前作の『ゴジラ(2014)』と同様に、
5年経った今でも、IMAXをしてゴジラに臨場感を与えることはできていない。

そんなこともあり、
いよいよ『シン・ゴジラ』の価値が高止まりを見せているように思う。
俊敏な動きで暴れることもなく、淡々と首都圏を歩いて通過するだけのゴジラに、
ただただ翻弄されるだけの国家と住民の姿を捉え続けた“だけ”。
今作とは比べ物にならないくらい低予算で作られた
チャチな特撮映画でありましたが、
だからこそ練りに練られた脚本と、地べたを生きる人間が
巨大生物を見上げる既視感さえ感じさせるカメラワークが、
絶妙な効果を出しまくっていたと、今さらながらに再評価する次第であります。

ただ、言ったように、ゴジラ世代、否、『東宝チャンピオンまつり』世代にとっては、
人間サイズの臨場感なんてまあまあ無視した、
あくまでも巨大生物の棲む世界を巨大生物の視点で描くという子供じみた作風に、
つい懐かしさがこみ上げてしまう、タイムマシンのような作品であることは確かだ。
小学校時代に体験したあのワクワク感を思い出したいなら、
ぜひ劇場に足を運んでもらいたい。
(50代限定:オススメ度90)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
すっかり茨城ローカル化している私が、
久〜〜しぶりに訪れた千葉南エリアでのサーフィンのお話です。
お楽しみに。
  

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2019.06.14 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

存在のない子どもたち と FORD v FERRARI (予告)

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この予告編を観たあとで
私に加えられる言葉は見当たりません。

『存在のない子どもたち』
7月より全国ロードショーです。

観ましたらまたこちらでも報告させていただきますが、
観る前からみなさんにその存在をお伝えしたいと思った
初めての映画です。

ついでにこちらも。

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11月全米公開予定(日本公開未定)。
別の意味でたまらんス。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
よせばいいのに、部下の結婚式に参列してから海に向かった
サーフ&キャンプ強行軍のお話です。お楽しみに。

  

テーマ:映画情報 - ジャンル:映画

2019.06.07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

万引き家族

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ハタ目には、貧乏しながらも仲睦まじく暮らす普通の家族に見える“集団”。
しかして、題名にもある通り、その集団は万引きをしながら生活をしていた。
万引き行為は大人だけでなく、子供にまでさせており、
その集団、もしくはそこに含まれる大人が常識の外で生きる者たちであることを、
観る者に冒頭のシーンから印象づける。

そして、彼らが暮らす家は「おばあちゃん」の家で、
おばあちゃんが年金を受給するためには
1人暮らしであることが条件であるため、
市役所の年金課の人間と思われる定期的な視察時には、
子供を含めて姿を隠している様子も描かれる。

あえて“集団”と呼んだのは、
家族のテイは保ってはいても、彼らが本当の家族でないことは、
わざわざ説明されなくても十分感じ取る事ができるからだ。

日雇いの土木作業員の「父親」。
クリーニング屋でパートをする「母親」。
風俗店で働く「母親の妹」。
不登校の「息子」。

なぜ無関係な人々が、一つ屋根の下で肩を寄せ合って暮らしているのか?
そんなワケアリな彼らの素性は、映画の最後まで明かされないのだが、
物語の途中から、彼らが集まった経緯のことはどうでもよくなってくる。

ある日、スーパーでいつものように食料や日用品を万引きした帰り道に
家庭内暴力を受ける少女を見かけた父親は、その子を連れ帰ってしまう。
翌日、少女がいた場所に連れ戻そうとするが、
実の親である夫婦が「私だって産みたくて産んだんじゃないわよ!」と
口論する様子を見て、少女を返さずに一緒に暮らすことを決意する。

それはもちろん世間から見れば誘拐ということになるのだが、
彼らの視点から見れば、それは“保護”に等しい行為なのだ。

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そんな法律や倫理感や社会性の外側に暮らす
家族のテイを保った6人の“集団”は、
いつ終わるとも知れない、タイトロープの上を歩くような、
しかして、とても幸せそうに見える、エッジィでいて普遍的な生活を続けていく。

「自分で生まなきゃ家族になれないの?」

そもそも家族とは何か?
絆とは何か?

なぜ人は一人では生きていけないのか?
なぜ人は家族という群れを形成するのか?

家族とは、社会とは何か?
死ぬほど苦しんで、悩んで、逃げて、
だからこそ他人の痛みが分かるし、
だからこそ痛みを分かってもらえる人間を見極めることができる。

「遺棄したんじゃない。拾ったんだ。」

誰かが捨てた絆を拾って、それを集めて家族の形をした別の絆に組み替える。
奇跡的にそういう“集団”に出会えたことへの感謝と、
それが決して永遠には続かないことも理解している儚さの中で、
幸せな一日一日を噛みしめるように生きる“集団”の様子が切なく映ります。

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樹木希林をはじめとした、この“集団”を演じる
一人ひとりの演技を超えた存在感には、ひとこと「圧倒される」。
中でも、自身の女としての純粋な欲望と、
果たすべき責任があることで得られる幸福感という、
人間のもつ両極端の特性を一つの人格として見事に表現しきった
安藤サクラさんの演技には、まさに感服いたしました。

真の家族愛を描いた、とても素晴らしい映画です。
(オススメ度:80)

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ さて来週月曜日の土と雪と:は _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
とても息の長いシーズンとなった、
今年のスノーシーズンをふり返ってみようと思います。
お楽しみに。

テーマ:WOWOW/スカパーで観た映画の感想 - ジャンル:映画

2019.05.31 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

犬ヶ島

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これはいわゆるクレイアニメーション作品。
『ピングー』とか、ご存じですかね?
粘土細工の人形を、ひとコマひとコマ撮影して作るという
考えただけで背筋の凍る根気と、永遠と言ってもいい時間をかけて
作り出されたその世界は、銀河系の彼方でも、
ブラックホールでも、屍になった海賊でも映像化できる
今の世の中にあっても、否、だからこそ、かなり奇抜だし魅力的だ。

特に今作は、環境破壊や動物虐待という重いテーマを
粘土細工の人形で表現しており、それはまるで

「私は、決して物事を真っ直ぐに見たりはしません」

と胸を張って言い切っているようなものなので、
そのへその曲がり方はハッキリと私のツボだ。

悠々自適に生きてきた犬たちと、
運命的に犬を忌み嫌う家系に生まれた人間との抗争をベースに、
支配者となった犬嫌いの陰謀によって愛犬を廃棄処分された主人公が
愛犬を遺棄されたゴミの島へ救出に行向かう。
そんなたった一人の愛犬への強い思いが、やがて人々の気持ちを動かし、
大きなウネリとなって支配者に向かっていく。という物語。

なぜに舞台が近未来の日本なのか?に関しては、
観終わっても特に示唆はない。
かと言って、アチコチで言われているような
ウェス・アンダーソン監督の日本愛みたいなものもあまり感じられず、
日本への理解はそこそこいい加減で底が浅いと言わざるを得ない。

つまり、「この荒唐無稽で奇抜なお話が東洋の島国だったら面白そう」
といった程度の選択だったと思われるし、
実際その目論見は当たっていると思う。

そんなある意味凝った悪いジョークみたいな作品に
ジェフ・ゴールドブラム、ビルマーレイ、エドワード・ノートン、
スカーレット・ヨハンソン、渡辺謙、オノ・ヨーコといった
(日本からも松田龍平など)
大御所俳優を声優に配置するというナンセンスが
とてつもなく高いセンスを生み出している。

そんなグローバルな色眼鏡で見渡した極東の島国のいびつなところを
精神世界として整頓して見せたのがこの『犬ヶ島』だと思う。

なので、これが日本だと思って見るよりも、
どこか遠い異国で起こった出来事だと思って観た方が
きっと今作の核心を観ることができると思う。

そうして観てみれば、コマ撮りでなければ描けないキャラクターの心模様や
細かい葛藤が浮き彫りになり、この奇抜な世界にもすんなり入り込めると思うし、
意外や意外、綿密に織り込まれた脚本による
繊細な物語であることが理解できて楽しめるだろう。

アニメ作品を毛嫌いしている人ほど、観てみると驚く作品だと思います。
(オススメ度:70)

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2019.05.24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

エンジェル 見えない恋人

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私はこう見えて(実際どう言えているのかは知らんが)
ラブストーリーものの映画も好きだ。
こちらでも『アバウトタイム』や
her〜世界でひとつの彼女』などを紹介してきたが、
洋画に限らず『君の膵臓を食べたい』とか、
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』など、ベタな作品も観ていたりする。

ただ、お気づきかも知れないが、そこにスパイスというか、
物語にある程度のヒネリがないと観たいとは思わない。
ただの横恋慕とか三角関係とか、青っちょろいイチャイチャに興味はない。

この『エンジェル 見えない恋人』は
透明人間として産まれた少年と、盲目の少女の恋愛を描いた作品。

盲目だからこそ彼女は彼の存在を感じ取ることができた。
彼女が盲目だからこそ彼は心を開くことができた。

恋愛の基準は見た目や、まして身体に障害があるかないかじゃない。
という心の純粋さを描いた作品としては『美女と野獣』があるが、
似たようなファンタジーではあるものの、こちらはもう少し大人テイスト。
ちょっとスパイシー、というか辛辣。

かといって半漁人との恋愛を描いた『シェイプ・オブ・ウォーター』のような
ヒネクレ方はしておらず、あくまでも絵本的な世界観。
こういうヒネリ方は好きだ。アイデアの勝利。

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もちろん、透明人間であることを隠したままで
そういった偏見を覆すことはできない。
少女から大人の女性へ成長していく中で、
見えなかった目が見えるようになる治療法が見つかり、
彼が透明人間であることを知るところからがこの物語の本番。

彼女は彼を受け入れられるのか?
彼は逃げずに現実に立ち向かえるのか?
果たしてこの儚い恋愛は成就するのか?それとも・・・

ちょっと気になるのがこの物語が男性目線で描かれているところ。
恋愛の価値基準が男性的なのだ。
もっと女性的な見地で願望や打算、夢や妥協を描いた方が
もっと面白くなったように思うし、そういった視点を見てみたかった。

それと、不必要に思えるほどヌードシーンが多いので、
ほんわかしたこの題名とは違って、
お子さんと一緒に観る場合には注意が必要です。

子供の話なのに演出はそこそこ大人風味。
そういう意味でも一風変わった趣向で撮られた
大人のためのファンタジー作品になっております。
(オススメ度:60)

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2019.05.17 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

アベンジャーズ/エンドゲーム

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公開初週に過去最高となる12億ドルの興収をあげ、
公開2週目の週末の世界興収は推計で4億2800万ドル。
そしてついに公開から11日目で20億ドルを史上最速で突破。
また、興収記録としても歴代2位に入り、もはや歴代1位の
「アバター」の27億8800万ドルを抜くかどうかに注目が移っている
メガ中のメガヒットを飛ばしている『アベンジャーズ/エンドゲーム』。

アベンジャーズ/インフィニティウォー』の続編にして、
10年間22作品に及ぶシリーズの完結編ともなっている。
(実質的には23作品目となる
 この夏公開の『スパイダーマン・ファーフロムホーム』がシリーズの最終作品で、
 最新の予告編ではエンドゲームの重大なネタバレが含まれているので
 閲覧にはご注意いただきたい)

『エンドゲーム』という題名すら寸前まで伏せられていたほど
徹底した秘密主義が貫かれ、
俳優陣からのネタバレを防ぐために
シナリオの全体を知らされていたのはごく限られた人間のみ、
そのためグリーンバックの背景すら分からないセットで、
たった一人で数人と絡む芝居をするなんてあたりまえだったらしい。
しかも与えられたのは自分の台詞だけだったらしく、
それでよく物語が繋がる演技ができたなと感心させられる。

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さておき、その甲斐あって事前情報はほとんどなし。
前作インフィニティウォーにて最強のヴィランであるサノスに
宇宙の半分の人類が消されてしまったあとの世界から
いかにして彼らがアベンジ(復讐)するのか、先入観なしに観ることができた。

というのは半分以上嘘で、

隠されれば隠されるほど知りたくなるのが人情というもの。
待たされている間に世界中のファンの間で交わされていた
仮説や想像を閲覧しまくってしまった。
しかも悪いことにそこで噂されていた通りの展開になってしまっており、
残念というか何というか、結論を申し上げれば驚くようなことはあまりなかった。

つまり、展開自体はシロウトが容易に想像できるようなものでありました。

一度消えた(死んだ)人々を蘇らせる方法と想像して、
一番に出てくるそのまんまの方法だ。
しかも『アントマン アンド ワスプ』で
すでにそのあたりの伏線が張られてしまっていて、
おおよそのファンがその方法を想像していたのだが、
「まさかそのまんまってことはないハズ・・・」と、誰しもが思っていた
その通りの展開になってしまい、もはや驚きを通り越して悲しくなってしまった。

やはり、「その手」は禁じ手だと私は思う。
それを使い出したら勝つまで戦いを繰り返すコトが可能になってしまい、
すべての犠牲を必要としなくなるヒーロー無用の世界になってしまう。
ヒーロー映画として自分で自分の首を絞めるような行為だ。

もちろん、
物語上はそこにある程度の物理的な限界という制約を設けてはいるのだが、
シロウトでも思いつくような、すでに手垢のつきまくった、
埃をかぶった空想科学でしかないだけに説得力は少ない。

「人類の半数が死んでしまう」という、
そのあとにたとえ悪役をやっつけても何の解決にもならないという
衝撃の結末からの起死回生を、一年以上楽しみにしてきた結果がこれだと思うと、
正直かなり拍子抜けした。
期待度が高すぎると、秘密にし過ぎるのはかえって良くないのですね。

とはいえ、10年見守ってきたファンへのご褒美、
ファン感謝祭だと捉えれば、これ以上によく出来た作品は
スターウォ−ズですら叶わなかった。そういう意味では紛れもない傑作だと思う。
感謝祭だと考えれば、
アベンジャーズの一作目に登場した主要キャラたちを主軸に置く措置も理解できる。

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ただ、それによって、最後にアベンジャーズに入隊した期待の大型新人
『キャプテン・マーベル』の扱いがまあまあ雑になってしまったことが
個人的には残念でありましたが、そもそもこれだけの数のヒーローを
満遍なく活躍させようということ自体が無謀なのだから致し方ない。

やはり、良い意味でも悪い意味でも巨費を投じて作られたアメ・コミ映画なのだ。
あまりの期待度の高さが「考えすぎは禁物」という
アメ・コミ映画の視聴上の基本的なマナーを、私に忘れさせてしまっていたようだ。

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というわけで、今作は22作品すべて見てきた人だけが味わうことのできる、
しかもこの荒唐無稽な世界観を純粋に楽しんで来られた人だけに
楽しむことが許されたとても特権的な作品とも言える。

「観る前にこれだけは押さえておけ」的な
アベンジャーズ初心者へのレクチャーも見かけたが、
ハッキリ言って付け焼き刃では本来今作が持っているポテンシャルの
50%も楽しめないと思う。

それでもこれだけヒットしているのだから、
50%の理解でも楽しめる作品なのかも知れないので、
これ以上ツウぶってアレコレ無粋なことを言うのは止しておくが、
やる気があったら『アイアンマン』から全作観ておくことをオススメする。

公開日とその翌日の二日続けて観に行った私が言うのだから間違いない。
(オススメ度:ファンなら100。そうでなければ50)

テーマ:アベンジャーズ - ジャンル:映画

2019.05.10 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

ファントム・スレッド

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男は1950年代のロンドンのオートクチュールの中心的存在、
レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)。

その天才的なセンスは圧倒的で、高圧的な彼の存在を際立たせてもいた。
そして、時計のように正確で、荘厳なルーティーンの中でのみ閃きを得る
彼の独自のスタイルは、その生活の中に一切の妥協と不穏を許さない。

「弱い犬ほど良く吠える」とも言うが、
本当に強い人間は周りに対して高圧的な態度を取ったりはしない。
レイノルズもまた、その完璧主義の裏側に
母性の救いを必要とする弱い男でもあった。

自身の生活のリズムを脅かす他者の介入を許さないレイノルズは、
独身主義を貫き、彼のマネジメントを務める独身の姉シリルと、
亡くなった母親の亡霊に自身の安定を求めていたが、
それでもその時々のガールフレンドを自身の家に住まわせてもいた。

朝食中にデザイン画を書き起こすレイノルズは、
ガールフレンドが朝食中に薦めてきたパンが気に入らず
姉のシリルに彼女との生活の終わりを告げさせる。

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そんなある日、ひとつのドレスを作り終え、
精神的にも疲れ果てたレイノルズは休養を取るため別荘に向かう。
食事に向かったホテルのレストランで、
ウェイトレスを務める女性アルマに一目で惹かれたレイノルズは、
次のガールフレンドとしてアルマを自宅に住まわせることにする。

それでも同じように厳粛なルーティーンに身を置くレイノルズは、
やはりアルマに対しても厳しい態度で当たっていく。

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そうしてレイノルズはアルマもまた自身に都合の良い存在に
仕立て上げようとするのだが、
アルマはそれまでのガールフレンドたちとは違っていた・・・


「ファントム・スレッド」とは直訳すれば
「亡霊の糸」、「幻の糸」といったところか。
その頃の針子さんたちの過酷な肉体労働を、
糸で操られる人形になぞらえた当時の隠語なのだそうだ。

恋愛など、人間関係を「糸」でつながれたように表現することはよくあるが、
ここで使われるファントム・スレッドもまた、
糸でつながれた(もつれた)男と女の駆け引きを意味している。
冒頭これでもかと畳みかけるように見せつけてくるレイノルズの高慢さと、
それを尊敬しながらも抗うアルマという女性との駆け引きは、
アルマの“ものすごい方法”によって終戦を迎える。

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自分勝手な男と、それを認め尊敬しながらも、
それに屈することのない女の陣取り争いには、
観る者に破局というゴールしかなさそうに見せておいて、
実に平和的な決着(その方法はかなり暴力的ではあるが)を見せる。

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主演は三度のアカデミー主演男優賞に輝く名優ダニエル・デイ=ルイス。
『リンカーン』で演技を究めてしまった彼が、
その先の役作りに困難を感じ引退を発表したのだが、今作は彼の引退作。

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でも、他人の感情になど一切の関心もない
高慢で高圧的な男を演じた彼の存在感はすでに圧倒的で、
今作でも神経質で繊細な暴君を生み出していた。
とにかく観ている方も嫌になるくらい魅力的で居丈高な人物像は、
彼なしでは生み出せなかったであろう。

「完璧なルールを守る」という、他人に分からせやすい言い訳に
自身の弱さを隠そうとする男は多い。
ルールを破る者には更に高圧的で攻撃的な態度を浴びせかけ、
更に自分を厚いメッキの下に覆い隠そうとする。

そんなかなり“痛い”男が、狡猾さの欠片もない、
純真でいて野心的な愛情をもつ女性に屈していく様はまさに必見です。

女は与えながら奪っていく。
最後に生き残るのは、やはり女性なのですね。
(オススメ度:70)

テーマ:Amazonプライムビデオ - ジャンル:映画

2019.04.26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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