富士山チャレンジ【後編】

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11時45分:標高3,400m
スプリット・ボードの私とONさんは、
大事を取って3,000m付近からアイゼンに履き替える。

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痙りはじめた左足だが、IK隊長にもらったタブレットのおかげか、
そのあと症状は出なくなった。飲んですぐ効くなんて、すごい即効性だ。
(ちなみにこれで「つらん」と読むらしい。ベタだが分かりやすい)
サプリメントの大切さを身をもって知る。
もちろん下山してすぐに買い求めた。

さておき、実はONさん、
仕事の関係で前日は1時間しか寝ていない・・・
口には出さないが、かなりキツかったはずだ。
それなのに前を歩いて足場を作りながら、
「あとは何も考えずに一歩一歩足を前に出していれば着いちゃうから」と、
私のペースに付き合ってくれた。こちらの副隊長も
ガイド並(もしくはそれ以上)のホスピタリティの高さを誇っている。
否、フォースの強さを持っている。

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富士吉田口登山道が近づいてきた。
上の画像に見えるのは8合目の山小屋。下は9合目の鳥居。
ちなみに、この二枚の画像の間には1時間が経過している・・・
いつまで経っても景色が変わらん。

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12時45分:標高3,600m
このあたりまで来ると、滑り始める準備などほぼ不可能になるので、
「もう登るしかない」と、いっそハラが決まる。
あまり上を見ないように心がけるが、やはり、ついつい見てしまう。
眼下の景色と同様に、頂上も一向に近づいては来ない・・・
何時間登っても、頂上の山小屋の見た目のサイズは変わらないままそこにある。
かなり残酷な目の錯覚だ。

出発してからすでに7時間が経過しようとしている。
もはや、自分が限界なのかどうかさえ分からない。
かといって、無我夢中になれるわけでもなく、
冷静に苦しさと向き合わされる、苦行と言っていい修行系。
そんな正念場が5分おきに訪れる。

ちなみに、アイゼンに履き替えることなく、
シールのままスタスタと登り詰めてしまったIK隊長は、
この時すでに登頂を果たしていて、
山頂で1時間以上もの間、我々を待っていてくれた。
連休中も3,000m級の山々を連日登っていたらしく、それもあって絶好調の様子。
本人曰く「今日はやけに身体が軽いわ〜〜〜」。

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人生ゲームのようにマスを入れ替えられるルールがあれば。と、真剣に願う。
というのも、IK隊長は、この翌日曜日も吉田口から登頂を果たした。
二日続けて富士山詰めるって、どんだけ〜〜〜〜〜!!
それだけ体力が有り余ってたら、
1時間くらい登りを交代してもらってもバチは当たらんだろう。とか、
もはや、それくらいのことしか頭に浮かんでこない。

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13時17分:標高3,710m 登頂!
須走口から7時間半、標高差1,800mにある吉田・須走口山頂に到着。
のど元過ぎればなんとやら。
辛かったことはさっさと忘れて、現金に達成感に酔いしれてみる。
成せば成る。成さねば成らぬ、何事も。

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まさか登頂できるとは思いもよらなかった。
おかしな言い方だが、絶対に途中で諦める自信があった。
特に最後の部分は、後から考えればたったの30分の出来事だったのだが、
「もう二度と来るかコンチクショー!」、
「これが最後。これが最後・・・」と、呪文のように唱えつづけ、
まるで永遠のように感じられた時間を過ごした。

「信じられない」なんて、人生で何度言う機会があるだろう。
流石は日本一の山。とんでもない達成感だ。

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30分ほど休憩したら、サッサと気持ちを切り換えて滑走準備開始。
ドロップポイントへの移動がてら、
今までテレビか写真でしか見たことのなかった火口を見渡す。
もちろんお釜も滑ることができる。
ボトムからは1時間程度の登り返しとのこと。

正面に見えているのが剣が峰。最高地点3,775.6mだ。
吉田・須走口頂上から剣が峰まで、
お鉢をどちら周りしても50分程度かかるらしい。
お釜の中を滑る方々も見えたが、剣が峰も、お釜も、
この際1mmも羨ましくないし、まったく未練もない。
ご自由にどうぞ。私はサッサと下山させていただきます。

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お鉢を南側に10分ほど歩いて、
登ってきたラインより、御殿場口寄りの面を滑ることにした。

ここは須走口と、御殿場口の中間にある『不浄流し』と呼ばれる滑降ライン。
裾野の広い富士山の場合、真っ直ぐに降りれば降りるほど、
放射状に登山道からは遠ざかってしまう。
なので、須走、御殿場と、どちらに滑り込むのもややこしくなるため、
めったに落とさないラインなのだそうだ。
風向き、日射の影響を考えた隊長の決断でこちらに決定。
(本当はもう一本手前の斜面を狙っていたのだが、間違えた)

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今回、「富士山に登ってもいいかな」と思えた理由の一つに、
MAXFORCE Splitの存在があったことは否定できない。
道具が与えてくれる「自信」の大切さを痛感する。
買い物って大切だ。

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14時23分。IK隊長ドロップイン!!!!!

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続いてON副隊長ドロップ!!!!

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最後に私がドロップ!
雪面はちょっと深めのシャウダー。
ザラメが深すぎてエッジが噛みづらいので、荷重がすっぽ抜ける。
2ターン様子を見て、行けると踏んだ3ターン目に、
大きく回しすぎて一瞬尻餅をついたが、
そこからは倒し込めるギリギリでターンを繋げる。

それでもこの巨大な斜面の100分の1も横幅を使っていない。
本当なら倍以上のターン弧でもってハイスピードターンに持ち込みたいのだが、
その荷重を支えられるような雪ではもはやない。
この広い斜面がモッタイナイ。

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ほんと現金なもので、さっきまでのヘナチョコな自分は何処へ??
とうに限界は超したものとばかり思っていたが、
案外「滑りは別腹」なのだと思い至る。

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ところで、標高3,700mの景色とは、一体どんなものかと思っていたが、
少々モヤがかかっていることもあって、期待していたほどでもない。
空気が澄んで、遠くまで見渡せる真冬ならば、眺めも変わってくるのだろうが、
「スゴすぎてかえって普通」と言うのが正直な感想。
IK隊長曰く、「富士山は、登るより、眺める方が楽しい山。」
較べるようなものでもないが、個人的には立山の景観の方が何倍も壮観だと思う。

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なんて、言ってはみても、ここはやっぱり日本一の山だ。
眺めはさておき、滑れども滑れども斜面が終わらない。
登りの時に感じた目の錯覚はそのまま下りでも当てはまって、
どれだけ滑っても、先行したIK隊長が近づいてこない。
しまいには膝とモモが乳酸でパンパンに張ってくる。

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最後に、元の登山道に向かってトラバースを開始する。

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しかして、すでに大きく目測を誤っていたようで、
3箇所ほど土の上を横移動しても、まだ登ってきた雪渓に辿り着かず。
最後は雪の上が石ころだらけになって滑走終了。
ここからはまた歩くのみ。

ちなみに、帰ってから確認したら、滑走面はすでに傷だらけだった。
まあ、来季までにチューンナップに出すつもりだったので、
良いっちゃあ良いのだが、富士山には、もしあるのであれば、
傷付いても気にならないセカンドボードを持って来た方が良さそうだ。

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立山の浄土平を「月面みたいだ」と言ったが訂正する。月面はこっちだ。
登りの時は富士山しか視界に入らないが、下りだと、
疲れがピークであることも重なって、荒涼とした風景しか目に入ってこない。

さておき、「下りだし少しはラクに降りられるだろう」という皮算用は、
ここに来てあっさりと覆された・・・

ご覧のように、ここは着いた足許から崩れるような、土の多い砂利道だ。
そこに拳大の溶岩石かゴロゴロと転がっていて、
一歩一歩慎重に足を着ける必要がある。そして、
前傾のつけられたスノーボード・ブーツだと、膝を伸ばしきれないので、
軽い中腰で歩くことになり、太ももへの負担がすごい。
スキーのハードブーツもキツいだろうが、AT系のブーツなら、
足首が解放できるので少しは楽になるように思える。
隣の芝生は青く見えるってだけかもしれないが。

ちなみにスキーヤーのIK隊長は、土の上はスキーブーツも担いで、
トレッキングシューズで歩いていた。

そんなわけで、最初の1時間で苦しんだ登りの方が、いっそ数倍ラクだった。
疲れ切った下半身に、この仕打ちはあまりにムゴい。
最後は靴擦れまで起こしてしまい、文字通りの満身創痍で下山した。


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17時30分:須走口駐車場帰着

下山してすでに一週間が経とうとしているが、
しこりのような筋肉痛がまだ残っている。
なんともスゴイ経験をしたものだと、改めて思う。
苦しかったことと、だからこその達成感という、
両極端な記憶しか残っていない。

富士という山は、滑るためだけに行く場所ではない。
果たされた苦労が滑り応えで報われる山では決してない。
滑るべき斜面、そのために登るべき山は、他にもっとたくさんある。
残念だが、それだけは確かだ。

少なくとも私にとっての富士山は、
登頂しなければ、自分の中に何も残らない山だと思った。
でも、もし登頂できれば、その達成感はそれだけでかなりのものとなる。
やはりここは特別な山だ。
登頂するためだけにある山が存在することを、この日初めて知った。

たぶん、山と人間には何か特別な “繋がり” がある。
山に登る事は、現代人にとって余暇にする遊びでしかないが、
きっと山に登ることは、天界に一番近い場所へ行こうとする、
人間としての根源的で、遺伝子レベルの理由があるのだと
「日本一」の山に登って感じた。

もちろんその理由が何であるのかは、私には分からない。
山岳信仰を含めた神聖な感覚なのかも知れないし、
単に「馬鹿と煙は高い所にのぼる」というレベルの話かもしれない。

それを今一度確認したくなる自分が発症してしまいそうで、
そっちの方が怖い。

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結果、きっちり12時間行動。
私のペースに合わせたせいで、
お二人には2時間以上も余計に使わせてしまったことになる。
いつにも増して、IKさんと、ONさんにはお世話になった。
(三人のウェアの色が信号機のようなのも、きっと何かの縁だろう。
 私がイケイケの「青」ってところがウケますが・・・)

この二人とでなければ、途中で諦めて引き返していたことはまず間違いない。
お二人にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。


さて、これでやっと2016-17シーズンを締めくくることができる。
燃え尽き症候群になりそうで怖いほど、
今シーズンも、私にとって心より誇りに思えるシーズンになりました。
今シーズンの振り返りは、また改めてしたいと思うが、
まずは、怪我もなく、無事に滑り切れたことに感謝をしたい。
  

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2017.05.30 | コメント(4) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

富士山チャレンジ【前編】

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富士山は、なんと言っても日本一の山だ。
正直、そんな山を登るなんて畏れ多いこと、考えたこともなかった。
正確に言うと「登りたい」なんて思うはずもなかった。
実際、生まれてこの方、富士山は眺めるだけで、
クルマで気軽に行けてしまう五合目にすら行ったことがない。

軽はずみに行っていい場所でないことは、すでに疑いようのない事実で、
コンビニにでも行くように、気軽に富士山に行ってしまう輩と私の間には、
標高3,700mほどの壁があることも良く解っている。

とはいえ、興味がないと言ったら嘘になる。

そもそも「日本一」とはどういう場所なのか。
ただの言葉なのか、それとも、
その後の人生に影響を与えるような、明らかに次元の変わる場所なのか。

今までもそうだったように、
何でもやってみなけりゃ、その本当のところは解らない。
(この歳になると、まあまあ正確に予想はたつが、それにしても・・・)

そしてもちろん、そのチャンスを掴むための時間が、
52歳の私にあまり多くは残されていないことも、ヒシヒシと感じている。
それは、体力以上に精神的な厳しさの方を感じている。
人は歳を重ねるごとに子供に還ると言うけれど、
叱りつけてまで引っ張り上げてくれる人間はいないのに、
決裁権を持っている「子供」ほど、挑戦に不向きであるのは間違いない。

気力、体力、天候、そして何より信頼できる仲間が揃ったら、
「もう躊躇してはいけない」と、私に残った最後の「大人」が叫んでいる。

というわけで、IK隊長が富士山に行かれるという日に
同行させてもらうことにした。
そして、先日の立山でそんな話をしていたら、
なんと、ONさんまで付き合ってくれることになった!
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私にとってIK隊長とONさんの二人は、はっきり言って、
クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービのような存在だ。
May the Force be with you.

素直にガイドツアーに参加すべきなのだろうが、
まったく自信の持てない私の場合、
安くない金額を払って来た方々の足を引っぱる真似だけはしたくないと、
そちらの方が気になって仕方がなくなる。
そういう精神状態で登るのが、何にせよ一番良くないことは明らかだ。

そんな、自分一人では来ることさえ決められない私とは違って、
お二人ともに「はじめての富士山はひとりでフラッと来た」とか、
事もなげに言い放つ。やはりジェダイ・マスター。格が違う。
間違いなくお二人にも迷惑をかけるだろうが、
この二人なら、きっと私を新しい次元にまで押し上げてくれるだろう。

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立山では軽い高山病に悩まされたので、
今回は標高約2,000mにある須走登山口駐車場で車泊して高度順応を図る。
慣れない車泊でグッスリというわけにはいかなかったが、
途切れ途切れでも、なんとか6時間横になって、4時半に勝手に目が醒めた。
美しい朝焼け。予報通りの晴天だ。

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富士山には真北に位置する「富士吉田口(標高2,305m)」から時計回りに
「須走口(標高1,970m)」、「御殿場口(標高1,440m)」、
真南に位置する「富士宮口(標高2,380m)」まで4つの登山道がある。
ご覧のように頂上までの距離を含め、登山コースそれぞれに特徴があり、
登る人ごとに好みが別れるらしいのだが、
私には窺い知れない部分なので、ここは素直にIK隊長の指示に従って須走口。
ちなみにIK隊長が須走口を推すのは「滑り応えが一番あるから」。

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5時45分。いよいよ出発。
写真を撮ってくれたのは実はOYくん。
腰の状態が悪化してしまい、残念ながら今回は不参加。
メールで報せてくればいいのに、わざわざ登山口まで見送りに来てくれた。
私一人で二人のジェダイ・マスターの相手をするのはシンドいけど、
仕方ない、OYくん行ってくるよ・・・・・

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雪渓に取り付くまで、ひたすらに土の上を登る・・・
まだ歩き出して30分もしないうちから息は切れ、動悸は激しく、
ザックは肩に食い込み、膝も痛い。

この時点ですでに頭の中は後悔の念で一杯。
「なんでオレはこんなとこに来ちゃったんだろう・・・」。

そもそも恐る恐る来てしまっていたこともあり、
身体が苦しさを真っ直ぐに拒否しはじめると、心が折れるのも容易い。
こうなるともう、いつギブアップしようかと、それしか考えられなくなる。
ただ、こういうときが一番辛くて、これを乗り越えれば、
一気に楽になるということも頭では分かっている。

これは富士山に限ったことではなく、
どこであろうと登り始めの1時間に、最初の正念場が訪れるわけだが、
3時間のうちの最初の1時間目と、7時間のうちの最初の1時間目では、
意味合いがだいぶ違ってくる。
一体この先、何回の正念場が訪れるのだろうか・・・

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7時20分:標高2,500m
ここまで登って、やっと雪渓に辿り着く。
この頃になってやっと、息が整い、脚のダルさもとれてきた。
助かった。まずは第一関門突破だ。
途中雪渓が途切れる箇所があるので、モードチェンジも必要になるが、
ここからは基本シールで登れる。
ボードをザックから外せば、上半身が軽いのなんの。
まるで羽が生えたように軽快になる。

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毎度言うようで恐縮だが、『DEELUXE SPARK SUMMIT』は、
土の上を歩くと、その有用性がよく解るという
なかなかヒネくれたスノーボードブーツだ。
今回、また更に見直すことになった。否、惚れ直すことになった。
状況が悪化すればするほど輝きを増す、道具らしい道具だ。

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10時23分:標高2,900m
すでに出発から4時間以上が経過している。
このあたりから北風が強まりはじめ、風に煽られて歩くのが不安定になる。
この日は富士山登山でよく聞くような、
カチカチのアイスバーンなんてこともなく、とても歩きやすい雪質でしたが、
それでもこの斜度なら、よろけたらすぐに100mくらい滑落できそうだ。
ズルッと足許で崩れるザラメ雪に肝を冷やしながら進む。

登り返しを合わせて合計6時間くらい登ったことはあるが、
連続だと最長で4時間程度までしか経験がない。
ここから先は完全な未体験ゾーン。

案の定、左太ももがつりはじめた。
それまでの調子の良さから一転して、負のモードに突入。
再び「諦め」の二文字で頭が一杯になってくる。
第2の正念場。

そんな私を見かねたIK隊長は「ドーピング」と呟きながら、
電解質を補給できるタブレットを、ポケットからサッと差し出してくれた。
そして、「まだ2,500だ・・・・・あ、違った、もう3,000だ!」
とか言いながら励ましてくれる。意外に人心掌握術に長けた隊長だ。
単純な私はすっかり気がラクになってしまった。フォースのお導き。

しかして、相変わらず体内からは、
いつ爆発してもおかしくないような軋み音が聞こえている。
まだあと標高差800m以上もあり、そして、
ここから斜度が増して、空気もさらに薄くなってくる。
果たして、私の体力と気力は、あとどれくらいもつのだろうか・・・・
すでに登頂への期待感は消え失せ、
私の中には不安感しか残っていない・・・

(後編につづく)
  

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2017.05.29 | コメント(0) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

またもやDEELUXE SPARK SUMMITを見直した話

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今シーズンは、立山に行くまで
スプリットボードでも『K2 TT Snowsurfer』を使って過ごした。
もちろんそれで何の問題もなく、
むしろ滑りに関してはソリッドボードと同様に、調子も良かったのですが、
ちょっと思うところあって、立山では『SPARK SUMMIT』の方を使ってみた。

それまでになかった “BC専用" のコンセプトで創られた『SPARK SUMMIT』は、
スプリットボードでの使用のみならず、山行の登りの場面では、
明らかにこちらの方に分があると、改めて思った。というお話であります。

私は特に登りのトラバースで、
ボードのエッジを斜めに雪面に食い込ませて歩くことに強い苦手意識がある。
急斜面では尚のこと、
そこで踏み外せばそれはそのまま滑落を意味するので、緊張感はMAXになる。

自己分析するに、スキーでする同様のトラバース時における、
ハードブーツと、スキーバインディングの強固な固定力と剛性感が生み出す
高い安定感を知ってしまっているからだ。とも思う。
それもあって、不安なときほど、ハードブーツの発生させる
足とエッジの間に緩衝物のないダイレクトな操作感を、いつもイメージしてしまう。

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なので、TT Snowsurferで登りの急斜面に入るときは
この『SPARK STRAPPY STRAP』を使ったりしていた。

ハイバックとブーツを物理的に固定することで、
より強固にエッジを支えやすくするわけだ。

でも、SPARK SUMMITの場合、
崩れそうなグズグズのザラメの急斜面でもない限り、このストラップは不要でした。
これはブーツのアッパーの剛性感の高さだけでなく、
頑丈で接地面の広いビブラムソールが、バインディングのベースプレートと
隙なく接地することも合わさって達成される安心感だと思う。

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それと、同じ「SPARK」を名に持つからだ。とは言わないが、
SPARK SUMMITのブーツ背面と『SPARK R&D RIP'N FLIP HIGHBACK』との、
ホールドの相性は、アキレス腱のあたりが細く、
全体的に小さいTT Snowsurferよりもずっと良いように感じる。

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ついでに話しておくと、近ごろは足許のグリップ重視がより顕著なので、
よほど長い平坦路が続くか、急な下り斜面に出くわさない限り、ハイク時に
ハイバックのフォワードリーンを解放するフリップレバーは使わなくなった。

立山では、スプリット・バインディングを介したハイクだけでなく、
ツボ足やアイゼンで歩く場面も多くあり、
そういった、ブーツとしての素性が大きく関係してくる場面でも、
ブーツが足首の縦の動きを支えてくれる支持剛性の大切さを、
改めて感じることができました。

特に滑走時に足首をある程度自由に動かせるようにするのが
TT Snowsurferの目的だと思いますが、
山岳地帯での行動を考えると、やはり足首の横方向の動きには、
ある程度の剛性感が必要だと思いました。

今シーズンは谷川岳で、短距離ながら、下りの凍った斜面での滑落経験もし、
それへのトラウマも強くあったため、
立山にはSPARK SUMMITで行ってみようと思えたのですが、
おかげで、こんな貴重な体験ができてしまいました。

道具よりも自身の技術を磨く方が、よっぽど重要なのは言わずもがなですが、
道具によって補助できることも少なくない。
できるならば、そういった部分は多余すことなく活用したいと思うのが、
技術も体力もない私の思いであります・・・
  

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2017.05.11 | コメント(0) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

春の立山 2017 Day-2【4/23】

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立山のいいところは、
今まで様々な山で出会ってきたたくさんの方々と、
同窓会のように再会できることだ。

もちろん申し合わせて集まって来るわけではない。
まるで吸い寄せられるように、この時期に、この場所を目指してやって来る。

いつも山で遊んでもらっている(面倒みてもらっている)IKさんは、
OYくんと共に、先週の立山ツアーにも参加していたが、
この日は更に奥地へと足を伸ばすアドバンス・ツアーに参加するために来ていた。
リズム・ワークスの旭さんに、先日、蓮華温泉をご一緒した
リョウさん、HZさん、Nさんは、今回もリズムのツアーで来ていた。
ニセコ・ダウンチルつながりのPさん、Kさんに、
芳ヶ平でご一緒した方(お名前失念してしまいました)にも、ご挨拶できたし、
そして、久しぶりにONさんにもお会いすることができた!

ONさんとはもう5年も前になる、リズム・ワークスの『平湯周辺BC』
ご一緒してからお付き合いをさせていただいている。

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ONさんは、スプリットボードをスキーモードで滑走するための技術研鑽と、
その技術を広く多くの方々に伝える講習会を主宰されている方だ。
まだ日本にスプリットの「ス」の字もないような時に訪れていたカナダで
スプリットボードに出会い、そこで体験したスプリット操作がONさんの原点。
その場でスプリットボードを購入して日本に持ち帰り、
それ以降、スプリットボードを先頭で使い続けている。
知る人ぞ知る、そのスジではかなりの有名人。
まだズブの素人だった私も、平湯BCのときはかなりお世話になった。
いや〜〜〜懐かしい!もちろん昔話にも花が咲いた。

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先日の蓮華温泉で、初めてHZさんにお目にかかってから、
体格といい、無精ヒゲといい「エヌXに似てるな〜〜〜」と、
ずっと思い続けてきたのですが、
今回、その2人が同じ空間に居合わせるという奇跡が起こった。
生き別れの双子かと思いきや、HZさんの方が年長でした。
エヌXって老けてるんだな・・・・

そんなわけで、夜の雷鳥荘で紡ぐ、懐かしい方々との邂逅は続いた。
案の定飲み過ぎたが、とても良いお酒でありました。

これも山の力だ。

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翌日曜日は、朝食もゆっくり摂って、8時に雷鳥荘を出発。
まずは昨晩のアルコールをデトックスしながら、
長〜〜〜〜〜〜い一ノ越沢を延々と歩く。

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さすがに標高2,000mで一晩過ごしたこの日は、
呼吸も整い、体調もすこぶる良い。

それにしても、すごい陽差しだ。日焼け止めなどなんの役にも立たなかった。
サングラスをしていたので、完全なパンダ灼け。
申し遅れましたが、おかげさまで立山では、
3年連続で二日間とも晴天に恵まれている。
そんな6日間の中でも、この日が一番陽差しが強く感じる。

「やっぱりオレは外さない男だ」とか、悦に入るには早すぎた。
学習能力が低く、おまけに気の小さい私は、レイヤリングに完全に失敗。
重ねて着て来たウェア類は、結局、往きのケーブルカーで脱いでからは
一度も袖を通すことなく、ザックの肥やしに成り下がった。
「もしも」を考えれば、ある程度は仕方のないことなのではあるが、
結果的にはただただザックを重くしただけだった。

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そんな強い陽差しとは裏腹に、
狙っていた雄山は、稜線ではかなり風が強そうだ。
尾根沿いの岩場を詰めるのに苦労しそうだったので、
雄山は諦めて、いつもの浄土平へ予定変更。しかして、
この予定変更が、(多少の予感はあったとはいえ)このあとに最高の幸せを
用意してくれているとは、この時点では思いもよらなかった。

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雷鳥荘から標高2,800mにある富山大学の研究施設まで、
平均勾配13.9%、距離にして3.3kmを2時間40分かけて到着。
西寄りの風が強く、さすがにこのあたりは肌寒い。

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浄土平の名の通り、ここは山頂なのに恐ろしく広い高原状の広場になっていて、
その先に富山の海や、場合によっては雲海が見渡せる。
ここに来る度、たぶん月面ってこんな感じなんだろうなと、いつも思う。
それくらいの異質な空間が広がる。

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浄土山からは一ノ越に向かって東向きの斜面を滑るので、風の影響はない。
しかも、朝から日射の影響をほど良く受けた斜面は、まさに今が食べ頃だ。

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見た目ボウル地形ですが、巨大なため、実はとても広いオープンバーン。
とはいえ、その滑走距離は660m、滑り出しの斜度は40°近くあり、
平均斜度でも20°以上ある。
登ってきたラインは風に叩かれ、かなりハードなアイスバーンだったが、
風を避けるボウルの中には、とてもよく走るザラメが深く積もっていた。
その堆積したザラメのぶんだけ、ターンがタテにズレるが、
そんなことお構いなしに踏み続ければ、高速でグイグイ曲がっていく
素晴らしい斜面だ。あ〜〜〜〜〜気持ちイイっ!!!

斜面の途中からトラバース気味に滑る方向を変えて、
一ノ越の尾根上にそのまま滑り上がる。

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一ノ越の尾根から、
東一ノ越へつづく登山道に取り付いたところでランチタイム。
毎度も言うが、山で食べる山荘おにぎりは、
飲んで帰った夜食に食べる、サッポロ一番塩ラーメンより美味い!三つ星!

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東一ノ越までは雪の残る登山道を往くので、ここからはアイゼンに履き替える。

今回、立山には『DEELUXE SPARK SUMMIT』を履いてきた。
SPARK SUMMITを履くのは、実は今季はじめて。
確かに、立山でいきなりいつもと違うブーツに履き替えるのは心配だが、
それでも、ここで履き慣れた信頼感もまた高い。

『K2 TT Snowsurfer』に較べると、滑走時には2割増しで、
厚ぼったさ、もしくはレスポンスの「間」を感じてしまうが、
ことハイクに関しては、その剛性感の高さによって、
一歩の踏みしめの強さが得られ、その領域では、K2とはすでに比較にならない。
特にMAXFORCE Splitとの相性においては、
滑り、ハイク共に、ほぼベストな組合わせと言っていいだろう。
「山専」の本領発揮だ。

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この登山道を通るのは、一昨年に加えて、これで2回目だが、
龍王に鬼岳など、これぞ山岳景観と言えるような
最高に美しい景色が登山道の向かい側に並ぶ。
足許は岩だったり雪渓だったりと、決して平坦ではないが、
勾配のない道なので、長距離でも、ここを歩くのはまったく苦にならない。
これだけ天気が良ければ、この景観と相まって、
むしろ、道中は幸せな時間と言ってもいい。

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あっという間に東一ノ越に到着。
ここからはタンボ平に向かって滑り降りる。
往きのロープウェイからも、ここの雪の状態が良いことが伺えたので、
実は密かに期待はしていたのだが、実際に滑ってみれば、
それはまさに「最高ランク」でありました。

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浄土山からの滑走と同様に、適度に緩んだザラメの足応えがとにかく気持ちイイ。
しかも、東一ノ越から黒部平駅のすぐ下まで、
2.8kmもある距離を一気に滑ることができるのだ!
もう一度言おう、その距離2,800メートル!
かぐらのゴンドラコースとほとんど同じ距離で、斜度はみつまたの大会バーンと
同程度と言えばその気持ち良さが分かってもらえるだろうか。

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ライダーズレフトにトラバースし、
堆積したデブリを越えた先に広がる大斜面には、
上から覗くとノールに隠されていたノートラック斜面が残されていた。
スケールが狂うほどの巨大な一枚バーン。
泣きたくなるくらい気持ち良かった。

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上の画像で、右中央のデブリから下の斜面が絶品!!
一週間前にOYくんが滑ったときは、ストップ雪だったそうなのですが、
この日はとにかく走る走る!!
気が済むまでターンを深く長くしても、余計な加速もしないし、一切減速もしない。
スパッと切り返して今度は心ゆくまでフロントサイド〜〜〜〜と、
そんなこと繰り返していたら太ももの筋力がどれだけあっても足らないくらい。

この二日間で、滑りに関しては、実はここが一番気持ち良かった!
雄山を目指していたら、ここを上部から滑り降りることはできなかったので、
ある意味「災い転じて福となす」。良い方に転がってくれた。

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そうしていよいよ今回のツアーも大詰めだ。
黒部湖に向かって最後の森の中を滑り降りる。
ここも、こう見えて実はストップ雪ではない。充分走るザラメ雪。
落ちた太い枝を避けるのが少々ややこしいが、これはこれで滑り甲斐アリ!

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実は今回の一番の核心部はここ。
湖面まで20mほどの、ほぼ垂直の絶壁の際を、
幅20cmほどの雪の上を伝って歩かなければならない。
足を踏み外せば、湖へ真っ逆さま。怖くて下を見られない。
エヌXにバカにされてもアイゼン履くんだった。

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なにブルってんスか?

こんなのたいしたことないスよ


スタスタと先に行ってしまったエヌXのヤツが下から言ってくるが、
マジに怖くて言い返せない。

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そうしてなんとか無事に黒部ダムに帰着した。
扇沢に戻ると、寝坊気味だった我々とは違い、
朝6時から行動を開始し、ガイドのアドバンスツアーならではの、
かなりエクストリームなラインを滑り降りたIKさんから連絡があり、
なんと我々の下山を待ってくれているという。
インターの近くの焼き肉店のオープン時間に合流し、
4人でたっぷりと焼き肉を堪能してから解散した。

楽しかった。今回も心の底から楽しんでしまった。
やはり立山は私たちの期待を裏切らない。素晴らしい場所だ。
まさにバックカントリーの聖地と言っていいだろう。

もちろん、これだけの高所なので、ひと度、天候が崩れれば、
その思い出は無事に戻るだけで精一杯になってしまうような、
これとは180°違ったものになってしまうだろう。
そんな場所へ、ガイドツアーでなく、フリーで行くのなら、リスクも含め、
その幸運の確率に関して、かなり分が悪くなることは百も承知だ。

だから、今回にしても、ただ単に運が良かったというだけで、
行けば必ずこんな幸せが待っているはずもないが、
だからこそ、これがかけがえのない幸運であることが、よくよく理解できる。

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何より、仲間とアイデアと意見を持ち寄り、時にぶつけ合いながら、
創意工夫して、メンバーの安全とチャレンジの塩梅を計り進める山行は、
そのゲーム性において、これ以上ないくらいに楽しいし、やり甲斐がある。
そして、自分の力量を測るのに、
秋の立山ほどチャレンジングな場所は他にないと思う。

エヌXや、IKさんがするように、夏山も含めて、
更に上、更に深い場所を目指す山行もあることは知っている。
でも、そういう一歩上を目指すよりも、いつも半歩先を見ている方が、
私には合っているように思う。

3年続けて訪れた立山にだって、
私の半歩先のエリアはまだ数多く残されている。
おかげさまで、まだまだ立山行きは止められそうにない。
  

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2017.05.09 | コメント(3) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

春の立山 2017 Day-1【4/22】

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繰り返し言うけど、
バックカントリーを志す者、一度は立山に行くべきだ。と思う。
ここへ来れば、自分がバックカントリーに何を望んでいるのかが、
ほとんど細胞レベルで理解することができる。

大好きな道具で滑り降りるために冬山に登る者、
滑りは二の次で、あくまでも冬山に登るために滑るための道具を選ぶ者、
その双方の間のどこかで、様々な嗜好性を持った方々がいるのだと思う。

冬でなくとも、山を登ること自体に無関心だったので、
私は間違いなく前者だと思っていた。
だから、苦手な登りを極力簡略化できるであろうスプリット・ボードを選んだし、
登りの時間は短ければ短いほど、簡潔であればあるほど、
山での行動は楽しいものであるはずだった。
でも、立山に来てはじめて、自分が「登りも好きだった」ことに気がついた。
立山では、それくらい苦しい登りであっても、得も言われぬ達成感が生まれる。

そして、何のために私は山に登るのか?という究極的な問いに対して、
自身の無力さを痛感させる、その圧倒的と言っていい荘厳な景観でもって、
いともあっさりとその答を示してくれるのが、
私にとっての立山という場所だ。

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そんな、すっかり取り憑かれてしまった立山に、
今年もやって来ることができた。
2年続けて連れて来てもらった皆さんは、
今年は一週前の立山オープンのツアーに参加となったので、
今回は私とOYくんと、エヌXの3人組となった。

ちなみにOYくんは、オープンのツアーにも参加したので、二週連続の立山。
冬本番の2月に腰を悪くして、一ヶ月間を棒に振ったぶんを、
ここで挽回しようとしているわけだが、無理が祟って今度は膝を痛めてしまい、
今回はスプリットボードではなく、スノーシューを担いでやって来た。
怪我を押してまで来てくれる、とても義理堅い青年だとも言えるが、
春の湿雪で走る、ストラクチャーの入っているボードが、
ソリッドのインディペンデントだけだった。という説もある。

そして、このブログに度々登場している「エヌオット」が、
なぜここでのハンドルネームを「エヌX(エックス)」に改めたのかに関して、
あえてここでは説明しないが、行間から読み取っていただければ有り難い。
ちなみに、これでエヌXも、晴れて『X1 Club』の正規会員だ。

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そんなエヌXだが、夏も含めて山での経験はなかなかのもので、
人生設計には失敗したが、山行設計の方ではかなり頼りになる山男だ。

しかして、このエヌX、
「50にもなってよくこれだけ登れますね」
とか、褒めてんだか、ジジィ扱いしてんだか分からないような事を、
悪びれもせずに、シレっと言い放ってくる。
たまに異様に頭にくるが、どこか憎めないトボけた野郎だ。
今回はこいつにおんぶにだっこで行こうと思う。

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今年から、立山黒部アルペンルートの扇沢からの便が
「Webきっぷ予約」で予約できるようになった。
私はてっきり予約者用の優先搭乗レーンでもあるのかとばかり思っていたのだが、
そうではなく、あくまでもその時間の便に乗れるというだけのことだった。
当日券購入のための列には並ぶ必要はなくなったが、
予約した便の前の方に乗りたければ、結局乗り場前に並ぶしかない。

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「Webきっぷ予約」は、「扇沢から立山駅までの片道」
「扇沢から室堂間の往復」「扇沢から大観峰までの往復」
「扇沢から黒部ダム間の往復」しか買うことができない。

今回、復路は黒部ダムまで滑り降りる予定なので、
本当は「扇沢〜室堂」の片道を予約購入できれば良いのだが、それはできない。
「扇沢から黒部ダム間の往復」を予約購入し、
黒部湖から室堂までは別途購入する必要がある。

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そうして、この日の長野県側からの先頭集団で室堂までやって来たのだが、
山の方は稜線付近がどこもガスっていて視界が悪く、風も強そうだ。
入山届提出先の指導員の方にも
「今日はできるなら稜線には出ない方がいい」とのアドバイスをいただいた。
本当は室堂から直接一ノ越に向かい、雄山の頂上から
山崎カールを狙いたかったのだが、我々はあくまでもガイドフリーの3人組だ。
素直に諦めて、まずは気を取り直そうと、雷鳥荘に余分な荷物をデポしに向かう。

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天候も良くないので、滑り慣れた雷鳥沢を登るか、
下から山崎カールを詰めて中腹部以下で遊ぶかの2択で悩んだが、
雷鳥荘からは、雷鳥沢にすでに多くの方々が登っている行列が見えたので、
雲が切れた頃を見計らって、空いていた山崎カールの下部に向かった。

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足腰はなんの問題もないのだが、今日はいつもより呼吸が苦しい。
鼓動も激しく、明らかに酸素が足りていない感じがする。
高度に順応できていないようだ。
いつにも増してゆっくりと登ることにする。

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最初は素直にローソク岩を目指していたのだが、
ずんずんと雄山山頂付近を覆い隠していくガスを見て、
途中で大走りとの間に走る沢の方に方向修正。

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雷鳥荘から2時間半で標高2,600m付近のドロップポイントに到着。
しかして、滑走準備を終えた頃にはすっかりガスの中。

滑って楽しいかどうか以前に、滑ったこともない場所を視界のない状態で滑るほど
私はお人好しではない。ましてやここはアルパインエリア。
どこにクラックが口を開けているか分からない。
しかも、前日には3〜5cmほどの降雪もあった。
この日、ここへは我々が一番乗りで、目の前の斜面は手つかずのノートラック。
もちろん平均点を越す安心感などあるはずもない。

「慎重に行こう」と言う私に、エヌXはピットを堀りながら「ほら、大丈夫っすよ」
「なにビビってんスか?」とか言い放ってくる。
一瞬、ピッケルを握る手が震え、殺意が脳裏をかすめるが、大人なので我慢する。

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待つこと20分。
いいとこ2人ぶんの晴れ間だろうとか思っていたら、
そこからガスはすっかり消えてなくなり、一気にドピーカンに変わってしまった。
13:30、OYくんから最初のドロップ!

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続いて私がドロップイン。
最初の2ターンを慎重に抜け、雪の結合を足の裏に感じ取れたら、
あとは沢のボトムに溜まった、ブーツがくるぶしのあたりまで埋まる雪の上を
心置きなくぶっ飛ばす!

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やっぱり立山は私を裏切らない。
この巨大なハーフパイプをぶっ飛ばす快感と言ったらない。
標高差300m、滑走距離1,200m。
とにかく感謝しかない。

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MAGIC38と悩んだ末に、今回もMAXFORCEを連れてきた。
それはやはり、登りの安定感を思っての選択だったが、
滑りに関しても、別の発見があった。

10kg以上あるザックを背負って滑るときにやりがちな、
その余剰な積載重量も含めて、テール荷重をし過ぎたときに、
MAGICだとテールを軸に突っ張ってしまうところでも、
MAXFORCEならば、そのままタテ方向の踏み込み荷重に変換してくれる。
バッファというか、余分にノリしろが残る反応の仕方はかなり安心感が高い。

ただ、逆に前足に載せすぎると、
MAGICのピンノーズならば、事もなげにいなしてくれる場面でも、
雪質によっては簡単に前が詰まるので要注意。

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さっき登ったラインとほとんど同じラインを登り返す。
しかも、今落として来た一本隣の、ほとんど同じラインを狙う。
名だたるラインが無数に存在する立山で、
バラエティさを提供しなければならないガイドツアーだと、
これはまずあり得ない選択だが、
自分の目でもって、一度その斜面を見ているからこそ、
「次はあのラインを狙おう」と更に攻められる。
失敗しても全部自己責任。個人山行ならではの贅沢だ。

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しかも、この時間になっても、探せばまだ面ツルのノートラックが残る。
1本目とほとんど変わらない2,600mまで、1時間半で登り返して、
15:06、2本目にドロップ。

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浄土山から大日岳にかけて厚い雲が足早に流れていくが、
もうこちらには雲はかかっては来ない。

まさに天国であります・・・・

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2本目は雷鳥平のテント場まで、標高差342m、滑走距離1,400m。

行動時間5時間、滑走本数2本。
たかが2本。されど脳ミソがとろけそうな極上の2本。

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(毎回、ここに来る度に同じ事を言いますが)
この、憎らしくもいやらしい、微妙にシビレる距離を残す、
雷鳥荘までの最後の斜面を30分登れば、
温泉と冷たい生ビールにありつける!!という一心で登り続ける。
私は目の前にぶら下がったエサに極端に弱いタイプだが、
ひと度、目の前のエサにフォーカスすると、爆発的な集中力を発揮する。
さあ行け〜〜〜〜っ!登れ〜〜〜〜〜っ!

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15:48。無事、雷鳥荘に帰着した。
適度に疲れたあとで、温泉で温められた細胞の一粒一粒に、
冷た〜〜〜い麦汁が、細胞核まで染み渡る・・・・・・昇天であります。

さあ、今夜は再会した懐かしい面々と飲み明かすことにしよう。
【Day-2につづく】

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2017.05.08 | コメント(4) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

BURTON Hitchhiker また模様替え!

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『BURTON HITCHHIKER』のレイトモデルを買ったはいいが、
生来の飽きっぽさ故に、ハイバックをSPARK製のものに、
塗装してまで交換した私ですが、またもや気が変わってしまい、
もう一度同じハイバックを買い直してしまった。

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それは何より『GENTEMCHOPSTICK MAXFORCE』を、手に入れてしまったから。
だって、MAXFORCEが渋めのブラウンなんですもの・・・
エメラルドブルーのMAGIC38 Splitとの相性を考えて、
これまでブルー化を推し進めて参りましたが、
MAXFORCEとの相性の悪さったらない。
やはり黒いのを買っておくのが安全牌なのよね。
えー分かってますとも。馬鹿ですよ。こんな事繰り返すのは・・・

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気がつく人はすぐに気がついたと思うが、
今回はハイバックだけでなく、ヒールカップも黒いものに交換した。
実は、ハイバックを交換した時点で、
同じブルーとグリーンのアブストラクトなTAPPYカラーがあしらわれた
アンクルストラップも、GENESISのまっ黒いものに交換していたので、

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原形を留めているのは、
これでいよいよベースプレートだけとなってしまった・・・
なんのためにこのレイトモデルを買ったんだか・・・

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散々毛嫌いしてきたけど、来シーズンは『T1 BASEPLATE KIT』に交換かなぁ。
そうすると、結局、バラでほとんど一台分のパーツを買い揃えたことになる。
最初からSPARK R&Dの黒いARCを買って、
BURTONのストラップに交換するのが、
結果安く済んだという話は言わない約束でお願いしたい。
(しかも、新たにT1用のクランポンも必要になる・・・)

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来シーズンからはMAGIC38には『青いTESLA』を使って、
MAXFORCEには『黒いTESLA T1』と、使い分けることにしますか。
壮大なる自己満足の世界。
  

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2017.04.27 | コメント(2) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

GENTEMCHOPSTICK MAXFORCE Split【インプレ編】

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インプレとは言っても、ソリッドボードの時の印象と、
さして違いはないのではありますが、
近ごろバックカントリーエリアには、スプリットでしか出て行かないので、
そういった場所でMAXFORCEに乗るのは久しぶりだ。何より、MAXFORCEを
二つに割って歩いたのは初めてでしたので、まずは登りの印象に関して。

やはりウェストの細いボードの方が、取り回しも軽快で、
そのぶんトラバース時のエッジも噛ませやすく、とても登りやすい。
バインディング(つま先)からエッジまでの距離が広くなってしまう
ブっ太いFLYFISKが、トラバース等の時に、そういった感触が希薄なのは
仕方がないとしても、MAGIC38やSLASHERよりも感触が良いのは、
ツインチップのMAXFORCEの方が、ロッカーがないぶん、
足を中心としたボードの前後バランスが良くなることと、
何よりキャンバーの位置が、踏み込み位置に最適化されるためだろう。
一歩ずつの踏み込んだときの感触、足を上げたときの感触に偏りがないと、
とても歩きやすいことに気がつけた。

滑りに関しても、再三こちらに書いているとおり、
斜面の状況や、雪質に対応して、操作に大きな変化が必要になるこの時期にこそ、
MAXFORCEが生まれ持った素性の良さが光り輝くと、改めて感じました。

そんな操作性の高いMAXFORCですが、
その素性を活かすためには、MAGIC38と較べて、
いくぶん後ろ足への意識を強める必要がある。

私の場合、オートバイの操縦でもフロントタイヤの接地感に囚われる傾向が強く、
スノーボードでもノーズ側(前足)の反応に囚われがちだ。
前足の踏み込みに対するレスポンスが豊かな方が好みなので、Flyfiskや、
BIGFISHなど、TTSS系のファットノーズの方が私には合っていたりもする。
なので、MAXFORCEの神経質なノーズの(比較して積極的に踏めない)反応
には、MAGIC38からの乗り換えに際し、少しばかりの慣れが必要になる。

特に引っかかるような重めの雪の場合、
低速時に前足を踏みすぎると引っかかったり、最悪は埋まってしまう。
むしろ積極的に後ろ足で向き変え操作をする必要があるが、
それにさえ順応してしまえば、そのスレンダーなウェストと相まって、
硬かろうが、柔らかかろうが、重かろうが、
どんな斜面でもクルクルとコントローラブルに扱えてしまう。そして、
長いテールは、後ろへバランスを崩したときのリカバリー能力がとても高い。

もちろん、164cmもある長身なので、
ピステン・カービングもビッタビタに決まるところも素ン晴らしい。

扱いやすいという意味では『Spoonfish』とも通じるが、
やはり、この脚の長さ(テールの長さ)によって、
急斜面での安定性と、ターン後半の伸びには大きな違いがある。

そして、Spoonfishも実は充分以上にファットなノーズを持っており、
前足の踏み込みをかなりの範囲で許容してくれるので、
ノーズの反応の良さにもだいぶ違いがある。
ひょっとすると、前足の使い方にスノーサーフの “解” があるのかも知れない。

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これは各モデルをアウトラインデータにして並べたものだ。
センター位置は前後のバインディングの取り付け穴の真ん中で揃えてあるので、
必ずしもボードセンターではないことと、
カタログ画像から私がトレースして拾ったラインなので、
シェイプはかなりアバウトであることに留意した上でご覧いただきたい。

これを眺めていると、164だろうが、168だろうが、そして、152だろうが、
それは単なる製品管理上の数字でしかないことがよく分かる。
(話は逸れるが、Spoonfishが決して短くはないことと、
 その錯覚を利用しながら、シェイプがソツなくまとめられていることもよく解る)
スノーボードの扱いやすさを、長さを基準に計ろうとしてしまうが、
本当の意味での長いか短いかは、その数字からは見極められない。

さておき、ここから各モデルに対する印象と、共通性が見えてくると思う。
MAXFORCEがディレクショナルツインとは言え、
ツインらしく、いかにボードの中央に人を乗せているかは一目瞭然だ。そして、
トップのワイデスト・ポイントが、だいぶ乗り手から離れていることも良く解る。
深雪ではよりセンターに加重して、ボード全体で雪面を受ける意識が必要になる。
そして、圧雪ではターンがかなり遠くから開始されるわけで、
クルマで言うところのロングホイールベース、
オートバイで言うところのキャスターアングルが寝かされた状態と同様に、
比較的、直進安定性に優れた操安性であることが分かる。

そこさえ理解できてしまえば、先日の蓮華温泉ツアーでもそうであったように、
軽い乾雪から、重い湿雪まで、オープンバーンでの大きなターンでも、
ツリーの中でのクイックなターンでも、基本センターに乗りながら、
テールを(サーフィン的に解釈すると)気持ちピボット気味に踏むことで、
自在に操縦することができた。

そう考えると、MAXFORCEは、サーフボードでいうところの、
後ろ乗りでカジュアルに乗りこなすPIG/シングルフィンってところか。

そんなわけで、MAXFORCEはオールドスクールな万能機と言えるのだが、
代わりに先進的でトンガった特徴を持たされていないところが、
不憫なところではある。しかして、
メルセデス(の主流モデル)は、なぜ後輪駆動なのか?という問いと同じように、
“良いもの” とは得てして無味無臭なものだ。

でも、私は分かってるよ〜〜〜〜〜
そんな君を見てるよ〜〜〜〜と、
ほとんど地下アイドル推しのおっさんのようだが、
そんな部分を理解できているマイノリティな優越感も、
今となってはMAXFORCEの魅力であったりもする。
つまり、選択としてかなりシヴい。

このポジションは、現在FLOATERの守備範囲になっているのかもしれないが、
MAXFORCEのような優れたボードが廃盤になってしまうところが、
ゲンテンスティックが、単なる「パウダーブーム」だと揶揄される
所以だとすら感じてしまうのは、とても残念なところでありますな。

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話変わって、ここのところずっと使ってきた
『BlackDiamond Ascension Nylon STS Skins』に代わって、
久しぶりに使ってみた『G3 Alpinist High Traction』ですが、
今回続けて使い分けてみて、想像以上の違いを感じたので書いておく。

High Tractionの名の通り、
Black Diamondよりもトラクション(引っかかり)感は高い。
その安心感はかなりのもので、いい加減な踏み込みでもズレが少ないので、
例の、足許からすくわれるような、ヒヤっとさせられることがほとんどない。

しかして、そのぶん下りの滑走性はそれなりに落ちる。
BDと同じ気分で下りに入ると、前につんのめりそうになるほど、
シールの順目でもそこそこのブレーキが効いている。
そして、グリップが良いぶん、一歩一歩が気持ち重く感じてしまうことも、
ハイク時間が長引くと、想像以上に蓄積されてくるマイナスポイントだ。

これらはいわゆる「背に腹は替えられない」「痛し痒し」ってやつだが、
そういった行動上の「軽快感」と「グリップ感」のバランスのさせ方で、
それぞれ好みが分かれるところだろう。

ちなみに私が「どちらか一方を選べ」と言われれば、
グリップ感もほどほどに良く、軽快感のある、
機動性に富んだBlackDiamondの方を選びたい。
でももし、足許に何を差し置いても絶大なる安心感が欲しいのであれば、
「G3 Alpinist High Traction」の方をオススメする。
  

テーマ:スノーボード - ジャンル:スポーツ

2017.04.11 | コメント(0) | トラックバック(0) | スプリット・ボード

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